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運動中、◯◯筋を使おうとして使えてますか?

1人で運動していたら自分で考えない限りないと思うけれど、動きを見てもらったりすると、よく言われるのが

「◯◯筋使って」
「△△は使わないで」

…なんていう指示。そう言われた時、あなたはそれを使えてますか?使えてなかったら、どうしたら使えるんだろう?そして、指導者側からしたら、どう伝えたらいいのか。

今回は、言われる側(生徒側)、伝える側(指導者側)、両方の立場からみていきながら、今後の改善につながるようにしていけたらと思います。

前提として、筋肉自体は自分の筋肉名は知らない

「◯◯筋を使いたい!」

そう念じても、実はその◯◯筋は自分が◯◯筋だとは知りません。筋肉名はそこについて話す人たちが便利なように勝手に名付けられただけ。おまけに、実際には筋膜という膜に包まれ、名前は別々の筋肉でも同じ筋膜の中にあったり、それほど別々の筋肉と言えるのかわからないものもたくさんあります。(これほんと)

また、人間、どこか一つの筋肉だけを使うということはありえません。たくさんの筋肉がオーケストラのように働きます。それを知っていることも大切。(どこかの筋肉だけ筋トレしたところで、全体的なパフォーマンスが上がるかというと、そうではなかったりします)

ただ、△△筋より◯◯筋をよりしっかり使いたい、というようなシチュエーションがあるのは事実。そんな時どうするか、まずは、指示を出される生徒側の観点からいきましょう。

【生徒側】まずは、その筋肉がどこにあるかわかっていること

念じても意味はなかったりするものの、筋肉や体の部位の名前を聞いた時に、どこを指しているのかがわかると、目指すゴールはわかりやすくなります。

ただ、その使うように指示されたところに力を入れれば言われた通りになるかというとそうでなかったりもする。

なので、結果、そこを使うためには何をすればいいのか、というのが大切です。場所に限らず、どんな働きをするのかなど、調べてみたり、指導者に聞いてみたりするのがおすすめです。

【生徒側】邪魔しているところはどこなのか

◯◯を使って、と言われて、意識して使ってみたらうまくいき、「そうそう!」と言ってもらえれば、ひとまずそれでOKで、深く考えることはないんですが、

問題は、意識して使ったつもりなのに「いや、違う」と言われてしまった時。

正直なところ、ここに関しては言う側(指導者側)が工夫すべきところだと思うんだけれど、ひたすら同じことを伝えてくれる人もいるので、もし自ら工夫するのであれば、

その邪魔をしているところがどこなのか思い出してみるのもおすすめ。

例えば、前ももじゃなくて、裏ももを使って、というよくある指示だったら、おそらく、前ももには力が入りすぎてるから、まずは抜くところから始めてみたり、

肩が上がってるから下げる、という指示であれば、ぐっと下げる前に、肩を上げちゃってる肩から首への力を抜いてみたり(胸の力を抜くのも良い)。

前ももを緩める前に裏もも使おうとしたところでなかなか使えない、もしくは前ももはガチガチのままであまり効果的で無くなってしまうし、

肩を下げる前に上げちゃってる筋肉がゆるんでくれないと、肩を下げるための力も無駄に多く必要になり、肩の上も下も、もれなくがっちがちコース。

【指導者側】意識の問題なのか、構造の問題なのか

「◯◯を使って」なんていう指示で生徒側ができてるのであれば、それはそれでOK。ただ、この指示でできない、もしくは毎回同じことを伝えなくてはいけない時もあります。

そんな時に気をつけたいのは、生徒側が意識したところで、身体の構造に足枷があれば(ものすごく組織に硬いところがある、とか)、動きにくくて当然。それを意識だけで使えるようにしたり、使わないようにしたりできたら苦労はありません。

本人の意識がうまくいってなくて使えてないのか、意識自体は問題ないけれど構造上の問題で使いたくても使えていないのか、その見極めは指導者側には大切ですね。

構造上の問題であれば、使い方をどれだけ言ったところでどうにもならないこともあります。構造上の問題を解決すべく、専門家にお願いするか、そこを改善させるためのアプローチが必要に。

【指導者側】結果としてそうなるように、逆算して考える必要性

私は長年、

「肩を上げない」
「前もも使わない」
「脚の後ろ側を使う」

などなど、よく言われる注意を言われて続けてきました。もちろん、気をつけるけれど、それでもどうにもならないことってあるんですよねぇ。

もちろん、やる側の試行錯誤は大切です。だけど、上記したように、構造上の問題であったり、どうにもこうにもできないことはあります。そんな時、指導者側がひたすら同じことを言って改善するかというと改善しません。

では、構造上の問題ではないのに、使うべきところが使えてなく、「使って」と言っても使えない時はどうすべきか。

どうしたらそこを使う結果につながるのかを考えます。

例えば、前腿をそんなに使わずに、もっと裏ももを使ってもらいたい時、

・足の体重の乗り方はどうだろう
・足裏をイメージしてもらおうか
・上半身の力が抜けたら改善しないだろうか
・坐骨をもう少し広げる感じだとどうかな
・背中を感じてもらおうか

などなど、いろんなことから結びつけていくことができます。

どこのスイッチを押したら、望まれる動きが現れてくれるのか。望まれる動きをやらせるのではなく、引き出せるようにアプローチしたいものです。

最後に

私の理想とする指導は、先述したように、望まれる動きをさせようとするのではなく、自然にそうなるように導いていく指導です。

運動指導者対象に開催しているコース(*)でも、そこを大きなテーマとしてすすめています。

なぜかと言うと、多くの場合、生徒側は指導者側の指示をしっかり聞いていて、実行しようと努力をします。けど、それで出来ない時、どうしても追い詰めてしまいがちなんです。

「気をつけてても、また注意された。どうしたらいいんだろう」

もちろん、そうやって悩むことも大切。でも、根を詰めて、そこから負のスパイラルに陥り、身体が緊張に包まれていく人もとても多い。緊張した身体は怪我も生まれやすい。真面目であればあるほど、そうなりがちかな、と思ったりもします。

悩み方にもいろいろあります。真っ暗闇の中で悩むのと、光がどこから差してるかを感じながら悩むのと。後者の方が、より健康的で、建設的な悩み方ができるような気が、個人的にはしています。

運動指導者は、いかに相手の感覚に寄り添い、どこを繋げれば、その動きに結びついていくのか、という力が必要だし、

同時に、生徒側も、もし指導者に同じことを繰り返し言われ続けているのであれば、そこを掘り下げるために質問をしたり、質問しても返ってこなかったら(私は生徒としてこの経験あり笑)、あきらめて自分で工夫するなり、指導者を変えるなりが必要かな、と思います。

状況にもよりますが、できるだけ楽しくやれるに越したことはなくないですか?悩むにしても、ただ深く穴を掘るだけでなく、どこに向かって掘っているのかわかっていた方が救いがあります。

先週の松永有紀さんの記事にもつながりますね。

指導者はたくさんいます。もし、合わない、言葉が伝わらない、というときには、他の指導者にトライしてみる、というのもおすすめです。動きを引き出してくれる指導者に出会えることを、心から願っています。ぐんと楽しく、健康的になりますよ。

*運動指導者のためのコース。新規コース生受付中*
https://holisticsystems.mystrikingly.com/

*賢い生徒になるためのヒントにおすすめ*
『ヒントは自分のカラダの中にある』

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