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<おすすめ最新刊情報>〜 10月小説編Vol.4〜

「暗闇にレンズ」高山羽根子 (著)

「わたしたちが今、持つことが許されている数少ない武器の中で、一番強力なものはレンズだ」
高校生の「わたし」は親友の「彼女」と監視カメラだらけの街を歩き、携帯端末の小さなレンズをかざして世界を切り取る。かつて「わたし」の母や、祖母や、曾祖母たちがしてきたのと同じように。その昔から、レンズがうつした世界の一部は、あるときには教育や娯楽のために、またあるときには兵器として戦争や弾圧のために用いられてきた――

「わたしが消える」佐野広実 (著)

元刑事の藤巻は、交通事故に遭い、自分に軽度認知障碍の症状が出ていたことを知り、愕然とする。離婚した妻はすでに亡くなっており、大学生の娘にも迷惑はかけられない。  
 途方に暮れていると、当の娘が藤巻を訪ね、相談を持ちかけてくる。介護実習で通っている施設に、身元不明の老人がいる、というのだ。その老人は、施設の門の前で放置されていたことから、「門前さん」と呼ばれており、認知症の疑いがあり意思の疎通ができなくなっていた。   
 これは、自分に課せられた最後の使命なのではないか。そう考えた藤巻は娘の依頼を引き受け、老人の正体を突き止めるためにたった一人で調査に乗り出す。刻一刻と現れる認知障碍の症状と闘いながら調査を続ける藤巻は、「門前さん」の過去に隠された恐るべき真実に近づいていく――。

「詩人の恋」深水 黎一郎 (著)

「お宅の旦那はあの歌曲集の中で一つ、やってはいけないことをした」。シューマンの妻・クララのもとにある日偽名による脅迫状が届く。シューマンの作品の評価を貶める決定的な証拠を入手したというのだ。夫婦の友人・ブラームスは、ハイネの詩をもとに創られた連作歌曲集「詩人の恋」にこめられた謎を追い、ベルリンに向かうが……。一方、180年の時を経た現代では、恋に悩む高校生、大学生指揮者、ベルリンを訪れた大学教員が「詩人の恋」をめぐって不可解な出来事に遭遇していた……。

「人鳥クインテット」青本雪平 (著)

ある日起きると、祖父がフンボルトペンギンになっていた。この異常事態をなぜかすんなり受け入れた柊也は、ペンギンを祖父として世話をすることにする。身寄りはなく、その上引きこもりの柊也。誰にも相談できないまま、一人と一匹の閉じられた世界は平穏に続いて行くかに思われた。しかし、一人の少女との出会いをきっかけに、柊也の日々に亀裂が入り始めて……。
第三回大藪春彦新人賞受賞者長篇デビュー作

「それでも、好きだと言えない」赤月カケヤ (著)

夏の終わり。人付き合いが苦手な僕の前に現れたのは、記憶喪失の幽霊、レイナだった。レイナに取り憑かれた僕は、彼女を成仏させるため、記憶を取り戻す手助けをすることになった。けれど、天真爛漫でお節介なレイナの存在は、僕の日常を大きく変えていき、そして僕の心さえも奪ってしまった。だけどこの気持ちは絶対に伝えることはできない。レイナの死の真相と彼女の後悔を知ってしまったから……。
後悔と一途さと失われた記憶が紡ぐ、“7つ”の好きだと言えない理由。大切だからこそ、伝えられない想いがある。ほろ苦くて、ちょっぴり泣ける青春ラブストーリー。――それでも、好きだと言えない。

「あなたを諦めきれない元許嫁じゃダメですか?2」桜目 禅斗 (著)

進学した高校で再会した、元許嫁同士の城木翼と天海七渡。そんな翼の恋敵《ライバル》のギャル・地葉麗奈は、その可愛さから男子注目の的になっていた。
「天海っちが彼氏のフリをすれば万事解決じゃん」
クラスの元気っ子・柴田柚癒の思いつきで、七渡が麗奈のニセ彼氏に!?男除けのためと、人前でも彼女のように接してくる麗奈に対し、
「……なんだかいけないことをしている気分だね」
翼は七渡をおうちデートに誘い、バレてはいけないドキドキ感すら味方につけて!?そんななか、七渡は中学時代の元カノ・須々木育美とまさかの再会!
二人が別れることになった誤解が解けたとき、さらなる波乱が巻き起こる――!?

「谷中レトロカメラ店の謎日和 思いをつなぐレンズ」柊サナカ (著)

東京・谷中の老舗カメラ店「今宮写真機店」で起こる不思議な騒動の数々を描いた短編ミステリー集<谷中レトロカメラ店の謎日和>シリーズ第三弾! キヤノネット、ハッセルブラッド、アンソニー、ニコノスⅡ、プラウベルマキナ……クラシックカメラの数々と、登場人物たちが織り成す人生模様が彩を添える、カメラ・ミステリーです。

「私はあなたの記憶のなかに」角田光代 (著)

<「さがさないで。私はあなたの記憶のなかに消えます」と言って姿を消した妻をさがす旅に出る僕>――(表題作)。<初子さんは扉のような人だった。小学生だった私に、扉の向こうの世界を教えてくれた>――「父とガムと彼女」。<K和田くんは消しゴムのような男の子だった。他人の弱さに共振して自分をすり減らす>――「猫男」。<イワナさんは母の恋人だった。私は、母にふられた彼と遊んであげることにした――「水曜日の恋人」ほか4篇。角田光代の小説世界を存分に味わえる読み応えたっぷりの小説集。

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