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「膝が曲がるようにしたい」「旅行に行けるようになりたい」

経過・普段の様子

平成28年左膝人工関節置換術後、左膝関節の可動域が屈曲30°程(軽く曲がる程度)で膝周りの炎症・下腿部の浮腫が強く、足の色も変色している状態。椅子からの立ち座りが難しく、なんとか歩けている状況。

既 往 歴

両変形性膝関節症、左膝人工関節置換術後、脳梗塞

生活背景

ご主人と二人暮らし。

理学療法士 所見

左への荷重ができておらず、膝を伸ばした状態で歩行。術部は赤く腫れ炎症症状があり、膝から足先までかなり浮腫んでいる状態であった。左膝に力が入っていない状態で歩行される。そのため足首・足先も可動域も減少しており、立ち上がりも背もたれや肘置きを手で押しながら立ち上がる。そのような状態が続いていることもあり、体の緊張状態は高く、柔軟性に欠け、日常動作がぎこちなくなっている。

このままいくと・・・どうなるのか

膝関節の腫れの原因がわからないまま放置していると、膝は曲がらないまま、立ち上がりや歩行困難が助長される状況。また、それをかばうようにして歩いたり立ち上がったりしているため、体の使い方が悪くなり姿勢不良で過緊張状態が続き、首や腰痛や反対側の膝や股関節の痛みなどが出てくる可能性が高くなる。また、T様の役割として家事も十分にできない状況が予測される。

ここで介入するとどう変わるのか

膝関節の可動域の拡大には時間がかかるものの、少しずつ改善され、歩行能力を再獲得できる状況。

考察・目標

膝関節の腫脹に関して、原因によって今後のリハビリプログラムが変わってくるため、術後によるものか、または別の原因での腫脹なのか、再度、受診して原因を明らかにし、アプローチしていく。関節を動かさない状態での筋力トレーニングは可能であるため、マシンを利用したトレーニング、チューブ、自重でのトレーニングを実施し必要となる筋力向上に努める。また、膝関節が曲がらないため、それをかばうようにして歩いたり立ち上がったりしているため、正しい姿勢で座位・立位での運動をし、正しい位置での体の使い方を理解し意識して動くことが歩行能力の再獲得に重要になる。

実際のプログラム時の目的

1)脚力強化、股関節・膝関節・足関節の協調性の向上のため筋力トレーニング(マシン・チューブ・自重使用)、膝関節の可動域拡大、下腿の浮腫の軽減のため関節可動域訓練(バイク)、また立ち上がり・歩行の再獲得のために必要なバランス・荷重・動作反復トレーニング(TRX)を実施する。

2)膝の状態(腫れや皮膚の色、熱感の有無、関節具合)や痛みを毎回確認して負荷量(重さ、回数やセット数)を調整し、トレーニングの経過観察を行う

3)随時、歩容を確認しプログラム間を活用して自立歩行を促すなど、訓練という形ではなく、移動が自然で、自宅で自立できるようにアプローチする。

ご利用はじめの様子

膝関節の腫れに関して受診したところ、膿が溜まっており、その影響でふくらはぎ〜足先まで浮腫んでいる状態であった。そのため、定期的に受診して膝の炎症に対する治療をしながら、痛みや腫れ具合を確認しながら膝関節の可動域訓練を行うこととした。この可動域訓練では、エルゴメーターやストレッチポールなどを活用して実施した。同時に膝・股関節周囲筋の筋力向上を図り、立位でのバランス訓練(特に荷重訓練)を実施した。

ご利用開始して

膝の腫れは少しずつ良くなっていったが、同時に関節の可動域も改善したかというと難しい状況ではあった。しかしながら、腫れがひいた頃から痛みが軽減しバランス訓練をしっかり行えるようになると、ご本人も改善の兆候を感じたのか、トレーニングに対して意欲的になられ、より積極的に可動域訓練に取り組まれた。その成果もあり、現在では膝関節が当時、屈曲20°→100°になりエルゴメーターも普通に漕げるようになり、歩行も杖なく自立している状況で、旅行も楽しめる状態になっている。

画像1ご本人より

頑張った甲斐もあって、今では近所のお友達をお茶をしたり、買い物に出かけることもできています。いろいろ教えてもらえてよかった〜