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2022年1月読んだ本 & 2022年2月読もうと思っている本のリスト

2022年1月読んだ本

『ぼくが死んだ日』キャンデス・フレミング/三辺律子
『熊本くんの本棚 ゲイ彼と私とカレーライス』キタハラ
『からくり夢時計(上)』
『からくり夢時計(下)』川口雅幸
『世界が海におおわれるまで』佐藤弓生
『具体と抽象』細谷功
『カレーライス 教室で出会った重松清』重松清
『ステップファミリー 子どもから見た離婚・再婚』野沢 慎司/菊地 真理
『まともな家の子供はいない』津村記久子
『希望のつくり方』玄田有史

ざっくり紹介

『ぼくが死んだ日』キャンデス・フレミング/三辺律子

キャッチコピー
『あのさうちら死んだんだけど、マジで話聞いてくんない?』

あらすじ
ある日車で帰る途中の主人公は、不思議な少女に連れられて墓地へ。若くして死んだ少年少女たちに囲まれて、殺されると思ったのも束の間、彼彼女らが口にしたのは「私たちの死んだときの話聞いてくれない?」だった。

オススメポイント
人が死ぬ話だったり、ホラー小説なので暗い部分はありますが、それを補って余りあるユーモアがすごい!
魅力的なキャラとストーリーはまさにキャッチコピーのようなノリ。起きる超展開、なんでやねんとツッコミたくなる死の理由。しかしちゃんとゾクゾクして、胸がきゅうっとなるような切ないお話もあり、どこを切っても完成度の高い、金太郎飴のような作品です!

こんな人にオススメ!
ホラーが好きな人、B級な感じが好きな人、ファンタジー小説が好きな人
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『熊本くんの本棚 ゲイ彼と私とカレーライス』キタハラ

キャッチコピー
『読んだ後、この本を本棚のどこに入れるか迷った。迷わずぼくは名作欄に入れた』

あらすじ
主人公の女の子は、大学で親しくしている男の子がゲイ向けAVに出演した過去があることを知ってしまい......

オススメポイント
あらすじだけ読めば、どんな話か今後の展開を想像できた方もいるのではないでしょうか? しかし今作はそれらを全て超えた先にいきます。
物語は宗教やスピリチュアル、そして男の子の手記とも言えるような自伝的小説が絡み合うことによって、深く、簡単に一蹴はできないような雰囲気を醸し出し始め、最後には畏怖すら覚えるような方向へ。
通常であれば敬遠してしまいそうなテーマが多く使われていますが、読みやすくかつ熱のこもった一行一行がしっかりと物語を連れて行ってくれるので、気づけば最後まで読めてしまいます。読後にはすごい汗をかいていること間違いなしでしょう!

こんな人にオススメ!
普通の小説じゃ物足りない人、人間関係を描いた本が読みたい人、人の深淵に触れたい人
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『からくり夢時計(上)』
『からくり夢時計(下)』川口雅幸


キャッチコピー
『戻りたいときはありますか? でも、そこからちゃんと戻ってこれますか?』

あらすじ
小学生の主人公は、社会人になったお兄さんが帰ってくるのが嫌だった。だって、ガミガミうるさいんだもん。お父さんに相談しても、分かってもらえない。お母さんはぼくが物心つく前に亡くなっちゃった。ある日お父さんと喧嘩して家を飛び出したら、自分が生まれる前にタイムスリップしちゃった!? 

オススメポイント
夕焼けに染まる商店街、暗くなるまで河川敷でやったサッカー、そんな体験していなくても懐かしい気持ちになるシーンが満載。それらの中に死んだ母親との再会や、息子だと告げられないもどかしさ、思っていたのとは違う兄。一つ一つにしっかりカルチャーショックみたいなものを受けながら成長していく主人公の姿が描かれていて、ほっこり泣けるお話です。
読んだ後、遠く離れた家族にちょっとLINEでもしようかなって思えます。

こんな人にオススメ!
あたたかい物語が読みたい、タイムスリップモノが好き、懐かしい気持ちになりたい人
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『世界が海におおわれるまで』佐藤弓生

キャッチコピー
『言語感覚が自由になる感覚が楽しい感覚』

あらすじ
作者が過去に書いた歌集が、短歌クラシックスとして生まれ変わった。そのシリーズの第5巻。

オススメポイント
自分では気づけないけど、言われたらありありと思い出せるような感覚が、懐かしくて楽しい一冊。
現実の中にある些細な空想のような短歌たちが、色々な延長線上にある景色を見せてくれます。

こんな人にオススメ!
短歌好き、柔らかい世界観が好き、言葉が好きな人、短歌を始めてみたいと思っている人
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『具体と抽象』細谷功

キャッチコピー
『わかりやすさにこだわる社会に、わかりにくさを伝えることをわかりやすくした本』

あらすじ
今の社会は具体的であろうとする傾向が強い。それは圧倒的にわかりやすいからだ。けれど、本質は意外とわかりにくい抽象的な部分に隠れている。

オススメポイント
分かり合えない人、感覚の一つ一つが解きほぐされていきわかるようになるのがすごい!
自分がどこか具体的にしなくちゃと思っているのを見透かされたような、久しぶりに先生に怒られたような、でも嬉しいような気分になれる一冊。
漫画や、イラストを用いて、抽象的についてをわかりやすく具体的に説明してくれるので、誰も置いていかないようにできているのがオススメ。

