みなみあらた

浜松 のリーマン です。 スッキリと、ニッコリで、ドッキリな物語を書いてます。

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マガジン

  • エッセイ 「静かの海」のナゾ

    「静かの海」と翻訳したのは、いったい誰だろう。

  • ことわざ・がたり

    ことわざを主題に発想した物語です。

  • シン・九州 ~とある次元の物語~

    人が世界を壊す時代、人新世。人新世に漕ぎ出す、九州連邦。この新しい国の、そのゆくえは?

最近の記事

道頓堀の女王アリと仲間たち 6

こんな風に話してるように思えてしゃあない 争奪戦 5 大阪 道頓堀に面したテラスの地下深くに広がる巨大な巣イブ・シティの地下2階。女王サイのトンデモない聞きまつがいで、謂れのないトバッチリをくらった2匹のアリが、女王の間から血相を変えて飛び出してくる… 「アンタらッ」 女王の間からトップスピードで逃げ出してきた第8旅団中継班カワと入口駐屯室警護班長ウシが呼び止められる。2匹はキッキッキーッと止まり「エッ」と揃って振り返ると、話しかけてきた美しいアリに「エェーッ」と見惚れて

    • 道頓堀の女王アリと仲間たち 5

      こんな風に話してるように思えてしゃあない 争奪戦 4 湊町リバープレイス横の天空の広場で、探索係第8旅団の目の前に巨大なケーキの山が落ちてきた、その夜遅く。 大阪 道頓堀に面したテラスの地下に深く広がる巨大な巣イブ・シティの地下1階 外勤待機室がナニやら騒がしい… 地下       入口 1階 [ゴミ捨て場] [入口駐屯室] [外勤待機室] [トイレ] 2階 [豪華トイレ] [女王の間] [女王食料庫] [女王駐屯地] 3階 [ゴミ捨て場] [ユリカゴ] [送風係] [外

      • エッセイ 「静かの海」のナゾ  統

        初めて不思議に想ったのは、いつだったっけ。 月が話題になると、想い出したように調べて、すぐに行き詰る。 着陸できなかった ispace で、また想い出した。 「静かの海」と翻訳したのは、いったい誰だろう。 どうして「静かの海」なのか? アポロ11号が降り立った月面の海の名前をウィキペディアを引くと、 ラテン語名は、Mare Tranquillitatis 英語名は、Sea of Tranquility とある。ここまでは、ネットが無い時代でも辿り着けた。 Tranqui

        • 道頓堀の女王アリと仲間たち 4

          こんな風に話してるように思えてしゃあない 争奪戦 3大阪 道頓堀に面したテラスの前にはお洒落な花壇。その地下にザッと5万匹のアリたちが暮らす巨大な巣イブ・シティが深く深く広がっている。 5月のある夜、湊町リバープレイス横の天空の広場で、探索係第8旅団およそ90匹の目の前に巨大なケーキの山が落ちてきたその夜、第8旅団中継班のカワがフラフラになってイブ・シティに帰ってきた。 イブ・シティ 地下       入口 1階 [ゴミ捨て場] [入口駐屯室] [外勤待機室] [トイレ]

        道頓堀の女王アリと仲間たち 6

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          4本
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          5本
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          23本

        記事

          道頓堀の女王アリと仲間たち 3

          こんな風に話してるように思えてしゃあない 争奪戦 2大阪 道頓堀にかかる浮庭橋 五月晴れの下、この緑溢れる天空の橋を、イブ・シティ 探索係第8旅団およそ100匹のアリたちが颯爽と進んでゆく。天空でありながら、橋の入口には深い森の公園がある。初めて見る新兵たちは、美しい天空の公園に息を呑み、立ち止まり、そしてキョロつく。公園の真ん中には巨木が天を衝くようにそびえ、巨木の周りに2つの銀色の輪が浮かんでいる。その銀色の輪に腰掛ける2頭のヒト 2本の後脚で歩く巨大な種。イブ・シティ

          道頓堀の女王アリと仲間たち 3

          道頓堀の女王アリと仲間たち 2

          こんな風に話してるように思えてしゃあない 争奪戦 1大阪 道頓堀に面したテラスの前にはお洒落な花壇。5月のよく晴れた空の下、その花壇の端を100匹ほどのアリの群れが、浮庭橋に向かって進んでいる。イブ・シティの探索係 第8旅団である。その先頭を並んで歩いている2匹は、第8旅団を率いる団長のマチと副長のイチ。 イチがマチへ話しかける「アンタの後釜は、タマゴ班長やったムラに決まったらしいで」 マチは「そうらしいな、ウチも今朝聞ぃたわ。今、サイ様のお世話係長やるんは大変やで」と眉間

          道頓堀の女王アリと仲間たち 2

          道頓堀の女王アリと仲間たち 1

          こんな風に話してるように思えてしゃあない 日常ここは大阪 道頓堀に面したテラスの前にはお洒落な花壇。 その地下には、ざっと5万匹の蟻たちが暮らす巨大コロニーイブ・シティが深く深く広がる。今日も今日とて、地下2階女王の間で女王アリのサイとお世話係長のマチが、いつもの朝のルーティーンをかましている。 陽気なマチ「おはようさんですぅ、サイ様ぁ。よう眠らはりましたぁ?」 その声で目を覚ましたサイ「ふぅあぁぁぁ おはようマチ。ゴッつ寝たわぁ もう永遠に目ぇ醒めへんか思たわぁ」 マチ

