マガジン

  • File

    きっともう一度触れたくなると思う詩、文章、お話、写真を集めています

  • 短歌

  • no title

    no title

  • けものみち 野藤狂

  • いくつかの小品

記事一覧

船にのる夢

有明を夜に発ちます櫓のない船で 湾からの夕景ぐるり生きとし灯 出航は電波を捨てるための言…

理柚
1か月前
9

片割れのバチェラーズボタン

多分、いくつか昔の春の日だった。ふと頭をよぎる考えごと。指を滑って落ちたバチェラーズボタ…

理柚
2か月前
13

にりんそう

寄り添う、 なんて身勝手な慈愛 見守る、 なんて不確かな自愛 一本の茎から伸びていながら 同…

理柚
3か月前
7

賽の目

開花予想をはるかに裏切って 裏山が淡く色づく 今さいころを振って「優」が出たなら 地蔵に赤…

理柚
3か月前
5

春の花束を

きみに 春の花束を贈りたくなった 薄衣の花びら 強く抱くと くしゃりと潰れてしまうような 緩…

理柚
4か月前
6

わたしにはひみつがある

わたしにはひみつがある わたしにはひみつがある と 唱えるとたのしい だれにもいえないこと…

理柚
7か月前
8

六月の訪問者

そろそろ寝ようか、と思っていると ちいさく扉を叩く音がする こんな時間に、といぶかしく思い…

理柚
1年前
12

固体から液体

「しあわせになるおくすり」とまやかして和三盆糖舌に熔けゆく くれまちす、の響きを貝の空洞…

理柚
1年前
8

抜け殻

古い家のくちなしの垣根に絡まる抜け殻は 長く細く編まれた銀線細工のようだった 「あら大金…

理柚
1年前
16

18の街/花曇りの中で/心中未遂

先日、18歳のころに住んでいた街に行った。とても懐かしいと思う反面、本当に自分がそこにいた…

理柚
1年前
8

春罪

「急いでいましたの その日は 誰かに追われて何者かを追っかけていましたの いつものわたくし…

理柚
1年前
8

明けてしまえば

枯れたと思っていた枝に 白い珠が連なっている あ、梅のつぼみだ、と思うときの 「あ」という…

理柚
1年前
10

ある午後

あたたかい水に 蜂蜜を溶かしたような午後でしたので 硬く締めたはずの窓の蝶番が 緩むのは仕…

理柚
1年前
15

魔王

春に違いなかった まだ目覚める前の ずっと霧の中だった くちびるを結んだままの 気怠い午後…

理柚
1年前
10

夜に咲く/3年ぶりの/遠いよしこの

朝、窓を開けると、山際の濃い緑いろの葉の上に、白い薄紙をきゅっと丸めたようなものが見える…

理柚
1年前
13

Breathless

午後の水族館で 僕らは見世物になる 水の中のいきものは どれもしなやかで 歪な僕らを瞬きもせ…

理柚
2年前
13

船にのる夢

有明を夜に発ちます櫓のない船で 湾からの夕景ぐるり生きとし灯 出航は電波を捨てるための言…

理柚
1か月前
9

片割れのバチェラーズボタン

多分、いくつか昔の春の日だった。ふと頭をよぎる考えごと。指を滑って落ちたバチェラーズボタ…

理柚
2か月前
13

にりんそう

寄り添う、 なんて身勝手な慈愛 見守る、 なんて不確かな自愛 一本の茎から伸びていながら 同…

理柚
3か月前
7

賽の目

開花予想をはるかに裏切って 裏山が淡く色づく 今さいころを振って「優」が出たなら 地蔵に赤…

理柚
3か月前
5

春の花束を

きみに 春の花束を贈りたくなった 薄衣の花びら 強く抱くと くしゃりと潰れてしまうような 緩…

理柚
4か月前
6

わたしにはひみつがある

わたしにはひみつがある わたしにはひみつがある と 唱えるとたのしい だれにもいえないこと…

理柚
7か月前
8

六月の訪問者

そろそろ寝ようか、と思っていると ちいさく扉を叩く音がする こんな時間に、といぶかしく思い…

理柚
1年前
12

固体から液体

「しあわせになるおくすり」とまやかして和三盆糖舌に熔けゆく くれまちす、の響きを貝の空洞…

理柚
1年前
8

抜け殻

古い家のくちなしの垣根に絡まる抜け殻は 長く細く編まれた銀線細工のようだった 「あら大金…

理柚
1年前
16

18の街/花曇りの中で/心中未遂

先日、18歳のころに住んでいた街に行った。とても懐かしいと思う反面、本当に自分がそこにいた…

理柚
1年前
8

春罪

「急いでいましたの その日は 誰かに追われて何者かを追っかけていましたの いつものわたくし…

理柚
1年前
8

明けてしまえば

枯れたと思っていた枝に 白い珠が連なっている あ、梅のつぼみだ、と思うときの 「あ」という…

理柚
1年前
10

ある午後

あたたかい水に 蜂蜜を溶かしたような午後でしたので 硬く締めたはずの窓の蝶番が 緩むのは仕…

理柚
1年前
15

魔王

春に違いなかった まだ目覚める前の ずっと霧の中だった くちびるを結んだままの 気怠い午後…

理柚
1年前
10

夜に咲く/3年ぶりの/遠いよしこの

朝、窓を開けると、山際の濃い緑いろの葉の上に、白い薄紙をきゅっと丸めたようなものが見える…

理柚
1年前
13

Breathless

午後の水族館で 僕らは見世物になる 水の中のいきものは どれもしなやかで 歪な僕らを瞬きもせ…

理柚
2年前
13