こんな人にオススメ!
人間関係に悩んでいる人、会話が上手くなりたい人、映画や小説などを面白く読めるようになりたい人
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『カレーライス 教室で出会った重松清』重松清

キャッチコピー
『机の上に光が当たり、そこにほこりが待っている絵。超高画質な世界は心までも描き切る』

あらすじ
教科書や問題集に使われた重松清さんの短編集。

オススメポイント
教室の雑踏や、そこに混ざれない居心地の悪さ、まるで昨日のことのように思い出される決して綺麗ではない過去の記憶。つらかったこと、かなしかったこと、でも今では平気なこと。今でも少しだけつらいことなどがたくさん折り畳まれていて、なんでもないワンシーンやセリフでうるっときてしまいます。
あの頃の気持ちをこれでもかというほど、本当に教室に舞っていたホコリレベルの細かな部分まではっきりと思い出されるような作品です。

こんな人にオススメ!
小さい頃のことを思い出したい、あたたかい気持ちになりたい、子どもの気持ちを知りたい
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『ステップファミリー 子どもから見た離婚・再婚』野沢 慎司/菊地 真理

キャッチコピー
『誰だって当事者の種を持っている』

あらすじ
再婚や離婚などで、形が変わった家族『ステップファミリー』について、子どもの視点を中心に多面的に捉えた一冊。

オススメポイント
多様化が進む社会。家族の形も例外はないのに、なぜかちょっと違うだけで、異端扱いされてしまう。そんな社会の現実が描かれています。
子どもの視点を中心にはしていますが、片親、再婚してできた継母継父の心にまで考えられていて、個人レベルから社会への警報的な説まで幅広く考えられています。読んだ後は、歩いている人一人ひとりの人生を考えてしまうようになる一冊です。

こんな人にオススメ!
自分の家族に不安がある、家族の形に戸惑いがある、そういった人が身近にいる、今の社会について知りたい人
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『まともな家の子供はいない』津村記久子

キャッチコピー
『登場人物の家族、みんなどこかおかしい。でもとてもリアル』

あらすじ
働かない父親と、彼を愛する母親、二人に愛されている妹。家族の中で疎外感を抱く主人公は、図書館や、友人の家に逃げ込む。主人公以外の家族もどこかいびつで、でもしっかりと家族でもあって……、羨ましさと、こうはなりたくないの両方を抱える主人公の物語。

オススメポイント
めちゃくちゃリアルです。日本のどこかにいる、地域にいた、友達にいた。そのくらいのレベルでのリアルさが今作の魅力。
キャラクターの言動がリアルすぎて、頭の中できびきびと高画質で動き回ってくれます。主人公が学生と、主婦の群像ものなので、幅広い方に共感してもらえるだけでなく、そうなのかと知ることができるのもすごい。
読後は行き交う人々の言葉一つ一つにすら生活を感じられるようにすらなることでしょう。

こんな人にオススメ!
家族ものが読みたい人、学生ものが読みたい人、人間関係に悩んでいる人など。
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『希望のつくり方』玄田有史

キャッチコピー
『希望はあるものではなく、つくるもの。』

あらすじ
「希望」と呼ばれるものを学問として、とらえ、考え、解き明かしていきます。

オススメポイント
希望はなんですか? と聞かれると答えあぐねてしまいかねない私たち。そのどこかうっすらとぼやけている希望というものが、この本を読むことによって輪郭を持って理解できるのが魅力。ただ理解するだけでなく、自分たちの生活ににゅっと希望が顔を出してくるのも素晴らしい。
学生たちにしたスピーチと問答、宗教とのかかわり、実際に起きた災害などを通して読んでいくうちに、希望とは何かが自分個人としての考えと、社会全体としての考え両方あっていいことに気づかされる。絶望の逆はユーモア、希望と聞いて仕事を選ぶ人が多いのが日本の特徴など、はっとさせられる言葉も数多くちりばめられていた。

こんな人にオススメ!
将来に悩みがある人、最近疲れていると感じている人など
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わたくしごと

2022年1月に読了した本は10冊。毎月10冊で年間120冊読むという目標の第一歩目は見事達成しました。
1月に読んだ本に、子どもを主人公している本が多かったのは、自分が今書いている作品が子どもを主人公にした作品だからです。
そこに描かれている子どもたちは、もちろん他人なのに、どうしてこんなにも揺さぶられ、色々を想起させられるのか。想起されたものたちが重なっていくことで、自分一人では到達することができなかった出来事やキャラの心情、舞台描写に手が届き、作品が成長していくのが楽しくうれしかったです。
もし書き終わっても、また子どもを主人公にした小説を読みたいし書きたいなと思いました。

2022年2月読もうと思っている本

『ターン』北村薫
『ペイント』イ・ヒヨン/小山内園子
『わたしの気になるあの子』朝比奈 蓉子/水元 さきの
『おとうさんがいっぱい』三田村信行/佐々江マキ
『書く仕事がしたい』佐藤友美
『一度だけ』益田ミリ
『イマジナシオン』toron* 
『文体練習』レーモン・クノー
『哲学の蠅』吉村萬壱
『罪なき私』葉方萌生
『愛すること、理解すること、愛されること』
『報われない人間は永遠に報われない』
『死にたくなったら電話して』
『石を黙らせて』李龍徳 

お知らせ

2022年2月に読もうと思っている本リストの中にあります『罪なき私』は2月5日に作者をゲストにお呼びして、読書会を行います!
ぜひご参加ください。(オンライン開催)
詳細、質問や希望などはTwitterのDMにお願いします。

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