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誰でもできる仕事でも死にそうなほど粘ったら学びがあった話。

「石の上にも三年」なんてことわざがある通り、「働くこと」・「好きな人と一緒にいること」・「学ぶこと」とまあ、なんでも良いですが、なにか物事だったりの期間を決めるとき、ひとつの目安として「3年」という単位は、たいへん体裁が良いみたいです。

かくいうぼくも他人事ではないようで、10月20日をもって、職場である「六本木 UTAIBA」が3周年を迎えました。オープニングスタッフとして働いているので、ぼくもお店も、3年間ずっと同じ場所にいるのですね。

さて、飲み屋の仕事なんてものは、ほんと大したことではありません。
お酒をつくって呑む、お客さんの話を聞いて相槌を打つ。これが基本であり全てです。弊店はバンド音楽が楽しめるお店ですから、楽器を弾いたり歌ったりもしますけれど、そんなものは誤差の範囲です。なにか特別な専門性があるようなことはなんにもありません。飲み屋とはそんなものです。


ちょっと頑張れば誰でもできることの集合体が、水商売です。

そんな訳で、ふとした瞬間に自信が無くなる…。なんてこともよくあります。もうちょっと仕事に誇りをもて!と怒られることもありますが、個人的に「グラス拭いて3年」と揶揄することも多く、こんな環境で学べたことって何だろう…?と考えてしまうことも多いです。
なので、これを機会にきちんとコトバに変換して卸しておこうかと。
同じような似たような、仕事に不安をもっている人に届けばいいかなあと思います。今回はその第1回。

ずっとそこに留まるという価値。「出来ること」で面をとってポジションをつくる


いまでこそ副店長のポジションとして裁量もたせてもらったり、バンドスタッフとしてギターを弾いたりもしますが、はじめは単なる末端ホールスタッフとして働いていました。
慢性的な人手不足だということ、自身が演奏者としてはブランクがあり技術的な不安があったこと、要因はいくつかあります。
ぼくからすると面接時にホール・バンドの両スタッフとして働くつもりでしたから、不満は溜まる一方です。
そしてオープニング時というのは、オペレーション・仕組みなど、何ひとつとっても満足いくものではありません。
他スタッフとのコミュニケーションも例外ではなく、芸能一筋でやってきていた彼らと、ちょっと前までIT系で仕事をしていた自分とはバックグラウンドが異なります。会話ひとつとっても前提や常識が違ったりしていて、ぶっちゃけ結構苦労しました。

「やりたいこともやらせてもらえず、ただひたすら裏でしょうもないグラス拭きをやっていて今後につながるのか…?」

そんなことを思うだけの毎日。
まあ、思うだけで実際には辞めませんでしたけどね。
心身ともにボロボロだった当時のぼくからすれば、あのときに拾ってもらった恩義は計り知れません。歯を食いしばり、身を粉にしてどんなこともやりました。やらせてもらえないのであれば、自分にいま出来ることで価値を出す方法を考えました。
人手不足の職場だったので、当時は誰もやっていなかった週6フルコミットをするなど、誰よりも量を稼ぎました。誰よりも出勤しました。立ち上げ時なんて、たったそれだけで重宝されるものです。


ある程度のアイデンティティを確立した後、通常の業務と並行して時間をみつけ、空いたブランクを埋めるようにギターを練習しました。

そんな調子で働きつづけて、お店のオープンから1年半ぐらいしたとき、だんだん周りに変化が起こり始めました。
一緒に働き始めたスタッフが、辞めていくのです。
空いた隙間を埋めるため、心太式にバンドのスタッフとしてもアサインされる日が増えます。
まいにちの練習に加え、仕事で飽きるほど演奏する様を見ていますから、嫌でも要領をつかみます。
その頃には問題なく、バンドスタッフとして業務をこなせるようになっていました。

そうなるとどうなるか?ですよ。
ホール・バンド両方の立場で意見を言える人材になって、チームの中では重宝されるようになりました。例えるなら、ビジネスサイドも理解があるデザイナー、みたいな感じですかね。

打席に立ち続ければ、いつかはヒットできる。みたいな格言があります。
ぼくはこれを意図せずにやっていたのですね。
やりたいことがある場合、まず、自分が出来ること、誰もやりたがらないことでポジションを作ってそこに居座る。居直る。
こういう戦略もアリなんだなあ。と体験したわけですね。
とかく変化していく重要性が語られがちな昨今ですが、周りはその流れにのって勝手に変化していきます。
それが自分にとって都合がよい場合もあるので、敢えて変化せず留まる方法もあるよ。ということです。

はい、いかがでしたでしょうか。
次回は「人間力」について書こうと思います。それではまた。

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