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美術せんにんの記録

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享楽とその影~「フレンチ・カンカン」「モンパルナスンの灯」

享楽とその影~「フレンチ・カンカン」「モンパルナスンの灯」

エコールドパリという絵画のジャンルがある。
20世紀初頭のパリに各国から集まっていた芸術家たちとその作品を指していて、ロートレックやピカソ、ユトリロ、キスリングといった名があがる。
彼らが集まっていたパリのモンマルトルには、今も続くムーランルージュというキャバレーがある。
その誕生を描いた作品が1955年の「フレンチ・カンカン」だ。
だいぶ脚色・創作されていると思うが、監督はジャン・ルノワール。同

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不釣り合いなカップルの行く末~「足ながおじさん」

不釣り合いなカップルの行く末~「足ながおじさん」

ミュージカル映画の名優としては、私はフレッド・アステアがとても気になる。
今回はその彼の、ミュージカル映画としては最後の方の出演作品である。
1955年公開「足ながおじさん」、アステア56歳である。

足ながおじさんというと、いわゆる孤児に対する支援を目的とした「あしなが育英会」が思い浮かぶ。
この映画も、やはり富豪と孤児院の少女との話となる。そこまでは漠然と想像はしていたのだが、はて、それで結局

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”女になる”~「プリティ・ウーマン」

”女になる”~「プリティ・ウーマン」

男と女。
この関係は有史以来、ずっと問われ続けていた問題なのだろう。
ことさらに平等を訴えるより、お互いに異なる部分や魅力を尊重していく方がよりスムーズで、何より楽しいのではないだろうか。
今回は、1990年公開の「プリティ・ウーマン」

昔からこの映画の存在は知っていたものの、あまりの定番作品ということで見過ごしていた。観てみると安定の展開。もちろんいい意味で。主人公の仕事が企業買収会社の社長と

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