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中小企業で活かせるデザイン思考② (プロセス編)

【当記事は栃木県企業内診断士研究会 2022年03月19日(土)開催の”ティフ研トーク第19回”テーマのスピーチ資料として使用予定です。】

 前回、初めて投稿させていただいた「中小企業で活かせるデザイン思考」について、予想以上に多くの方が御覧くださりスゴく励みになりました。 この場を借りてお礼申し上げます!

 さて、前回投稿では
・デザイン思考とは?
・中小企業でデザイン思考を活かせるか
・中小企業で取り組むデザイン思考の留意点

といった概論について寄稿しました。

参考:中小企業で活かせるデザイン思考(筆者投稿) 
https://note.com/rock_book_go/n/n7f9cb62b76a6)

 お読みになった方は、
「ふーん。なんとなくやけどデザイン思考が中小企業でも使えるっちゅーんは分かったわ。でも実際にどない進めていくねん?」
 と思われた方もいらっしゃる・・・かもしれません。

 今回は、デザイン思考を使ってアイディエーション(アイデア創出)を進めていくにあたり、どのような手順で進めていくのかについて寄稿させて頂きます。
 なお、基本的なデザイン思考のプロセスは、さまざまな記事で記載されています。よってここでは、中小企業で実践していく、あるいは中小企業診断士の視点でデザイン思考のプロセスに触れたいと思います。

 補足:もともとデザイン思考はアメリカのベンチャー企業でも広く使われる手法であるため、ここで述べる中小企業とは、「社歴の長い日本の中小企業」とさせて頂きます。

デザイン思考のプロセス(一般論)

まず、一般的なデザイン思考のプロセスを簡単にご説明します。
デザイン思考でアイデアを生み出していくときには、「フレームワーク」を活用します。
 「フレームワーク」とは、ある事柄を考えていくときに、特定のパターンと手順に当てはめて思考・整理していく手法です。
 デザイン思考のフレームワークは、大きく分けると以下の6つのフェーズになります。

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1.共感: ユーザーの気持ちになりきる
2.定義: ユーザーのニーズを特定
3.創造: ニーズを満たすアイデアを創出
4.具体化: アイデアを具体化する
5.実践: 実際に試してみる
6.確認: 各プロセスを振り返る

 各プロセスについて記載すると、読むのが大変になってしまうため、詳細は割愛させて頂きます。もし「なんやねん!その詳細が知りたいねん!」という方がいらっしゃれば、参考記事をご覧ください。

参考:U-Site デザイン思考の基礎
https://u-site.jp/alertbox/design-thinking-101

 すごく簡単に言えば、
①ユーザーが何を考え、何を望んでいるのか?に共感し、
②ユーザーの真のニーズに応えるアイデアを出し、
③それがビジネスとして成立するか試す

を順序立てて実行していく、ということになります。

では、中小企業ではこのプロセスをどのように活用できるでしょうか?

中小企業におけるデザイン思考プロセス活用法

中小企業において、デザイン思考のプロセスを活用するタイミングとしては、大きくわけると以下の2つになると考えます。 

①新事業・第二創業を検討するとき
②既存のビジネスを改善するとき(筆者イチオシ!)

 一般的には、ベンチャー企業や一部上場企業なども含め、①でデザイン思考を活用するイメージが強いのではないかと思います。
 もちろん、新事業を創出する際に活用していくのが鉄板だといえます。
 しかし、私は社歴の長い既存の中小企業のおいては、まず②をおススメしたいと考えます。
 その理由は、
・ユーザーは常に変化するため、つまり既存事業にも改善の余地がある。
・既存事業の改善は、新事業の創出より費用が少ない傾向
・新事業への挑戦よりも成功確率が高い

と考えられるためです。

 ここで、既存事業を改善しなかった場合の例を挙げます。

例: 秘伝のタレがウリのウナギ屋さん

 老舗のウナギ屋さんがあるとします。
 創業当時から継ぎ足して作り続けた「秘伝のタレ」で味付けした鰻重がウリです。「ウチは創業当時から味を変えていないんだ!」と胸を張る店主。
でも、売上はここのところ年々落ちています。
 売り上げが落ち込む理由はいろいろとありますが、ここでは「秘伝のタレ」に注目します。今は多種多様な食べ物が簡単に手に入るため、ユーザーの舌が肥えています。昔は美味しいと感じていたタレが、味を一切変えていなくても相対的に美味しく感じなくなっているのかもしれません。

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 このように、自社が既存ビジネスに手を抜いていなかったとしても、常にユーザーの変化をとらえて既存ビジネスを革新させていかないと、ユーザーや外部環境の変化により、いずれは衰退してしまうかもしれません。

既存ビジネスを変革するデザイン思考の考え方

 では、既存ビジネスを改善・改革していくために、どのようにデザイン思考を活用すればよいのでしょうか。
 それはズバリ、冒頭でご紹介したデザイン思考プロセスの「1.共感: ユーザーの気持ちになりきる」を徹底的に行うことに尽きます。
 先程のウナギ屋さんの例で言いますと、最近食べにきてくれるお客様はどんな人かを観察します。

例えば、
・昔からの馴染み客か、新規客か?
・年齢は?性別は?
・職業は?
・誰と来るのか?一人で来るのか?
・いつ食べにきてくれるのか?(昼食?夕食?テイクアウト?)
・どこから来ているのか?
・食べているメニューは?
・普段は他にどんなものを食べているのか?
・どんな気分・気持ちのときに来てくれるのか?
・待っているとき、食べているときの表情・会話・態度は?
などなど、挙げるとまだまだあると思います。
 
 つまり、ユーザーが自社のビジネスを利用する際に、どのような行動を行い、その際にどのような気持ちになっているのか?をつぶさに観察し、共感することが、デザイン思考の第一歩です。
 もしくは、他店のお客様を観察することでユーザーを多面的に理解することも有効です。

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 このように、定期的にユーザーに共感する機会を作り、ニーズの変化をとらえ、自社の既存ビジネスを改善していきます。
 そうすることで、伸び代がないと思っていた既存ビジネスを更に成長させることができるかもしれません。

ユーザーになりきる方法 

 最後に、ユーザーになりきるための代表的なフレームワークをご紹介します。1つ目は「ペルソナ設定」というもので、具体的な一人のユーザーを解像度高く理解する手法です。
 2つ目は、「カスタマージャーニー」というもので、「ペルソナ設定」で理解したユーザーが、あるビジネス(製品・サービス)を利用する際に、どのような行動をとり、その行動に伴って何を感じるか、を時系列で考える手法です。
 例によって、こちらは参考記事が多数ありますので、詳細は割愛します。

参考: ペルソナ設定
https://ferret-plus.com/8116
参考: カスタマージャーニー(再掲)
https://webbu.jp/customer-journey-2532

 ここで注意点を申し上げると、ユーザーを真に理解するためには、いきなりユーザーを深堀するのではなく、ユーザーを取り巻く社会環境や、自社のビジネスを客観的に観察するといった「現状把握」を行うことが必須です。
 つまり、経営戦略における「外部環境分析」・「内部環境分析」が必要となります。

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参考:内部環境・外部環境を分析
https://digitalidentity.co.jp/blog/marketing/swot.html

 これらは中小企業診断士の得意分野ですので、ぜひ身近な中小企業診断士にご相談いただくことをおススメいたします。(毎回それかい!)

最後までご覧いただきありがとうございました!
 


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