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イーストウッドをも食う存在感~「ハリーの災難」「真昼の死闘」

最近観た二本の映画、たまたまいずれにも出演していたのが、シャーリー・マクレーンだった。のちに「愛と追憶の日々」でアカデミー賞を受賞することになる彼女だが、私としては「アパートの鍵貸します」の印象が強い。
まずは、彼女のデビュー作である。1955年公開「ハリーの災難」。ヒッチコック監督の作品だ。

どの登場人物も風変わりな人ばかりである。
そのために少しずつ話がかみ合わない。いや、作中ではかみ合っているのかもしれないが、作品と観ている者とがかみ合わない感じか。「いやいや、論点はそこじゃないでしょ!」というような。
シャーリーはデビュー作でありながら、主演といってもいいくらいの中心人物。生来のコケティッシュさを如何なく発揮していてとても魅力的だ。

「ハリーの災難」から15年経った1970年に公開となったのが「真昼の死闘」である。こちらはドン・シーゲル監督の西部劇。主演はクリント・イーストウッドだ。

この作品でシャーリーは、なかなかショッキングな登場の仕方をしている。
イーストウッドの西部劇と言えば、寡黙で腕の立つガンマンというイメージだが、本作はどこか雰囲気が違う。腕は立つのだが少し受け身?それはきっとシャーリーのグイグイと前へ出てくる存在感に押されているのだろう。公開当時36才のシャーリー、キャリアも重ねてきて、イーストウッドをも食わんとするほどの堂々たる風格も備えていた。彼女を形容する言葉はコケティッシュからファム・ファタルへと変わっていたのだ。

どちらの作品も、画面に彼女が登場しているとついつい目が行ってしまう。そんな存在感を持つ女優もなかなかいないと感じた。

久々に「アパートの鍵貸します」も観てみようかな。



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