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モノ言うコーモン 弐 ~爽快やぁぁの朝~

注:『 』は心の声です。

次の朝 6:00am

『起きなさい乙女 起きるんぢゃ』

乙女は目を開けず、なんやの顔で『んぅぅぅ』

『起きろ』

うっすら目を開け、怒った顔で『うるさい』

『むぅぅぅ 外さん 内さん 懲らしめてやりなさい』

外さんと内さんが、そろって声なくしめあげる
ギュギュギュッ ギュアグウウウッー

「ギャァアア 何すんねん」と乙女は目を見開いて大声で飛び起きた。

ず 腸より始めよぢゃ よいな』
乙女はまだ反抗顔で『うぅぅぅ』

『最初はツボからぢゃ 仰向あおむけになりなさい』
「はぁぁぁ」とあきらめ、バタンと素直に横になる乙女

天枢てんすうと言ってな、ヘソから左右に指3本の処にあるツボぢゃ天枢を人差し指と中指と薬指の3本の指をそろえて、左右いっしょに、ゆっくりと、強めに、10回押すんぢゃ』

ここが天枢ぢゃ

『うむ、そこぢゃ ゆくぞ いぃーち にぃ… 乙女…リラックスせんかぁ』
なんやの顔で『してるで どないせいゆうねん』
『簡単ぢゃ 笑顔ぢゃ
なに言うてんねんの顔で『笑顔て…』 ほんなら 『こうかいな』
『それはバカ笑いぢゃ 微笑むだけで良いんぢゃ 微笑むだけで、躰は自然とリラックスするんぢゃ』
乙女は素直に優しく微笑んで『こうか?』
『うむ そうぢゃ ゆくぞ いぃーち にぃーい さぁーん しぃーい
ギュル 『ん? お腹が何かなんか言うてるで』
『まだ、ほんのさわりぢゃ そらゆくぞ  ごぉーお ろぉーく なぁーな
乙女…笑顔ぢゃ  はぁーち きゅーう じゅーう よぉぉし』
ギュゥゥ言うてるで 大丈夫かいな』と神妙な乙女

『まだまだぢゃ 次は爪先つまさき眺めぢゃ』
口をへの字に『なんやそれ』
両手を頭の後ろに うむ 腹筋で頭を上げて 首だけで上げるのではない 腹筋で上げるんぢゃ』
眉をよせて『朝からキツイでコレ』
『上げすぎぢゃ 軽くでええんぢゃ』
なんやの顔で『先言わんかい こうか?』
『そんなもんぢゃ それで足の爪先を5秒間眺めるんぢゃ』
なんでの顔で『これで、どないなんねん』
『腹筋で腸全体を起こすんぢゃ』
フーンの顔
『ぢゃ10回ゆくぞ はい頭を上げて いち にぃ さん しぃ ごぉ 休んでぇ 笑顔ぢゃ笑顔 うむ はい上げてぇ にぃ にぃ さん しぃ ごぉ はい休んで はい上げて さん にぃ さん しぃ ごぉ ・・・ じゅう にぃ さん しぃ ごぉ』 ふぅぅぅ『もうええか』

『まだ始まったばかりぢゃ 次はお腹をマルっとマッサージぢゃ』

ゆっくりと時計回りぢゃ

鳩尾みぞおちに両手を重ねて うむ 指の腹で軽く押しながら、お腹に大きく10回 円を描くんぢゃ よいか ゆくぞ いぃぃーーちぃぃ にぃぃ… 乙女…笑顔ぢゃ え・がぁ・おぉぉ』
はいはい ニッ
にぃぃーーいぃぃ さぁぁーーんーー しぃぃーーいぃぃ
ギュッ ギュッ ギュルル『なんや、色んなトコが鳴っとんで』
『ええ調子ぢゃ ごぉぉーーおぉぉ  ろぉぉーーくぅぅ なぁぁーーなぁぁ ・・・ じゅゅーーうぅぅ よぉぉし』
お腹をさすりながら『もうええやろ』

