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先輩社員が語る!ロート流「研究開発」とは?

数々の商品が生まれる背景には、研究開発のメンバーが日々重ねる研究があってこそ。
「研究」といっても成分などの検討を行う基礎研究開発部と、ある成分から製品を創り出す製品開発部から成り立っています。

目薬や胃腸薬などのOTC医薬品だけでなく、スキンケアから食品までを幅広く生み出すロート。
「製薬会社品質のスキンケア」とお伝えすることもありますが、研究部分ではどのような強みや可能性があるのか。

研究に関わるそれぞれの部門のメンバーに話を聞きました。

研究開発メンバー②

ひーちゃん:2015年入社。入社後基礎研究開発に取り組む。2020年には大学に出向し、大学での研究を行いながらロートの製品への応用を検討している。
タイリー:2006年入社。上野工場などでの勤務を経て、ベトナム現地の子会社に出向。研究部門のマネージャーを務める。現在は化粧品の製品開発に取り組む。

「異分野との掛け合わせ」で生まれるロートの製品

ひーちゃん:私たちの目標は新しい価値を創り、製品を通じてお客さまに美と健康を届けることです。その過程で、ロートだけでなく大学・ベンチャーとの共同研究から新たな技術や素材、メカニズムを解明しています。さらに研究の成果を学会や論文などで発表するだけでなく、ロートの製品に搭載してお客さまにお届けしています。今回は歯槽膿漏をターゲットにした製品開発を具体例でお話します。これは歯と歯茎の間にある「歯根膜」に着目しました。ここは歯根膜細胞と歯根膜細胞がつくるコラーゲン成分で成り立っているんです。これまでの肌研究で培った知見を活かして、歯周組織再生の基盤となる作用を持つ成分を発見しました。ロートらしい研究ポイントは、スキンケアでの研究を歯周組織への新たなアプローチとしたこと。各重点領域の研究をしつつ掛け合わせたり、これまでなかった領域にも応用したり、領域横断型の研究が特長の一つです。普段は専門領域の学会だけでない分野の学会にもいきます。製品をお届けするために、自分の領域だけでない他の領域も取り入れて製品につなげていくことを大切にしていきます。

タイリー:製品開発部の仕事は一言でいうと、商品の中身の処方設計です。ロートには点眼薬や内服以外に580個以上の商品がありますが、私はこれまで主に基礎化粧品や日焼け止めといった化粧品の開発に携わってきました。製品開発の流れを簡単に説明すると、商品企画部門から提案された新製品コンセプトを基に処方設計し、たくさんの試作品をつくります。その中で使用感と機能性を少しづつブラッシュアップさせていき、他部門にも協力してもらって安全性・有効性なども念入りに評価します。次に、そうして絞り込んだ処方について工業化検討を行います。このステップでは、今まで研究室の小さなビーカーでつくっていたものを、工場で構造も全く違う大きな製造設備で同じ品質のものを作れるよう、製造方法を構築します。工場での実生産で問題が起きると大量に作った商品を廃棄せざるを得なくなることもあり、発売スケジュールにも影響が出てしまうケースもあるため一番緊張しますね。最後は販売。ここは広告や営業部門の仕事と思われがちですが、処方を一番理解している開発部門には、商品の特長を営業部門へしっかりと伝えるという重要な役割があります。また発売後にお客様から寄せられるさまざまな声を部内で共有し、改善や次の商品の設計にもつなげていきます。

まこっちゃん:タイリーさんは海外にもいらしたんですよね?

タイリー:はい、2016年までベトナムの製品開発部でマネージャーとして現地向けを中心に、海外向けにも新製品の開発をしていました。現地は日本と同様に研究所と工場があるんです。気候や言語・文化など全く異なる環境で苦労も大きかったですが、新興国はGDP成長率は日本よりも高いし、労働人口も若く夢や野心を持ってエネルギッシュに生きる人が多い市場なのでチャンスは本当にたくさんあります。また、海外拠点は小さな組織なので自分の裁量で提案しダイナミックに動くことができるのが魅力ですね。

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全員が「複数同時並行の研究」を

ひーちゃん:大学時代と入社以降の研究はリンクしていません。でも研究の考え方とか調査方法などはつながっていると思います。さらに会社では製品ありきの研究をしており、出向先の大学ではもっと先の製品を見据えた基礎研究から発展させて世の中にも…と、インパクトの出せるような研究であることの差があります。

タイリ―:私も大学時代の研究とはあまり関係がないです。今の仕事も基礎的な化学の知識があれば、仕事を通じて学んでいけると思います。実は私は研究職採用ではなく、総合職採用なんです。当初は工場の仕事に興味があり、2年間工場で仕事をするなかで開発の仕事に興味を持ち、異動希望を出しました。

