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星語掌編集《ホシガタショウヘンシュウ》

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地球町《あおやねちょう》の道端で拾った、ちょっと不思議な掌篇を収録。短編や読み切りばかり載ります。
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2019年8月の記事一覧

一年前に書いた掌編「庭師は地平に林檎の苗を」の登場アイテム、青と翠の水時計の話。多分私の世界観の創り方みたいな何かが語られてるんではないかと(自分ではよく分からない)3000字程度ですし写真も多いですよ!是非どうぞ


時溜りの水時計。http://mm404.hatenablog.com/entry/2019/08/21/153357

掌編「慧ちゃんがいなくったって」

掌編「慧ちゃんがいなくったって」

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星語《ホシガタ》掌編集*14葉目

(731字/読み切り)

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「ドーナツとか、食べてないよ?」
電話口で、口をもごもごやりながら。

「今日は空がピーコックグリーンだったよ!」
曇り空の下、遠くの町から変顔の自撮りが送られてくる。

俺の彼女はすぐにバレる嘘をつく。バレる。というより、隠す気がないのだ。

そして彼女に視える今日の空はたしかにピーコックグリーンなんだろう。

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少女は花を飾るように。

少女は花を飾るように。

深緑、幾千の時降りつむ常盤の森。神域、屋久島の白谷雲水峡に行った。友人が選んでくれた、緑と橙の髪どめを正装がわりにつけて。

光の帯漂う清流。竜の通り道のような苔の大空間。踏みしめるたび感じた。神はいるのだ、と。

慈悲深い自然に包まれ《ありがとう》と声をかけながらの行軍。

(御守が欲しいな)

──小石をひとついただけないだろうか?

神に問う。

こういうのは神域から無断で持ち帰ってはダメだ

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