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スポーツと貧血について

画像メインでスポーツと貧血について説明していきます

貧血基礎情報


鉄分だけではなく葉酸、ビタミンB12も正常な赤血球生産には必要です。
貧血にもさまざまな種類がありますがここでは一般的な貧血とされる鉄欠乏性貧血について紹介していきます。

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鉄欠乏性貧血の原因は鉄分の需要と供給のバランス崩壊です。

供給:鉄吸収、摂取低下
需要:鉄の排泄、必要量の増加

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貧血の症状は以上のような感じです。

異食症:氷や石の壁などが食べたくなる(原因不明)
匙状爪:普通の爪は丸みを帯びているが平らになったりへこんでくる。
眼瞼結膜蒼白:下まぶたの内側が赤みがかっていない

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競技と貧血


持久系のパフォーマンスが主に低下します。
グラフはどちらも最大酸素摂取量(持久力の指標)とヘモグロビン値(貧血かどうかの指標)の相関図ですがかなり関係が強いと思われます。

鉄剤の投与でヘモグロビン値が回復するにつれ最大酸素摂取量も回復していったそうです。

鉄欠乏性貧血以上正常未満みたいな状態(フェリチン;20μg/ℓ)ではパフォーマンスが低下するという報告もあればしないという報告もあります。

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一般的にはアスリートに貧血は多いそうです。
運動による貧血の原因は
・成長や筋肉量増加による鉄需要の増加
・汗からの鉄の喪失
・運動に伴う溶血や赤血球の破壊の亢進
・消化管、尿路系からの出血
・トレーニングによる疲労とそれに伴う経口摂取量の低下
・見せかけの貧血(一時的なヘモグロビンの薄まり)
とされています。
特に成長期、アスリート、女性は注意が必要です。

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アスリートの特徴的な溶血として「footstrikehemolysis」というものがあります。足部の衝撃が血管内の赤血球に伝わり破壊されてしまうものです。
これが貧血の主要因になることは少ないらしいものの腎機能障害や貧血の要因の一つになりかねないので紅茶色やコーラ色の尿が出たら要注意です。
赤血球膜の強さも関係するのではないかと思われます。

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年齢、競技、身体組成、運動時間、地域差など様々な要因がかかわるので医療機関によってヘモグロビン値(貧血かどうかの判断指標)基準が違います。また、貧血は進行性なので早期の発見が重要です。

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鉄の摂取


鉄はヘム鉄、非ヘム鉄の二種類に分かれてます。

動物性の食品に多く含まれるのがヘム鉄
植物性の食品に多く含まれるのが非ヘム鉄です。
ベジタリアンアスリートは貧血が多いそうです。

ビタミンC、動物性たんぱく質は非ヘム鉄の吸収を促進
コーヒー、紅茶、玄米、大豆に含まれるタンニン、フィチン酸は鉄の吸収を阻害します。

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成人男性は1㎎の鉄排泄
成人女性は2㎎の鉄排泄(経血の排泄含めた平均排泄量)

さらにアスリートは運動による鉄必要量がプラスされます。
成人男性競技者は10㎎
成人女性競技者は15㎎の鉄摂取が必要ではないかと推定しました。

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鉄が溶出しないステンレス鍋と鉄鍋でそれぞれ同じ調理をし、料理の含まれる鉄分の差を調べたところ鉄鍋で作った料理には鉄分が多く含まれることから貧血の改善には鉄鍋での調理がよいのではないかという研究です。

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貧血になった場合

病院で貧血と判断された場合、通常鉄剤が処方されます。
100㎎~200㎎の鉄剤が処方されるのでスーパーやコンビニでよく見かけるこれらの商品では改善には足りないのでは、と感じました。ですが鉄欠乏の改善なら十分ではないかと思います。

貯蔵鉄の回復(貧血からの完全な回復)には長いスパンが必要です。

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重度の貧血もしくは鉄剤の処方が困難な場合、鉄剤注射が適用されます。
鉄剤注射は何年か前に陸上の強豪校が健康のためではなく競技力向上のために鉄剤注射をしていたことが発覚したため①から⑤のようにかなり限定的になりました。

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まとめ

鉄欠乏性貧血は進行性
→症状を感じる場合かなり進行してる場合も
→早期の発見、重症化を未然に防ぐことが重要

日頃のの過不足ない鉄摂取が必要
→女性、成長期、アスリートは要注意
→通常であれば一日の鉄摂取上限は40㎎程度


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