[その8]UA重松名誉会長に2年たって納められない話➞草木染の作戦会議
重松さんからご要望を頂いたのは
・70cm幅以上の絽と紗の草木染のストール
・一度試作した生地は、もう少しボリュームがほしい
あと生地を見ていた時の雰囲気から、
・紋紗の生地(ヘリンボーン柄)に興味をもたれていた。
ということ。
さらに草木染については、
御社がお取り引きあります染め屋さんの可能性並びにミニマムの染めロットを確認頂き・・
ということ。
これらの情報から、どうしていくのか考えました。うーん。
染ロットはミニマムということでしたが、順理庵さんの構える場所(銀座の路面店、六本木ヒルズのユナイテッドアローズ内)や、商品の価格などから大量ロットではなく、小ロットで仕入れらる方が好ましそうだ、ということで、1点から染められるかどうかを星名さんと考えればいいと思いました。
では、お仕事を前に進める為にはどうするか。
まず絽と紗の草木染のストールの可能性を示すにはどうしたらよいか。
生地もボリュームを出すのはそんなに難しくないけれど、ただそれだけでよいのか、自分たちだからできることを提案してみたい、と思いました。
そもそも、星名さんと最初出会ったときは、自分たちの生地一つ一つの特徴を見ながら、草木の色を選んでいただき、染めてもらったんだよな。それを見て自分たちは感動したんだよな、生地と染って相思相愛でなければだめなんだ~と思ったんだよな~。
だから生地と染の相性をまず伝えたい!
というわけで、また白生地と染のフィーリングカップルや~
さて、星名さんへまずこんな感じで依頼。イメージを伝えて、実際打ち合わせしようという感じです。
それから、星名さんと打ち合わせをしました。
まず、私たちの生地
要望の70㎝以上の幅の生地にボリュームをだしたもの。だけでなく、
・地模様の生地の確認。(70cm以上は織れないけど、もしかするとこっちがよいっていうかもしれないし~)
・絽なのか紗なのかの確認。
・光沢感の確認。(ある方がよい、ない方がよい、その中間ぐらい?)
・肌触りの確認(サラッと?ふんわり柔らか?ざらっと?)
・生地のハリ感の確認(柔らかくなめらか?ハリがあって立体感がでる?)
これらに組み合わせる、星名さんの草木染はどうするか?
まず、順理庵さんで扱っている綿のストールの色目を中心に提案してみよう!
それと、
シンプルといっても無地がよいのか、少しムラを出した方が好みなのか??
その辺を探ってみようと。
これらを網羅しつつバリエーションを揃えてみて頂き、まずは発注いただけるようにしよう!!作戦です。
打ち合わせの結果・・・
なるべく星名さんの得意領域の色をまず中心にしてみました。鼠色系。なんとなネズって書いてある。クロネズ、チャネズ、フジネズ、スネズ、ベージュネズ。。。
厳密に色名が定義できるわけではないのですが、色のトーンを統一させて星名さんの染はこうです!というのを伝えたかったのです。
あと、せっかくのご提案させて頂ける場なので
もっと自分たちらしさを出したい、と出てきて、星名さんとこんなやり取りも始めました。
つづき
これは、「白を贈る」ということを一緒に提案したい、ということ。
この「白を贈る」とは??
白生地(しろきじ)って、ふつうは聞かない言葉なのですが、要は着物を染める前の白い反物です。それを染めて仕立てて着物にします。
昔、着物が当たり前のころは、結納の品や贈答品にこの白生地をお送りしていたようなのです。しかも、赤い水引をかけて。そめる前の素材ではありますが、上質な絹織物には価値があったのです。
しかも、この白いモノを贈るというのにも意味があり(深く調べられていないので、詳しい方ご助言お願いします)、白にはまっさらで物事の始まりを表したり、相手の色に染まりますという気持ちを伝えたり。
そうですよね、これから嫁ぐときに、相手家の紋を入ったお着物を用意することだってあるでしょうし、紋はいれなくともハレの日用の着物を用意するでしょう。
ただ、このような慣わしは着物を着ていたころの話で、だんだんと無くなっていっています。白生地もらったって着物きないので困りますし、作ろうとするには、染代も仕立て代もかかる。
それに、結婚の際だって、だんだんと簡略化されて結納はしなくなっていっていますよね。あっ、私も両家顔合わせのお食事会のような形にしてしまっていました。汗
白生地産地である私たちが、白生地としての価値を理解して、後世に伝えていけることはできないか。着物ではなく、違うものでもよいのではないか?ということを星名さんと話し合い色々と取り組んでいたのです。
それはまた次回。
今回の主役?となる絽と紗のストール「絽紗」のHP
私たち、横正機業場のHP
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