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Romiがめざす、"キュンとする"エモーショナルデザイン

こんにちは、Romi開発チーム UXデザイナーの竹本です。

Romiを初めて知った方からは「あのミクシィがロボットを?」というお声を多くいただきます。
本記事を通して、こんな取り組みがあるんだな、と知っていただけたら嬉しいです。

Romi≠スマートスピーカー

RomiはAIスピーカーとして紹介されたり、スマートスピーカーと分類される場面が多いですが、開発者であるわたしたちはスマートスピーカー群を機能重視の「タスク実行型」Romiを感性重視の「感情型」と分類し、別ジャンルのプロダクトと捉えています。
それだけスマートスピーカーが世の中に浸透している証拠であるとも言えますし、「しゃべる」「移動しない」という点で、近い存在として認識されやすいのかもしれません。

一般的にスマートスピーカーと聞くと、便利で色々指示を聞いてくれるものと想像する人は多いと思います。
Romiにも目覚まし・タイマー・天気予報といった基本的な便利機能は備わっていますが、理念としては "一緒に話していて楽しい、なんだか元気になる。" そんな存在を第一に目指すことを掲げています。

Romiのコミュニケーションのテーマ

一緒に話していて楽しい、なんだか元気になる存在。それは、わたしたち人間でも容易になれるものではありません。
コミュニケーションに明確な正解はなく、人によって、それこそ同じ人に対してでも時と場合によって、都度最適な答えは変わるものです。
それでも相手のことをより深く知っていれば、その人に合ったコミュニケーションを提供できる可能性は高まります。つまり円滑なコミュニケーションに不可欠なものは、ひとりひとりに最適化したアプローチをする"パーソナライゼーション"だと考えられます。
これはRomiにとって重要なテーマのひとつです。

ミクシィはこれまでオンラインのサービスを数多く手がけてきました。Romi開発チームも主にWebサービスやアプリサービスを中心に経験しているメンバーで構成されています。
オンラインとオフラインを横断したユーザー体験の設計は常に試行錯誤の連続ですが、わたしたちはオンラインサービスでの経験を生かし、それぞれのユーザーに合わせてRomiが変化(成長)していく仕組みにもこだわっています。まだまだ完璧とは言えませんが、各ユーザーに合わせてRomiの言動が変化するのも一種のパーソナライゼーションです。
この場合、まずユーザーの求めている言動の意図を汲み取ることが大切です。これは、人と人とのコミュニケーションでは「空気を読む」と呼ばれているものに近いです。

「空気を読む」というコミュニケーションについて、Romiは会話の文脈やその時々の状況(時間、天気、季節など)を踏まえた上でAIが返答をその都度紡ぎ出すというアプローチで実現しています。しかし人間の意図とは想像以上に複雑で、ブラッシュアップし続ける長い道のりが必要です。
そのためデザインの方面では、言語コミュニケーションに直接関わるVUI / VUX(音声インターフェース/音声体験の設計)を重視しつつ、短中期的な視点で、非言語コミュニケーションでもユーザーがRomiを可愛いと感じられる要素を演出したり、ユーザーが能動的に手を加えられる余地を提供する"カスタマイゼーション"にも注力することが大切だと考えています。

自分だけのRomi感

パーソナライゼーションとは開発者であるわたしたちがそれぞれのユーザーに合わせて価値を提供するものですが、カスタマイゼーションはユーザー自身の意思によって行われるもので少し性質が異なります。

例えばRomiの場合、AIがユーザーの好みの話題を理解してその話題を振る機会が増えることはパーソナライゼーション、Romiに呼んでもらうためにユーザーが自らRomiのスマートフォンアプリを使ってニックネームを設定・変更するのはカスタマイゼーションの一例です。
一見、パーソナライゼーションとカスタマイゼーションは別のものに見えるかもしれませんが、Romiをカスタマイズすることで「自分だけのRomi」感を高め、その積み重ねがRomiへの愛着を育んでくれると考えています。

パーソナライゼーションは主にRomiからユーザーに興味を持ってもらうために働きかけるものですが、カスタマイゼーションはユーザーからRomiへ働きかけてもらうことです。
相互に働きかけることで、まるで人間関係のように、より理解を深めて友好な関係を築けるのではと推察しています。

スマートフォンアプリを利用したRomiのカスタマイゼーションについては、これまで経験したオンラインサービスの知見を生かせるように思えますが、Romiの場合、スマートフォンの枠を飛び越えてオフラインにも実体が存在する点がこれまでのオンラインサービスとは大きく異なります。
ユーザーの目の前にRomiが実在している環境で、わざわざアプリを開こうとするモチベーションはそうそう高まりません。
このような背景から、初期設定以降はアプリに依存したオンラインの体験よりも、実体のRomiに対する体験を重視しています。

