(読書感想文)「手紙屋」

喜多川泰著「手紙屋」読了。
エピローグを読んで、感動して涙ぐんだ。
最後を知ったうえでまた最初から読みたくなり、すぐに再読した。

就職活動に出遅れ、将来に思い悩む平凡な大学4年生の僕は、ある日、書斎カフェで、『手紙屋』と書いてある奇妙な広告とめぐりあう。たった10通の手紙をやりとりすることであらゆる夢を叶えてくれるというのだ。
平凡な人生を変えたい! 行動を阻む目には見えない壁を取りのぞきたい! そんな思いに突き動かされるように、僕は『手紙屋』に手紙を書き始めた……。
働くことの意味とは? 真の成功とは? 幸せな人生とは?
そして、謎の「手紙屋」の正体とは……?
就職&転職を考えている人、必読の本。
明日をよりよく生きたいあなたへ贈る感動作。

あらすじ

フォントで描く表情

本作は主人公と手紙屋の手紙のやり取りをメインにストーリー展開される。

  • 主人公の書く手紙

  • 手紙屋の書く手紙

  • 手紙ではない部分

の 3 パターンでそれぞれ異なるフォントが使用されている。まずそこが読みやすかったのと、フォントが与えるイメージってあるなと思いながら読んでいた。
※余談だが、私は普段の業務で使用するフォントには少し拘っている。メールはもとより、文章を作成する時にいつも使用するフォントがある。むしろそれじゃないと落ち着かない。

自分に合う才能は自分で見つける

印象的な一節があった。

学校教育は種類の違う様々な種を全部一つの鉢(教室)の中に入れて、それを育てる人(先生)たちが自分なりに最も多く芽が出るだろうと思う方法で育てるようなものです。当然ながら、その育て方が自分に合っているので、グングン才能を発揮する種もあれば、普通の気温や水のやり方や肥料では芽を出すことすらできない種だってあります。でも、だからといってその種が、もともと何の才能もなかったと言い切ることはできません。育て方さえ間違えなければ、全ての種は芽を出し、茎を伸ばし、葉をたくさんつけて、花を咲かせ、たくさんの実をつけるものです。
あなたが今まで取り立てて才能を発揮してこなかったのは、あなたという種が平凡であったせいではなく、自分という種を最大限に成長させる育て方をしてこなかったからでしかありません。あなたという種は、これから広い社会という場所で、芽を出し、大きく育っていくことでしょう。自分に自信を持ってください。
とはいえ、これは学校の先生の責任ではありません。やはり自分に合う育て方は自分で発見するしかないということなのです。そのことだけは忘れないでくださいね。

P128, 129

生まれつきの才能を誰かに見出してもらうのを待つのではなく、目の前のことに一生懸命取り組み、称号を与え、情熱を持って動き続ける。

私もこの主人公と同じだ。
表面的なもので選んできて、消極的な理由で手放せずにいた。
私は情熱を持って人より動いてきたのか、今いる場所を失うのが怖くて、レールから降りられずにいただけではないのか。

そんな恥じる思いを、だが、手紙屋は責め立てることなく導いてくれる。

転がる石に苔はつかない

自分を変えてくれるような本を読み、自分の意見を書き綴っていく。このことで自分を磨くことができます。
(中略)
「止まっている人は、止まり続けようとする。
動いている人は動き続けようとする」(慣性の法則)

p210

主人公と手紙屋、そして登場する周辺人物たちが自分と比較して眩しすぎるように感じていたところ、最後の部分に救いがあった。

何事も継続が苦手な私が新年にジブン株式会社マガジンとして一念発起して始めた連続投稿。

転がる石になっているかわからないが、アウトプットの筋力はついている実感はある。
何より毎日書くのが習慣化してきた(23時59分の投稿は何度もあるけれど)。

手紙屋もアウトプットと継続を推奨していたので、嬉しく感じた。

失敗した人は才能を理由に挙げる。成功した人は情熱を理由に挙げる。

p227

本作の主人公ほど眩しい生き方ではないかもしれないが、私は私なりに情熱をもって生きている。そしてそれをこれから更に磨けるかどうかは私次第だ。

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