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小説

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小説と言えるものを、企画を問わずに全てまとめたものです。
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#クリスマス

虫我「サンタ証明の途中式」後編

虫我「サンタ証明の途中式」後編

 小学生の僕が、僕を覗き込んでいた。ポンポンが付いた青いニット帽が、白く染まっている。
「つかまれよ」
 そう差し出された小さな手を握る。引っ張られる力は、その大きさと見合わないぐらい強かった。
 そのまま小学生の僕は、白い世界に向かって走り出す。消えゆくように、背中が白く薄くなっていく。
「おい、どこに行くんだよ‼」
 見失わないように必死についていく。叫んだ声も、吹雪で掻き消えそうだった。
 

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虫我「サンタ証明の途中式」中編

虫我「サンタ証明の途中式」中編

 外は案の定の暗闇だったが、不思議と自分の身体とその前方ははっきりと見通せた。
「では、お気をつけて」
 運転手は扉の前でお辞儀をすると、再び戻ってバスのエンジンをかけた。表記は『夢行き』から『回想中』に変わっている。
そうして過ぎ去っていくバスを見えなくなるまで見送ったあと、僕はあてもなく歩き出した。
歩き出して、少し止まって、また歩いた。
ずっと、暗闇。でも、少し前だけは見えている。
「……な

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虫我「サンタ証明の途中式」前編

虫我「サンタ証明の途中式」前編

「次は、如月四条、如月四条」
 ある冬の一夜。大学生である僕は、その送迎バスの最終便に一人揺られていた。
「……」
 十二月二十四日の夜。生憎僕にとってクリスマスは聖夜ではなく、何気ない日々のその一員にしか過ぎない。
 僕は窓を、その中にうつる世界を見る。夜の暗闇に照らされるキャンドルのような街並み。宝石のような街灯。腕組みして歩く二人組。笑顔の絶えない家族連れ。それは、クリスマスと形容するにはぴ

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