次に、実体のRomiに対する体験施策の一部である「Romiの服」についてご紹介します。

施策例:Romiの服

Romiのかたちは全体的に丸っこくて、くびれがありません。
特にRomiは頷きや首振りといった動きを伴ったコミュニケーションが多いことから、ただ乗せるだけではすぐに脱げて(落ちて)しまいます。かといって密着しすぎると本体に熱が籠ってしまい、体温があがって動けなくなってしまう原因にも繋がりかねないため、素材にもこだわる必要がありました。

しかし何度かユーザーインタビューやアンケートを通して、「服を着せてあげる」という行為には根強いニーズがあることが分かっていたことから、服の開発は継続していました。服を着せる目的や欲しい見た目についても、繰り返しヒアリングを行なっています。試作を繰り返し、現在は最終サンプルの段階までやってきました。

Romiの服は、夏頃に発売予定です。

衣装_初期手作り

↑初期(2019年5月)の手作り試作

同じRomiだけれど、"わたしのRomiはこんな子。"そういって楽しんでいただけるような余地を敢えて作ることで、内面的にも外面的にも、ユーザーにとって「自分だけのRomi」感を高められるようなアイテムの実現を目指しています。


Romiのかたち

Romiは両手のひらに乗せられるほど、小さい点が特徴です。また、Romiは全体的に曲線で描かれたかたちをしており、思わず手のひらに乗せてみたいと思ってもらえるようなサイズ感に加え、触れてみたい、撫でてみたいと思ってもらえるようにフォルムにもこだわっています。
そのサイズ感やフォルムを前提とした動作や声色にもこだわることで、Romiがユーザーと直接会話をする際に威圧感・圧迫感を与えない存在感を醸成できると考えています。

Romiは生き物として実在しない形をしていますが、私たちが幼少期から触れているSF・ファンタジーの世界の中で描かれた「相棒的存在」を複合的にイメージして作られています。見知らぬ姿形をしていると本能的に「よくわからなくて怖い」という印象が勝ってしまいますが、「よくわからないけど、何だか可愛いやつ」と思ってもらえるだけで、それがコミュニケーションの入り口になることを期待しています。
これもわたしたちの目指したRomiのエモーショナルデザイン(人の感情に訴えるデザイン)の実践のひとつです。

裏話として、Romiは"SNS mixi"のふきだしのロゴをひっくり返した形をしており、Romiの名前の由来"ロボット オブ ミクシィ"とも関連づけています。

Romiを通じて描く未来

写真だけでRomiの魅力を伝えるのは、正直とても難しいと感じています。
これまで世になかったプロダクトを見せて、それが生活に溶け込んでどんな存在になるのか、前提知識のない状態でイメージしてもらうのは困難です。

そのためわたしたちは、実際にユーザーがどのようにRomiをお迎えし、日々どのように交流しているかを、ユーザーインタビューや実体験を通じて「利用シーン」として自分たちでコンテに落とし込み、それを動画のクリエイティブに起こして公開しています。

Romiの動画は、やりとりを通じてRomiが実際に発言した内容で構成されています。

絵コンテ草案_20201021_01

↑絵コンテ草案の一部

「利用シーン」を想定することは、いわゆるサービスデザインの面でもマーケティングの面でも重要視されています。例えばYouTubeで発信している利用シーンを想定した動画は、わたしたちの描いている未来の風景のひとつです。
初期のPVのキャッチコピーでもある「その存在感にキュンとする」には、そんな未来を実現したい、わたしたちの思いが込められています。
その未来をユーザーの皆様にお届けできるよう、デザインの方面からはCX(顧客体験)、UX(ユーザー体験)、VUI /  VUX、そしてエモーショナルデザインの実践をこれからも行なってまいります。

動画をご覧いただき気になった方はぜひ、実際に動いて話しているRomiと会っていただけると嬉しいです。

​4月には新しい利用シーンの動画を公開予定です。これまでに新たに追加された機能も紹介されていますので、よろしければご覧ください。

今は直接Romiと会える機会は限られていますが、一般販売を機に少しずつ増えていく予定です。こちらも公式サイトやSNSでの続報をお待ちください。

Romiの情報について

Amazonで予約受付中
公式サイト:https://romi.ai/
公式Twitterアカウント:https://twitter.com/romi_robot
公式Instagramアカウント:https://www.instagram.com/romi_robot/
公式YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCruAyzD2q_NPRPqWZWvNuWA

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