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タイ・ユア・マザー・ダウン/クイーン Tie Your Mather Down / Queen

その後姉はベイシティローラーズからクイーンに傾倒していく。
あくまでもビジュアル重視。
さすがだ。

当時、クイーンも男子が「好き」と公言できないバンドの一つだった。
こそこそ隠れて聴いていたのですよじつは。

見た目もなんだか中性的で怪しげな感じだし、田舎の中学生には「?」な感じで理解不能、何より女性人気がすごかったから。
特にロジャーは。

音楽はオペラっぽくて壮大な世界観というか3分間のポップミュージックではないのでほとんど理解できていなかったけどなんとなくすごいのはわかる。

赤いプラスチックのレコードプレイヤーも聴きすぎて壊れそうになってきたころ、姉の誕生日プレゼントとしてウッド調のラックに入った大きなシステムステレオが我が家にやってきた。

「うおおおおおおおおおおおおっ!すげー。」
もう姉も俺も大喜びだ。
まず姉のレコード、クイーンの「華麗なるレース」が最初にターンテーブルに乗った。

「ガッ ガッ ガガガー」

荘厳で静謐なインストから突然怒涛のロックンロール。
しかも我が家史上最大の大音量。
「うおおおおおおおおおおおおっ!」

最初のインストが音量小さめからフェードインしてくるのでボリュームをかなり上げていたのだった。かつて聴いたことのないとんでもない大音量でロックンロールが部屋中に響く。

「すげええええええぞねえちゃんんんんん!」

よし、俺もクイーンに負けないカッコいいレコードを買わないと。
そう心に誓うのであった。

そして夜中にトイレに行くついでに母親の財布から2500円を抜き取るのであった。


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