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時間、それは人間の生み出す現象か~「時間は存在しない」

高校の時に習った物理は、実は19世紀以前の範囲という。
相対論や量子論など、興味本位に聞きかじった程度ではあるが、日進月歩の分野でもある。たまにはアップデートしていかないと。
今回は、カルロ・ロヴェッリ著「時間は存在しない」

なんとも煽情的な表題である。
そもそも物理学的に時間とはどういうものなのか。

絶対不変な時間が世の中を流れているという古典物理の考えは、アインシュタインの相対性理論によって覆された。

そして、物理学のそれぞれの方程式から変数としての時間は消えた。

基本的な方程式は時間という変数を含まないが、互いに対して変化する変数を含んでいる。アリストテレスが述べているように、時間は変化を計測したものなのだ。変化を測るための変数の選び方はいろいろあるが、わたしたちが経験する時間の特徴をすべて備えた変数はどこにもない。しかしだからといって、この世界が絶えず変化しているという事実が消えるわけではない。

時間が変数ではない?それではどのように物事は「変化」していくというのか。いや、それはすでに我々人間が、時間ありきでしか思考できない、表現できなくなっているからわからないに過ぎないのである。

この世界を出来事、過程の集まりと見ると、世界をよりよく把握し、理解し、記述することが可能になる。これが、相対性理論と両立し得る唯一の方法なのだ。この世界は物ではなく、出来事の集まりなのである。

翻って、そんな”時間”のない世界にあって、我々が”時間”を感じているのは、記憶があるためだという。

自分たちが属する物理系にとって、その系がこの世界の残りの部分と相互作用する仕方が独特であるために、また、それによって痕跡が残るおかげで、さらには物理的な実在としてのわたしたちが記憶と予想からなっているからこそ、わたしたちの目の前に時間の展望が開ける。(中略)つまり時間は、本質的に記憶と予測でできた脳の持ち主であるわたしたちヒトの、この世界との相互作用の形であり、わたしたちのアイデンティティーの源なのだ。

自分なりに重要そうだと思う箇所を拾ってみたのだが、どうだろうか。理解の一助になっているだろうか。
これでも本書を2回読み返したのだが、わかったようなわからないような。

かほどに人間は時間に縛られている、ということだけはわかったけれども。

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