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水星の魔女2期ED

私は各クール2〜3本のアニメを見ますが、今期その内の一本がこの「機動戦士ガンダム水星の魔女 シーズン2」です。今回はEDについてお話ししたいと思います。この作品は2022年の秋アニメがシーズン1でその続きとなります。他のガンダムシリーズはさておき、直近の水星の魔女シーズン1は見ていないと、出てくる言葉や話がわからないと思います。また、第14話までのネタバレを含むのでご注意下さい。

この水星の魔女はシェークスピアのテンペストが下敷きにされているというのは、よく言われている事です。最初のシーンで正面を向いているスレッタが後ろ手に組んで1人立っている場面です。後ろ手に組む姿勢は信頼等を表すとの事。映写機なのか、わりと高い位置からの強い光が差していて、膝のあたりには座席のようなものも映っています。劇場か映画館のように見えましたが、これから劇が始まる事を表しているようです。

今度はスレッタの後ろからのショットです。目の前には視界を全て覆うような大きなスクリーン。これは学園にある決闘の時に使用する戦場投影用のものでしょうか。

スレッタが右手を挙げるとスクリーンが一瞬発光し青空のような空色が映った瞬間、深い紫色の夜空が映し出されます。右手を上げる動作は全体への動きの指示などで使われます。戦争もので指揮官が右手を上げると、計画されていたように軍が動き出すなどの描写でよくつかわれます。ここから動き出します。

それまで全身を捉えていたカメラは右手にフォーカスします。手を下ろす時もカメラはついていき右手を写し続けます。右手に沿って星屑のように白い細かな点が流れて行き、それが線となりスレッタの手
の下に色の無い手の形になります。

それまで寄っていたカメラは引いて全身が写ります。そこには向かい合わせに立って、お互いに右手を差し出しているスレッタとミオリネがいます。スレッタには色がついていますがミオリネには色が無く、しかも少し線がぼやけています。精神体とか思念体といった感じで存在感が希薄でふわふわしています。

ミオリネと手を合わせようとするスレッタですが、すり抜けてしまいます。ミオリネは画面左から右にスレッタを透過して消えます。スレッタはその行方を探す様な素振りを見せますが、ミオリネはなぜかまた画面左から登場します。触れ合おうとしますが、触れ合えずにその場で少し飛び上がったり、見つめ合ったりし、右方向に透過して画面から消えます。ここは第12話での事件に絡んで2人の心の距離、物理的な距離(13話開始時にはミオリネは学園にいない)で不安定な2人の関係を表していると思われます。

気配を感じで振り返ると赤い線で形取られたエアリアルが現れます。このエアリアルは注意を引くように右に左に動いています。スレッタがしっかり認識すると、今度はスレッタが左、エアリアルが右に立ち、向かい合わせになります。お互い右手を掴み合った次の瞬間、エアリアルは左手をスレッタに突き立てます。スレッタは海老ぞるような姿勢で脱力し画面の外縁はピンクに塗られ、同じ色の血飛沫のような飛沫の表現がされる中、突き刺さった所から青い光が十数本発せられます。

ここは色々な意見があり、ウテナやピングドラムのように何かを引き抜いた系と何かを入れた(インストールした)系があります。ただどちらにせよ衝撃的な映像であった事は確かなようです。

次のシーンで誰かのシルエットが登場します。少しずつパンしていく事でスレッタだとわかります。ここでスレッタに青いパーメットの光が走ります。作中で青いパーメットが出せるのはエリクトのみです。エリクトの現状ははっきりとしませんが、データ化(精神体化、思念体化)されエアリアル内部に保存されていると考えています。この時、プラスペラから渡された髪留めがハズレ長い髪が広がります。これにはエリクトのインストールに成功した事でスレッタにつけていた呪縛は必要無くなったと解釈しています。