まこっちゃん:基礎研究・研究開発部門を行ったり来たりということもありますよね。開発は大阪の本社で、研究は京都にある研究所が中心なので拠点が変わることもありますね。

ひーちゃん:私は上司から言われて出向をしましたが、自ら見つけてきて出向の希望を出すこともできます。研究のテーマも最初は先輩や上司からもらっていました。今も一部はありますが、自分からご提案してテーマをつくっています。出向前は4・5個、今も2・3個あります。

タイリー:今テーマは持たずに戦略検討などをしているのですが、当時は6・7個でしたね。カテゴリーやブランドなど担当の仕方も人によって様々です。5個以上を担当し、ピークやトラブルが重なると確かに大変です。各テーマのスケジュールを調整し、しっかりリスク管理するなど、経験を積めばうまく対処できるようになるので心配はいらないと思います。

ひーちゃん:そうですね。確かに複数の仕事を同時に進めるため、混乱しないようにするのは大変です。でも、一つのテーマだけを進めている時の「このプロジェクトが上手く進まなかったらどうしよう…」との不安感は少ないです。また各テーマも複数人で進めていることが多いので、議論しながら進められるのは良い点だと思います。

平さん

世になかった商品の土台を創る、研究者のやりがい

ひーちゃん:やりがいを感じる瞬間は、やはり自分の携わった研究を活かした製品が発売された時ですね。実際に発売時の説明会で研究内容を発表している時に、お客さまや販売員の方がわざわざメモを取って聞いてくださっていたのが印象に残っています。研究職の仕事自体は普段日の目を見ないからこそ、製品まで辿り着いた時に喜んでもらえるとやりがいを感じますね。

タイリー:私は、ロートでそれまでロートで挑戦したことのない製品の処方設計を担当した時のことですかね。前例処方もない中でオリジナル処方の開発に挑戦したんですが、開発段階で重大な欠陥が発覚し、改善のため200近くの試作・評価を繰り返しました。周囲の助けもあってギリギリのタイミングで完成させることができ、商品が大きなヒットになった時は努力が報われたようで嬉しかったです。反省点はたくさんあり、心身ともに苦しかったですが、大きく成長するチャンスでもあるので経験できて良かったと思っています。

まこっちゃん:グローバルの視点で見た時に、海外でのモノづくりは日本でのモノづくりとは異なりますか?

タイリー:プロセスは一緒ですが、会社での仕事のやり方や考え方、文化も言語も違います。自分から「これが欲しい・やりたい」との主張の必要性や成果を出して信頼をしてもらわないと、周囲を動かしていけない厳しさはありますね。ちなみにベトナムは年中蒸し暑いので、日本で人気のある保湿製品でも売れなかったりします。商品のカテゴリーや使われ方も地域によって変わるので、現地で見て聞いて、お客さんの求めていることを理解する必要があります。

まこっちゃん:研究分野も多岐にわたりますが、研究の最新情報など日々どのように掴んでいるのですか?

ひーちゃん:既存領域の基礎的な知識は、普段から定期的にある研究発表の場で得ています。また本だけでなく、知識の少ない領域の学会や展示会も自由に行かせてもらえる環境にはあるので、興味のあるところにはとりあえず行ってみて、一歩を踏み出しています。

タイリー:展示会は世界各国でも実施していますし、興味を持った分野は他社品なども見ています。また大学など技術を持つところに聞きに行くこともあります。教科書はない分自分から勉強し、情報を取りに行かないといけないですしね。

さいごに

ひーちゃん:就活当時、何をしているのか分からない会社でした。(笑)面接でたくさんの先輩と話をし、分からないところを解決してもらえてたら嬉しいなと思います。来年会えるのを楽しみにしています。

タイリー:製品開発の特徴は開発スピードの速さでしょうか。2年かかるものを1年でやってしまうこともざらにあります。早める分トラブル発生やリスクも高まりますが、問題が発生しても全社一丸となって解決にあたるチームワークはロートの魅力だと思います。

研究開発メンバー

ひーちゃん、タイリーさん、ありがとうございました!

ポイント

・各重点領域の研究は行いながら、掛け合わせで新たなアプローチを発見していくこと。
既存領域だけでなく、新規カテゴリーへの挑戦も強みとするロート。まだ世にないモノでも創り出すことができる可能性はある。

・自分が携わった商品が世に出る瞬間のために、初めてのことでもギリギリまでみんなで挑戦をすること。
自部門で完結するのではなく、さまざまな部門のメンバーと共にギリギリのなかでも最善を尽くす。人数は多くないからこそ、一人ひとりの挑戦が成功に。

・アンテナは自分で張りながら、インプットやアウトプットをどんどんしていくこと。
与えられるだけでは意味がなく、いかに自分自身で動くことができるのか?他の部門でも同様に研究でも求められる。

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