          道頓堀の女王アリと仲間たち 1

          だったら  弐

          きのこの山 たけのこの里 ときたらだったら、次は でしょ 1匹だけ…みにくい …「七つの子の巣」  でもイケる おしまい #だったら #だってさ #だよね

          だったら  弐

          また、あの声が

          9月10日 12:52pm お昼休み 「えッ!?」小雲は大きく眼を剥いて、手元の宝クジとディスプレイの当選番号を何度も何度も見比べる。眼を剥いたまま「当たっ…てる」と呟いて、宝クジに視線を落とした。ビアガーデンの帰りに同僚と遊びで買った宝クジ バラ10枚が、取り出した手帳と一緒にカバンのポケットから飛び出した。すっかり忘れていたその赤い封筒の中に、サマージャンボ1等5億円が...眠っていた。眼を泳がせながら「まずは…ママに」最近の体調不良を気遣ってくれるアイツに、とスマホでメ

          また、あの声が

          だったら  壱

          たこ焼き定食 があるのなら だったら 雪見定食 があっても良い おしまい #だったら #だってさ #だよね #逆説

          だったら  壱

          ことわざ・がたり  " 麝あれば香し "

          ある秋の日 海辺の無人駅に、南から満員のキハ40が到着する。 乗客たちは挙って短いホームに降りると、何人かは脚を止めて真っ青な空へと続く山々に見惚れ、残りの乗客はホームの端に立っている手作りの掲示板へと群がる。 最近SNSやニュースで話題になっている、この村の掲示板たち。 ホームの掲示板には、1枚の写真と その下に青い文字が続く。 村へ豊穣の水を届けた美しい川は、やがて豊かな恵の海へと流れ出ます。 まるで水平線から続く朝日の道へと向かうかのように。 ファーーン 数人を乗

          ことわざ・がたり  " 麝あれば香し "

          モノ言うコーモン 弐 ~爽快やぁぁの朝~

          注:『 』は心の声です。 次の朝 6:00am 『起きなさい乙女 起きるんぢゃ』 乙女は目を開けず、なんやの顔で『んぅぅぅ』 『起きろ』 うっすら目を開け、怒った顔で『うるさい』 『むぅぅぅ 外さん 内さん 懲らしめてやりなさい』 外さんと内さんが、そろって声なく〆あげる ギュギュギュッ ギュアグウウウッー 「ギャァアア 何すんねん」と乙女は目を見開いて大声で飛び起きた。 『先ず 腸より始めよぢゃ よいな』 乙女はまだ反抗顔で『うぅぅぅ』 『最初はツボから

          モノ言うコーモン 弐 ~爽快やぁぁの朝~

          モノ言うコーモン 壱 ~はじまりの朝~

          注:『 』は心の声です。 『あかん、今日も出ぇへん』イキみ疲れて便座で頭を抱える西 乙女。 『なんでやねんな いっそがしい朝に一瞬でヤッつけたろ思とんのに、もう3日目やで…何が邪魔しとん』そして、もう一回イキもうとしたその時、 『なっとらんのぢゃ』と乙女の心に声が響いた。 乙女は、鬼の形相で便座から飛び上がり、辺りをキョロ見する。 『そんなに躰を固くしたらもう無理ぢゃ 外さんも内さんも驚いとる』 顔面蒼白の乙女は、声の主を探しながら『だ だ 誰や』 『カッカッカッ

          モノ言うコーモン 壱 ~はじまりの朝~

          ことわざ・がたり  " 正直の頭に神宿る "

          はじまり 「どっかに...ないかな」 北 美麗は、検査衣にガウンを羽織って、一階の広い通路をキョロつきながら奥へと向かう。 平日午前のごったがえす通路で、患者たち、看護師たち、そして医者たちも、美麗を見ると息を呑み、見蕩れ、立ち止まり、目で追う。 身長168cm、細身で真っ白な肌に大きな瞳、雑誌から抜け出たような場違いな美人が、不釣り合いな病院着で、いま、整形外科の前を通って辺りを伺いながら真っ直ぐ奥へと歩いていく。 美麗の顔が見えなくなると、見惚れていた人は皆、魔法から解

          ことわざ・がたり  " 正直の頭に神宿る "

          エッセイ 「静かの海」のナゾ  後編

          中編で、月面地形の和名を統一したのは日本天文学会ではなさそう、な感じでしたが、天文月報の思わぬところに突破口がありました。 では、ナゾ解きの後編です。 1960年の天文月報を読んでいくと、 天文月報 1960年(昭和35年)11月号 の目次に広告があります。 東京天文台 関口直甫著「月面裁判」 300円 中野繁著「月面とその観測」 380円 「月面裁判」! なんですか、それ! 関口氏は、中編に出てきた 天文月報「月への飛行の力学」 を書いた方ですね。 … どっちも図

          エッセイ 「静かの海」のナゾ  後編

          エッセイ 「静かの海」のナゾ  中編

          前編で、明治41年から現代まで続く「天文月報」という手がかりに辿り着きました。月面地形の和名の記録があるのか? ナゾのゆくえは? はてさて、どうなりますか。では、中編です。 天文月報 1911年(明治44年) 8月号 雑報「月の各点の光の差異」に、 『此差違は「海」の部分にて特に著し。』 月の地形の呼び名が、なんらか存在するみたい。 それにしても、初めての明治の雑誌ですが、割と読めるモンですね。 天文月報 1914年(大正3年) 3月号 雑報「月面に於ける火口の変化」に

          エッセイ 「静かの海」のナゾ  中編