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組織改革をしないことで組織改革をする

ロッシーです。

『小説 上杉鷹山』を読んだという記事を前回書きました。

昔読んだときには、「上杉鷹山という人はすごい人だ」と思いました。

上杉鷹山という個人に対しては、今でもそう思います。

ただ、組織改革という点ではちょっと考えが昔とは変わっています。

それは、「無理に組織改革しなくてもいいんじゃないの?」ということです。

もともと組織改革ということを声高に言わないといけない組織は、組織改革には向かないのです。できている組織はそんなことを言わなくても普通にできるのです。できない組織だから、組織改革と言わなければならないのです。

上杉鷹山は、組織改革ができない灰の国だった米沢藩を、できる組織に変えました。これはすごいことです。

現代に置き換えれば、上杉鷹山という類稀な社長のリーダーシップのもとで、米沢藩という倒産寸前の会社が再生したといえるでしょう。

上杉社長は、組織改革に反対する守旧派にもめげずに、徐々に賛成派を増やしていき、業績回復を成し遂げたわけです。その手腕は本当に素晴らしいと思います。

ただ、これは上杉鷹山という人だったからこそ実現できたと思います。

普通の人ではできないでしょう。

だから、そんな無理なことを頑張って成し遂げようとするよりも、さっさと藩政を返上、つまり倒産を選択したほうが得策なのだと思います。

それは物語としては非常に面白くないでしょう。

さっさと諦めてしまうわけですからドラマもありません。

でも、権限を持っている守旧派とうまく折り合いをつけつつ、冷や飯派を登用して改革案を実行し、新たな収入源となるビジネスを立案し、そしてぬるま湯につかりきっている侍たちの意識を変え、改革魂に火をつけることなんてできるのでしょうか?

いや~荷が重すぎます。私だったら倒産を選択ですね(笑)。

倒産したらしたで、米沢藩のメンバーは困ると思いますが、倒産することで、守旧派という膿もなくなるわけですから、米沢藩というかたちとはまた別のかたちで自然と再生するのではないでしょうか。

行くところまで行ったほうが、結局は近道だという可能性はあります。

守旧派という膿が残っているような中途半端な状態で組織改革をしようとすれば、当然その膿にも配慮しながら改革を実行しなければなりません。

でも、そんなのはいいとこどりです。やはり膿がなくならなければ再生は簡単にはできません。

まずは一度死んでからのほうが、組織を生き返らせやすいとも言えます。

そう考えると、下手に組織改革をするよりは、何もせず放っておくほうが、より老獪な組織改革手法なのかもしれないと思うのです。

こんな言葉があります。

『縮めてやろうと思うなら、まずは、しばらくの間膨らませよ。弱めてやろうと思うなら、まずは、しばらくの間強くさせよ。潰してやろうと思うなら、まずは、しばらくの間繁栄させよ。奪ってやろうと思うなら、まずは、しばらくの間与えよ。』 by 老子

この言葉を応用すると、

「何かを変えたいのなら、まずはそのままにしておけ。」

ということが言えるかもしれません。

組織改革をする場合、上杉鷹山ほどの実力がないのであれば、下手に手を出してあれこれいじくるよりも、自然に任せて行くところまで行くのにまかせるというやり方も一考に値するのではないでしょうか。

組織改革をしないといけないような状況に追い込まれた会社が、いきなり組織改革できるものではありません。

ダイエットと同じで、それは長い長い習慣による「結果」だからです。

それを変えるには、習慣を変えなければなりませんが、習慣というものはそう簡単には変わりません。だから習慣なのです。

米沢藩のマインドセット、つまり考え方の習慣を変えた上杉鷹山。

彼は本当にすごい人だと思います。

普通の人にはマネができないからこそすごいのです。

Thank you for reading !

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