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「遊ぶ・学ぶ・働く」を分けない生き方

ADHD(注意欠陥多動性障害)の特性を持つ息子のりとくん。
学校の環境がどうしてもあわず不登校を選択しましたが、これは決して不幸なことではなく、親であるぼくたち夫婦にとっても、これまでの常識や思い込みを外すアンラーニングのチャンスでした。

そして、このアンラーニングがぼくたち ritorium の事業の選択肢を広げ、「遊ぶ・学ぶ・働く」を分けない生き方に挑戦できるチャンスにつながったのは、ある意味とても幸運だと思っています。

現時点の株式会社 ritorium は、ぼくが代表取締役で、妻の kalo が取締役を務める夫婦だけのプライベートカンパニーです。
いわゆる、マイクロ法人ともよばれる形態なのですが、息子のりとくんも「しゃちょう」の肩書を名乗っています。

そうなんです。
ぼくたちの会社では、楽しく遊ぶことが学びにつながり、そのことが人に対して価値を提供する仕事になるということを目指しています。

そして、「しゃちょう」のりとくんが、「遊ぶ・学ぶ・働く」を分けない生き方のモデルケースとなっています。

「遊ぶ・学ぶ・働く」を分けない生き方

この生き方に挑戦しようと思ったのは、この note でも何度か紹介させていただいている孫泰蔵さんの著書「冒険の書 AI時代のアンラーニング」に感銘を受けたのが直接的なきっかけなのですが、この選択肢を選べるようになった背景のひとつは、りとくんを無理に学校に行かせない道を選ぶことで、時間と場所が自由になったことが大きいです。

ピンチをチャンスに変えた結果

ぼくたち夫婦は、りとくんが生まれる前に limica という個人事業を起ち上げており、もともとフリーで仕事をしていました。
休日も深夜も関係なく働くこともあれば、仕事の受注にムラができて収入が安定しない難しさがある一方で、自分たちの裁量で仕事ができるため、時間と場所を選ばずに働くライフスタイルを送ってきました。

ですが、りとくんが保育園や小学校に通うようになると、働き方も調整せざるを得ません。
毎朝8時前に家を出て、お昼すぎに帰宅する。
ぼくたち両親よりもよっぽど規則正しい生活を送るりとくんに、いろいろと合わせる必要がありました。

ところが、りとくんが学校にいかないことでその制約がなくなり、ぼくたち3人はいつでもどこでも学んで働くことが可能になったわけです。
本来であればピンチになりうる子どもの不登校を、どうせだったらチャンスに変えてしまおうと考えた結果、「しゃちょう」りとくんが誕生しました。

「遊んで・学んで・働く」は成立する

そして、この「遊ぶ・学ぶ・働く」に境界を設けない生き方は、ぼく自身がゲーム開発・運営に携わってきた中で実践してきたことでもありました。

ゲームという遊びを作るためには、ゲームやそれ以外の遊びやサービスをたくさん体験して、自分の中に楽しさの引き出しをいくつも作っておく必要があります。
日々進化する技術やビジネス環境を先取りするため、学び続けることも必須です。
こうして、遊びを楽しみ、遊びから学んだものを詰め込んだゲームというプロダクトをプレイヤーのみなさんに提供してお金をいただくことは、立派に仕事として成立します。

つくり手として、ゲームを遊ぶときはもちろん、映画を見てもテーマパークに遊びに行っても、コンテンツがどのように作られ、どう提供されているか常に分析して学ぶことができますし、そこから得た学びをゲーム開発や運営に活かしていくことは、どのゲームクリエイターにとっても日常茶飯事なんですよね。

もちろん同じやり方がその他の全てのケースにあてはまるわけではないかもしれません。
それでも、世の中の「負」を解決したり、人に「快」を届けることが仕事の本質である限り、そこから主体的な楽しみを見出し学ぶことで、人に提供する価値をより大きくできるというサイクルは、どの仕事でも共通する構造ではないでしょうか。

機械化や自動化が進み、事務業務や知識を集約するような作業もAIがより効果的に担っていくようになるからこそ、人が人の心を豊かにする仕事は、この先の時代もっと増えてくると思います。

その時に必要になるものは、何が楽しいのかを主体的に体験し、そこから学びを深め、人に対してよりよい価値を提供できる力でしょう。

不登校が広げた可能性

遊びを学びにつなげる事業を作ってみたいとぼんやりと考えていた数年前、そこにりとくん自身が直接関わっている姿はあまりはっきりと見えてはいませんでした。
ですが、彼が不登校になったことで直接事業に関わってもらう選択肢が増え、目指す方向性もより面白いものになっていきました。

自分たちが「遊ぶ・学ぶ・働く」ことを分けない生き方を実践することで、関わってくださるお子さんたちにもよりよい価値が提供でき、その内容も常にアップデートし続けることができます。

これからのりとくん、そして株式会社 ritorium の成長に、ぜひご期待ください!

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