一瞬カラー画面に戻りスレッタ(エリクト)目線でミオリネが笑顔で手を繋いでいるシーンが差し込まれます。これはスレッタの最後の記憶では無いかなと思います。すぐに赤黒い画面に戻りドレスを着たスレッタは踊りながらガンビットを自由に扱います。全身からバストショットになった際にずいぶんと大人びた表情になったスレッタは5人に増殖し輪になって踊ります。エリクトを最終的にエアリアルに保存するまでにクローンなどであと何人かのエリクトがいたのでは無いかと推察しています。何せエリクトは最高のパーメットスコア保持者です。技術的に可能ならばクローンでもコピーでも残しておくべきでしょう。また、21年前の襲撃時に4歳だったエリクトは今年で25歳です。17歳のスレッタに比べれば大分大人です。ここの表現はそういう意図だと考えます。

ただこの考察には問題もあって、肉体を喪失したエリクトが自分が25歳になった姿というものを想起出来るものなのか?という事です。何年経っても教育も受けない、言語も発達しない中、おそらくパーソナルイメージは4〜5歳なのではないでしょうか。本当にスレッタにエリクトをインストールしたとしても、出来上がるのは17歳の肉体を持つ4歳児ではないかな?という事です。

次に5人が同時に両手をあげます。ピースサインを輪のように並べて花を作っているように見えます。が、よく見ると手は9本しかありません。5人が両手を上げたなら10本になるはずなのですが、右手が足りません。作中に右腕が欠損している人物はプロスペラ(エルノラ・サマヤ)です。すると、この列にプロスペラ自身も入っていると?流石にこの考察はどうかなと感じました。また、ガンダムは北欧神話の影響を受けており9という数字は北欧神話では完全を表します。なので完全存在になるためにプロスペラの寄与があったくらいに捉えています。

次は黒一色の背景に白い線でミオリネが描かれ、顔のアップになるのですが、その際に左目が発光します。左目がgund義眼なのはプロローグの博士です。クワイエット・ゼロの発案はミオリネの母ですし、父は秘密裏に推進していました。どうもこの博士もプロローグだけの存在では無く今後なんらかの影響を及ぼすと感じています。

次のシーンではカラーになりガンビットが飛び回る中ドレス姿のミオリネと大人スレッタが両手を繋いで踊っています。大人スレッタは軽く微笑んでいますが、ミオリネは「この人誰?」といった表情です。手を繋いで微笑んでいたミオリネはもういません。エリクトがインストールされたスレッタはもう知ってるスレッタじゃない事を察知した表現だと考えています。2人はくるくる回り続けミオリネは背をそらし脱力していきます。段々と2人の姿は小さくなったところで初期型のエアリアルが2人を包み込みます。

瞬間フラッシュし今度はミオリネが左、スレッタが右に向かい合わせに立っています。全身が写っていて2人は学校の制服を着ています。手首を立て両の手のひらを合わせています。カメラが肩から肘くらいまで入るくらいズームすると、スレッタは背が高いので表情が入りませんが、ミオリネは目が半分入ります。しかし横顔ですしはっきり表情がわかるわけではありません。そしてゆっくりと指を折り恋人繋ぎしていくのですが、その際ミオリネはほんの少し震えるのです。

EDは作品の要約でも解説でもないのですが、非常に不穏なEDで興味は尽きません。歌われているアイナ・ジ・エンドさんの歌唱力は素晴らしく大きな世界観をお持ちの方です。また、作詞作曲のTKさんは水星の魔女という作品を深く読み解いた解像度の高い歌詞をお書きです。オーイシマサヨシ氏が言っていましたが、JpopやJrockの人たちが恐ろしく解像度の高い作品を作られるので、アニソン歌手特に男は絶滅するのではないか、と言われていました。OPももちろん素晴らしいのですが、ささくれのように心に引っかかるEDは早いうちに形にしないと時期を逃してしまうので、急遽アップした次第です。

では、またお会いしましょう。


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