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たけみ
2021年3月18日 03:01
導入編はこちら↓貨物船の売買契約について考えてみます。契約では数十億という巨額のお金のやりとりが発生します。これは容易に想像できるかと思います。さてこのとき販売者と造船所と購入者(船主など)には保証する項目がいくつか存在します。巨額のお金を出す側としては、ちゃんとしたものでないとうけとれないからです。具体的に保証する内容をみていきますと、下の3つの技術的な性能、それに加えて納期です。保
2021年3月4日 01:55
導入編はこちら↓今回のテーマは「燃料」です。船の燃料は船の種類によって様々です。貨物船の多くはディーゼルエンジンが動力で、燃料はC重油という重油を使用しています。貨物船以外では、例えば巡視船ではディーゼルオイルなどC重油以外が使用されるものもあります。ここでは貨物船についての話をします。ガソリンや軽油などは分類でいうと「蒸留油」といい、C重油のような重油は「残渣油」といます。残渣油は
2021年3月2日 17:19
導入編はこちら↓突然ですが、建物を建てる時には建築基準法という規制(ルール)がありますね。実は船の世界にも建造や運航に関してのルールがあります。ここでは造船に関係してくるルールについて話を進めたいと思います。国際航海をする船には、自国のルール(法律)を守りさえすればよいというわけにはいきません。そのため、国際条約にしたがってルールを制定し、検査をする船級協会という組織が存在します。船級
2021年2月25日 23:45
導入編はこちら↓今回のテーマは「船籍」。人間に戸籍があるように、船にも所属を示すような「船籍」があります。日本の内航船の場合、日本沿岸を行き来し、普通日本籍船であり、日本国内の法律に従います。外航船の場合、国際航海するので、登録した国の法律に従うことになります。その登録する国というのが船籍国になります。現状では、船籍国として圧倒的に有名なのはパナマです。他にも、主なところではリベリ
2021年2月13日 02:36
導入編はこちら↓ 今回は物理の時間です。いきなり結論からいいますと、馬力(出力)は、「トルク x 回転数」です。トルクについては後述します。回転数は一分間に何回まわるか、まわる速さです(rpmといったりmin-1と書いたり)。これ、技術系の仕事で使う方なら叩き込んでおいてください。あと、モーターを扱う電気系の人もぜひとも覚えおいてほしいです。電流×電圧が電力(kW)になるわけですが
2021年2月8日 02:02
導入編はこちら↓ 船は大きいほうがいいのか小さいほうがいいのか。今回は高校物理っぽい話になります。船が進むときの抵抗について考えていきます。抵抗の大部分(90%以上)は「粘性抵抗」というものです。水はさらさらのように見えて、実はわずかな粘り気があり、水と接触している船体の表面とのあいだに抵抗が発生しています。次に大きい抵抗は「造波抵抗」という、船独特のもので、波ができてしまうことによる
2021年2月2日 15:43
導入編はこちら↓造船所の顧客は船のオーナー(船主)です。海運業界には、船主、オペレーターなどの様々な関係者が存在し、案件によっては兼業してたいたり、業態のパターンが様々です。そういったことが分かりやすくまとめてあると感じたので、こちらのハリソン産業さんのHPを紹介しておきます。実際の設計業務でのお客様からの問い合わせに対しては、要求にしたがって見積作成や回答などを作成すればよいので、このよ
2021年1月30日 03:12
導入編はこちら↓貨物船は、船の種類(貨物の種類)によって速力が違います。一般的に積み荷の単価が高いほうが船の速力が速いです。聞いた話ですが、速力は海上保険料によって決まるそうです。海上保険というのは、貨物を船で移動させるとき、もしも事故が起こったりして沈没したり、貨物を海に落としてしまったときに保障する保険です。積み荷の単価が高いほど保険料が高く、海上を移動している時間が長いほど保険料が多くか
2021年1月29日 12:35
導入編はこちら↓今回は、専門外ではありますが、聞いた話をベースに書きます。貨物船というのは、一隻だけで何十、何百億円と非常に高額なうえに、受注から引き渡しまでの建造に少なくとも2、3年以上と時間を要します。そのため、発注側の船主(オーナー)、受注側の造船所の双方にリスクが存在します。発注側は大金を払ったのに納期までに竣工できてなかったり、そもそも竣工できなかったとしたら、たいへんなことに
2021年1月26日 00:21
導入編はこちら↓造船の設計で分野ごとに担当グループが大きく5つに分けられる、と書いた(↓)のですがその中の機関部についての詳細が今回の内容です。クルマでも大型船でも、推進力を発生させるエンジンとその周りにはエンジンを動かすための付属する機器が多数あります。それは同じなのですが、大型船の機関室(エンジンルーム)はクルマとはスケールが大きく違います。機関は「推進プラント」ともいうくらいで、
2021年1月25日 01:55
導入編はこちら↓造船の設計には大きく分けると5つの担当分野があると前回書きました。・性能・構造(船殻とも)・船装・機関(機装とも)・電装新入社員が造船部門の技術系として配属されるとき、この5つの上の三つが造船系、機関は機械系、電装は電気系出身のひとが原則配属されます。(例外もあります)たまにある誤解が、機械系で流体を専門でやったからそれを活かして造船の性能開発や船形開発がで
2021年1月25日 01:33
導入編はこちら↓造船の設計は受注の前と後で基本設計、詳細設計と分かれていますが、どちらも担当部分/分野ごとにだいたい大きく以下の5つに担当グループがわかれています。これは会社がちがっても概ね同じかと想像します。ちなみに通称機械屋さんとか電気屋さんとか専門のこと~屋さんとか言ったりもします。・性能・・・船のスピード、馬力をきめる。流体力学を使った船体形状の設計。適用規則全体のとりまとめ。・
2021年1月25日 00:37
導入編はこちら↓おおよその建造して引き渡しまでの流れはこのようになります。基本設計(標準型開発)→営業→基本設計(顧客要望おりこみなど)→受注→詳細設計→調達→工程管理→製造→検査(品質保証)→引き渡し基本設計の段階で、技術面での仕様とそれに対する価格で顧客と合意し、その後営業担当が契約条件を詰めて合意にいたると「受注」となります。設計といっても前段階と後段階で大きく二つに分けることが
2021年1月23日 15:58
導入編はこちら↓船っていうとクルーズ船、フェリーなど、客船を想像するかたも多いと思います。もちろんそれらも船ですが、世の中には一般の方にはなじみが薄いと思われる船がたくさんあります。船を大きく分けると、官公庁船(巡視船など)、艦艇(護衛艦など)、商船(貨物船、客船など)に分けられます。 商船(貨物船、客船など)にも外航船、内航船があります。国内のみか、海外を行き来するかのちがいで、ふつう外航