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中小企業で活かせるデザイン思考③ (これでビジネスモデルが設計できる! という方法)
【当記事は栃木県企業内診断士研究会 2022年10月15日(土)開催の”ティフ研トーク”テーマのスピーチ資料として使用予定です。】
前回の投稿から半年経ってしまいました。
この半年、企業内診断士ではありますが企業支援を始めたため、そちらに注力していて更新ができておらず。。。
さて、前回投稿では「デザイン思考のプロセス」について寄稿しました。
参考:中小企業で活かせるデザイン思考②(プロセス編)
中小企業で活かせるデザイン思考② (プロセス編)|Rock Book|note
今回は、プロセスに沿って具体的にビジネスアイデアを創出していく
フレームワークをご紹介します。
本来であれば、共感→定義→創造、といった各プロセスにおいて、順序よくペルソナ設定、カスタマージャーニーなど、ご説明していくべきかもしれません。それらは他のサイトでも取り上げられているため、こちらでは割愛します。(前回の投稿をご参照ください。)
よって、今回は実際に筆者が企業支援で活用しているフレームワークをご紹介したいと思います。前回ご紹介したプロセスの「4.具体化」で使います。
そのフレームワーク名は、「ビジネスブループリント」です。
英語で“Blueprint”は“青写真=設計図”という意味です。つまり、ビジネスモデルの設計図を作成するためのフレームワークを指します。
ビジネスブループリントとは?
皆さん、演劇を見に行ったことはありますか?スポットライトがあたり、役者が迫真の演技をしていて、それを客席から鑑賞しますよね。
その演劇を成立させるには、客席からは見えませんが、役者にスポットライトを当てる照明担当、音楽を流すスタッフさん等も必要です。
また、演劇前後にセットを設置・撤収するスタッフも必要ですよね。
そして、役者・スタッフだけでは演劇は成立しません。
当然のことながら、演劇を見る観客が必要です。
つまり、演劇を成立させるためには、
・観客
・観客から見えるところ=役者の演技
・観客に見えないところ=劇場スタッフ
が必要ということです。
![](https://assets.st-note.com/img/1663985443460-7gqUJjHueK.png?width=1200)
実は、ビジネスにおいても全く同じことが言えます。
・ユーザー:ビジネスを享受する対象
・フロントステージ:ユーザーから見えるビジネスの仕掛け
・バックステージ:ユーザーからは見えないビジネスの仕掛け
これらを網羅的に考えることで、
MECEなビジネスモデルを設計することができます。
(MECE=漏れなく、ダブりなく)
では具体的なフレームワークの事例をご紹介します。
①フェーズ ②顧客の行動 の設計
①フェーズ
まず、このフレームワークはビジネスモデルを時系列で表現するためにフェーズを整理します。
今回は顧客の購買行動モデルに沿ってフェーズを設定しました。
②顧客の行動
次に、このビジネスを享受する際に顧客がどのような行動を取るのかを設定します。今回は割愛していますが、実際にはペルソナを理解して設計する必要があります。
フェーズに応じて記載すると、
1.認知:Uber EatsがあることをTVCMで見る
2.興味・関心:使ってみたいと思い、使い方を調べる
3.比較・検討:会員登録してみて、どんなお店で使えるか確認
今回は記載していませんが、「出前館」等、他の類似サービス
との比較を行うこともここに含まれます。
4.購入:実際に注文し、アプリ上で決済
5.体験・評価:注文した結果、配送の満足度を評価
という流れになります。
これで顧客がこのビジネスを利用する際にどのような行動を取るのかを具体的に整理できます。
![](https://assets.st-note.com/img/1663985687863-2e8GobSNCo.png?width=1200)
③接点の設計
続いて、
・フロントステージ: ユーザーから見えるビジネスの仕掛け
・バックステージ: ユーザーからは見えないビジネスの仕掛け
について設定します。
ここでは、
③接点=フロントステージ
④裏方の動き=バックステージ
としています。
なぜ、わざわざ「接点、裏方の動き」と言い直すのか?
それは、支援先に説明するとき、耳慣れない横文字で説明するより、理解してもらいやすいからです。
あくまで“中小企業で活かせるデザイン思考”が趣旨です!
