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恋なんていらない

 失恋するたび、自分の存在価値を全否定されたようで、苦しくなる。失恋といっても、いつも一人相撲で、片思いで終わる恋だけだ。

 恋なんていらない。そう思ってずっと生きてきた。誰からも愛されないことを、私は誰よりも知っている。

 寂しさを埋めるために、馴れ合いで付き合っている人たちを、私はどこかで馬鹿にして、そしてどこかできっと羨ましがっている。

 こんな私は、いつまで経っても、つまらない人間だ。

 彼女色に染まる彼をみて、私はまた、孤独を知る。彼のように誰かに染まる人生を、きっと歩んでみたいのかもしれない。違う、自分の色に彼を染めてみたかったのかもしれない。

ー必要とされたい。

 私は、いつも勘違いをする。少し微笑まれただけで、優しくされただけで、この人は私を必要としてくれるのかもしれないと錯覚する。
 
 きっと、そこで体を許せばいい。そしたら、偽物でも私のものになる。そんな関係にすらなれない私は、どこまでも臆病ものだ。

 私のような人間はいるのだろうか。陰キャをうたっている彼も、地味なあの子も、清楚そうな彼女も、夜の顔をもっている。皆、嘘つきだ。私だけ、不完全な異物のような気がしている。

 欲、それは生きる上で必要なもの。私は、その欲に蓋をして生きていく。傷つくこともなければ、愛されることもない。欲まみれの人間なんて、とても汚い生き物だ。

 だけどまた、私は勘違いを繰り返す。

 本当に醜いのは、多分、私自身だ。

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