『まだぢゃ、次はS字プレスぢゃ』
は?『なんやて!? なにすんねん』
左の腰骨の一番高い所があるぢゃろ その腰骨の内側のふもと

ここぢゃ この下がS字結腸の入り口ぢゃ

そうそこぢゃ そこに両手を重ねて、指の腹でゆっくりと、強めに、10回押して、S字結腸を刺激するんぢゃ S字結腸の先が直腸ぢゃ ゆくぞぉ いぃーち にぃーい 乙女…笑顔ぢゃ さぁーん しぃーい ごぉーお ろぉーく なぁーな はぁーち きゅーう じゅーう よぉぉし』
おッ!『なんか… なんか来たんちゃう?』

『まだぢゃまだ機は熟しておらん 最後に骨盤底筋体操ぢゃ 昨日やったの 5秒間ワシをキツく〆て 頭のてっぺんをつかみ上げるようにじゃぞ そして、ゆっくりと緩めるんぢゃ これを10回ぢゃ はじめッ』
乙女は微笑みながら下唇を突き出してギュウウウッ
モノ凄い顔になっとるぞ乙女 ここで笑顔はいらん』
なんやとゴルゥァァア『先言わんかい ナニやらすねん!』
『カッカッカッカッ』
眉を吊り上げ凄む「おかしなぁい』
『笑顔は緩める時にぢゃ ゆくぞぉ 〆なさい いち にぃ さん しぃ ごぉ フゥゥゥと笑顔で緩めるぅぅぅ はい〆なさい にぃ にぃ さん しぃ ごぉ 笑顔で緩めるぅぅぅ 〆てぇ さんにぃさんしぃごぉ 緩めてぇぇ ・・・  じゅう にぃさんしぃごぉ 緩めるぅぅぅ よぉぉし 体操はここまでぢゃ
さぁ起きなさい』

乙女は起きながらお腹をさすって『なんや腸は色々鳴ってるしやな 実弾も降りたがってる感じやで』
『うむ ちゃんと腸に向き合えたの さぁフィナーレぢゃ まずは顔を洗うんぢゃ 顔を洗ったらコップ一杯の水を一気に飲むんぢゃ 一気にぢゃ』
ほぉ『はいはい』ゴクッゴクッゴクッ
ギュギュギュギュ『ん? なんか来たで もぉええやろ』
『まだぢゃ、ちゃんと朝ご飯を食べてからぢゃ 着替えなさい』

乙女は目を細め『見んなよ』

『な なんぢゃとぉ!? 八百万やおよろずの神のこのワシにぃ何たる無礼! 外さん 内さん 懲らしめて…』
あわわわ『やめんかい! わかったわかった あんた神さんやったんかい
そんならそうと、先言わんかい』…いつもひと言多い乙女

制服に着替えてトントントンと階段を降りると
「あら!? なんやアンタ 今朝は早いやんか どないしたん?」
「おはようさん」と驚くオカンの横をすり抜けて、
「いっただきまぁぁす」と朝食を片付けた。
『もうちょっと、ゆっくりと食べれんかのぁ』
何言うてんねんの顔で『遅いがな もう食べてもた それにな もう内さんユルユルで降りてきてんで』と返しながら聖域トイレへ飛び込む。

『その降りてくる感覚を忘るるでないゾ それが機が熟したと言うことぢゃ よぉぉぉし 最後にもう一回 ワシを〆なさい
は?『い いらん思うで!?』
『ええから キツく〆るんぢゃ』
乙女は下唇を突き出してギュウウウッ
『今ぢゃ 笑顔で解き放てぇぇぇ』  ニッ

ドドォーーン

「来たぁぁぁぁ」と笑顔で叫ぶ乙女。
『うむ すべて忘るるべからずぢゃ』を残してコーモンは静かに消えた

ドア越しに心配するオカン「あんた なに言うとん? 大丈夫かいな?」
乙女は聖域トイレから顔を出すと「爽快やぁぁ」と17歳の笑顔でこたえた。

おしまい

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