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#2-1 自分ありきだと問いが出てこない:【教員インタビュー:長谷川先生 #1】

みなさんこんにちは。リフレクションメソッドラボラトリー事務局です。リフレクションメソッドラボラトリー(以下RML)では「MAWARUリフレクション」というプロジェクトを行っています。

MAWARUリフレクションは、「リフレクションによる個人の気づきが周囲に循環し、社会を変える」をテーマに、教育にリフレクションを取り入れる活動を2016年から続けているプロジェクトです。(プロジェクトHPがありますのでぜひご覧ください。
本記事では、MAWARUリフレクションで新しく始めた「教員インタビュー」の記事をお届けします。教育現場で、先生がどのようなことを考えているのか、とても面白い内容になっていると思いますので、ぜひご一読ください。
第2回の先生は、兵庫県で小学校の先生をされている長谷川剛さんのインタビューです!いつものようにPodcastも用意していますので、ラジオ代わりにもぜひ聴いてみてくださいね。

それではどうぞ!

VOL.2 長谷川剛(はせがわ たけし)さん

長谷川剛(はせがわたけし)。兵庫県公立小学校教諭。生活科教育研究会理事、姫路市生活科・総合的な学習部会の幹事長を努める。子どもが、探求的に自走していく学習を大切にしている。これまで「姫路城」「ジャコウアゲハ」「蓮」などを学習材として扱い、外部人材と協働して子どもたちに郷土愛を育む総合的な学習を展開。近年は、生活科、総合的な学習の時間にp4c(phirosophy for children)を授業に取り入れながら、振り返りと学びの深まりを研究中。

自己紹介・リフレクションとの出会い

姫路市立別所小学校で小学校の教員をしています長谷川剛と申します。教職20年目になります。専門としているのは、生活科・総合的な学習の時間で、こちらを中心として学習を展開しています。

自分自身がリフレクションと出会ったのは、ちょうど12、13年前です。当時、神戸大学附属明石小学校に勤務をしていました。その学校は、カリキュラム開発校で、単元の省察、リフレクションを大切に単元学習を進めていました。佐藤学先生を含めたくさんの先生方が関わっていらっしゃった学校でした。

その学校では、3年間勤務をしたのですが、常日頃、自分自身を振り返る機会がありました。指導案検討や単元を説明する際、先輩方からどんどん質問され、どんどん掘り下げられていく経験をしてきました。

自分自身を掘り下げるということは、自分自身に「問い」をもつことだと思います。当時、教師になって5年程、私自身2校目の学校だったので、なかなか自分で「問い」をもつことができず、その難しさを感じていました。

しかしながらその後、公立小学校へ戻った時に、少しずつ「問い」をもつことで自分自身の考えが明確になってきたと感じるようになりました。また、こうした自分自身の経験を子どもたちにも生活科・総合的な学習の時間で感じられるようにするには、どうすればいいかを考えるようにもなりました。

どの先生方も振り返りは、必ずされると思います。自分自身が経験した振り返りの良さや意味をどれだけ子どもに感じてもらえるかということをテーマにしながら単元を工夫してきました。

生井:リフレクションとの出会いとご自身が「問い」をもちにくかったこと、「問い」をもつことによって、自分自身の考えが明確になった経験。その経験を子どもたちにも味わってもらいたい、子どもたちが振り返りの良さを実感してもらいたいというところのお話だったかと思います。「問い」をもちづらいということから、どのようにご自身の考えが明確になってくるところに至ったのか、どんな変化があったのでしょうか?

「問い」をもつことと、気付きの質が高まることは相関しているのかなと生活科の学習を通して実感しています。自分自身が「問い」をもつためには、様々なことに気付くことが不可欠です。そして様々なことに気付くためには、自分自身、距離を置いてみる。俯瞰して自分自身を見る。そんな視点を得るのに時間がかかりました。

自分自身がメタ認知、客観的にみることができるようになってきた時に、「なぜこう思ったのか?」「なぜこうしたのだろうか?」ということを常に考えられるようになってきた実感があります。

山下:では、なぜ、皆、「問い」をもちにくいと思いますか?

(「問い」を)もたなくてもよかったんだと思います。教員になってまず思ったことは、本時の授業がちゃんとできることにウェイトが置かれているということです。本時の授業をする際に、指導書に書かれてある通りにやればいいと、出来上がった流れをなぞらえることしかやってこなかったのだと思います。まず、子どもありきではなく、自分ありきであったと思います。

でもそうじゃなくて、目の前の子どもにフィットする学習を考えるとなると、一から単元を創る、工夫するところが生まれてくるようになりました。そうすると、目の前の子どもの姿から考えるようになり、「これでいいのかな?」という「問い」をもつようになりました。教科学習の中では特にHOW TO(やり方)に傾斜しがちなために、「問い」をもたなくなってしまっていた。私の経験ではそうでした。

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本記事はここまでです。更新は毎週木曜日です。
第2回目もお楽しみに!

【長谷川先生インタビューの記事】
#2 -1 長谷川先生インタビュー(本記事)
#2 -2 長谷川先生インタビュー(更新後リンクします)
#2 -3 長谷川先生インタビュー(更新後リンクします)
#2 -4 長谷川先生インタビュー(更新後リンクします)

インタビュイー 長谷川剛さん
インタビュアー 生井・山下
MAWARUリフレクションメンバー
(執筆:山下、一部編集:中島)

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