まず、③接点:顧客から見えるビジネスの仕掛けを設定します。
1.認知:TVCMを流す
2.興味・関心:Google検索等で顧客が知りたい情報を準備
3.比較・検討:Uber EatsのHP・アプリで登録を促す
4.購入:
注文の受付、決済等の情報をユーザーに表示
特にUber Eatsにおいて特徴的なのが、ユーザーに配達状況を地図で表示し、配達予想時間を通知する点だと思います。
これはユーザーの「いつ到着するのか分からない」
という不満(ペイン)を解決するうえで非常に重要なソリューションだと思います。(すごくデザイン思考的な点です。)
5.体験・評価:
料理を受け渡しが発生しますので、そこはユーザーの体験に含みます。
今回書いてませんが、配送完了、評価を入力するアプリ表示もあります。
![](https://assets.st-note.com/img/1663985958522-v4t3YFcm23.png?width=1200)
④裏方の動きの設計
そして、顧客から見えないビジネスの仕掛けを設定します。
1.認知:TVCMを撮影したり放送
2.興味・関心:
今回省いてしまいましたが、
顧客の知りたい情報をサイト等で掲載する等が必要ですね
3.比較・検討:
ユーザーの情報登録や、検索結果の表示等、
サーバーやプログラムの設定が必要
4.購入:
裏方の動きとして、注文が入ったら配送可能な配達員を設定するシステ
ムが必要です。そして、システムだけではダメで、配達員が実際にお店
に行って、料理を受け取って配達してもらう必要があり ます。
5.体験・評価:
今回は配達員が配達先に移動、としか書いていませんが、配送完了等の
手続きをシステム上で行う、ユーザーの評価、報酬の取得等もここに入り
ます。
![](https://assets.st-note.com/img/1663986125322-4GHy9zXJUR.png?width=1200)
⑤顧客の思考・感情
上記①~④を設計できたら、それぞれのフェーズにおいて、ユーザーが何を感じるのかを考える必要があります。
ここで、ユーザーが何に喜びを感じ、何に不満を感じるのかを把握しておくことで、ビジネスモデルを改善に役立てることができます。
解像度高くユーザー像を把握しないと的外れになるおそれがあるため、ペルソナ設定が重要です。
![](https://assets.st-note.com/img/1663986226867-3VULFGk7cH.png?width=1200)
ビジネスブループリントの特徴
上述のとおり、顧客の行動や接点、裏方の動きなど、それぞれをフェーズに沿って設定していくわけですが、大事なのは、
“それぞれの項目がつながっているか”です。
図をご覧いただくと、各項目を矢印で繋いでいるのが分かると思います。このように、顧客の行動から接点、裏方の動きが縦断して時系列につながるように設定することで、ビジネスが滞りなく流れていくことを確認することができます。
![](https://assets.st-note.com/img/1663986309435-L7yqjTVJAP.png?width=1200)
今回はすで運用されているビジネスを例にしましたが、
実際に中小企業を支援する際には、
・現在のビジネスモデルを整理し、改善点を洗い出す
・新規のビジネスモデルの設計
に用いることができます。
項目に抜けがあったり、うまく矢印が書けない、といった箇所があれば、
そこが改善点となります。
最後に
実は、今回ご紹介したフレームワークの基としては、サービスブループリントというフレームワークがデザイン思考では一般的です。
サービスを時系列で整理する方法です。
多くは各項目を文字で整理しているものが多いです。
しかし、文字で各項目を書いていくと、図を見ただけではパッと把握できないんですよね。。。
よって、今回記載したように、一つ一つの項目をピクトグラム等の絵を使って感覚的に分かりやすく改造し、ビジネスモデルを網羅的に表現するようにしたものが、ビジネスプループリントです。
ちなみに、筆者考案です。
ただ、このフレームワークは慣れが必要です。
よって、本フレームワークを活用する際には、伴走支援という形で中小企業の皆様をサポートしたいと思います。
ぜひご覧いただいた皆様の企業のビジネスに当てはめて、ビジネスブループリントを描いてみてください!
ではまた!
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