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【「はじめに」全文公開】『世界標準のSEL教育のすすめ 「切りひらく力」を育む親子習慣 学力だけで幸せになれるのか?』(著・下向依梨)

2024年7月18日にrokuyou代表下向依梨の著書『世界標準のSEL教育のすすめ 「切りひらく力」を育む親子習慣 学力だけで幸せになれるのか?』が小学館様より発売になります。日頃からrokuyouやSEL(Social Emotional Learning)に親しんでいただいている方に向けて、先行して本書の「はじめに」をご覧いただけるようにいたしました。
ぜひ、楽しんでいただけますと嬉しいです!


「はじめに」全文公開

「どうすれば子どもの可能性を最大限に伸ばせるのか」
「激しく変化する社会で、
わが子が幸せに生きるには何が必要か」
そんな不安と期待を抱き、
本書を手に取っていただいたのではないかと思います。
私自身も教育者として、そして親として、
これらの問いに日々向き合い、探究し、実践しています。

ひとりひとりの生まれ持った可能性を引き出し、
それを磨き続ける社会の実現を目指して、
私は株式会社rokuyouを5年ほど前に設立しました。
沖縄県を拠点に、全国の学校へ向けて、
SEL(Social Emotional Learning / 社会性と情動の学び)を
基軸としたプログラムや研修の提供などをしています。
これまで小学校から大学まで約100校の
学校改革や探究学習の支援に携わってきました。
日々、学校と協働する中で、
未来を生きる子どもたちにとっての「幸せ」とは何か、
会社の仲間と考えています。

たったひとつの物差しで優劣を決めてきた学歴社会も、
大企業に入って安定したキャリアを歩む生き方も、
今や古いものとなりつつあります。
すでに多くの人が「このままでいいのだろうか?」という
違和感を抱いているのではないでしょうか。
「学力だけで幸せになれるのか?」
この命題に、私たちは向き合うべき時期が来ているのだと思います。
では、これからの社会を生きていくために必要な力とは何でしょう。
それは、「子どもたちが自分自身で道を切りひらいていく力」です。
言い換えると、自分が生きたい世界を自分でつくっていく力です。

その考えに至ったのは、学生時代、
社会起業家の研究をしていた頃でした。
自分が出会った社会課題の解決のために主体的に行動し、
創意工夫し諦めずに進むことができる人はどんな環境で育っているのか。
困難にぶつかれば、他者や社会に働きかけ、
思いやりを持ちながら解決しリーダーシップを発揮できる。
彼らには何があるのか。
その問いを追う過程で出会ったのがSELでした。
SELは9ページで紹介する5つの力を主に育みます。(本記事末に掲載しています。)
それはまさに、道なき道を自分で切りひらき
困難にめげず前進していける人が持つ力です。

SELとは、人間の土台となる能力を伸ばすアプローチです。
人と良好な関係を築く「ソーシャルスキル」と
自分や他者の感情に気づく「エモーショナルスキル」を磨きます。
これまで多くの研究者が、学校を中心として
SELの理論やフレームワークを提示してきました。
現在、教育移住先としても注目を集めているシンガポールで
全校に必修化されるなど、世界的にも注目を集めています。
本書ではこのSELを土台に、〝親子〞の生活の中で、
どのように切りひらく力を育むことができるか、
エビデンスと実践に基づきながらご紹介します。

この本は、社会起業家を育てようという話ではありません。
切りひらく力を手にすると、大なり小なり
「もっとこうなったらいいな」と思うことに、
主体的に働きかけることができるようになります。
その対象は自分かもしれないですし、家族や友人かもしれません。
学校、地域、社会......規模は関係ありません。
自分が生きたい世界をつくるため、何かアクションを起こす。
その積み重ねが、その人の道となります。
生きたい世界は、自分の意志と行動でつくれるのです。

本編では「今日からはじめられる習慣」として、
わかりやすく、具体的な方法をお伝えしたいと考えています。
本書をきっかけに、子どもたちの、そして親御さん自身の
「生きたい世界」に向けて歩み出す方がひとりでも増えたら、
これほどうれしいことはありません。

書籍紹介

次世代の教育として世界的に注目されている「Social Emotional Learning(SEL)」は、社会性と感情のスキルを伸ばす教育アプローチです。本書では、家庭でのSEL実践方法を具体的に紹介。SELを基軸に全国100校以上の学校改革に携わってきた著者が、家庭で簡単にできる方法をお伝えします。

●SELで育む5つのスキル
SELを通じて、自己理解、感情抑制力、共感力、社会性、意思決定力が高まり、自分で決断し、周囲と協調しながら目的に向かって進む力が身につきます。

●実践的で年齢を問わず始めやすい
自己理解や感情抑制などを目的とした11のワークを含め、次のような具体的方法を多数紹介。
・降水確率40%の日には「選択の自由と責任」を体験
・大きな挑戦を小さなステップに分解
・多様な「ノー」の伝え方をマスター など

●子どもの5大悩みを解決
「決められない」「やるべきことをしない」などの問題に、SELの観点から“処方箋”を掲載。

●親子の関係改善にも効果的
親子の社会性と感情スキルが成長し、より良い関係を築けます。SELを親子の日常にして、共に成長する喜びを実感してください。


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