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"「能力」の生きづらさをほぐす" を読んで考えた能力と環境の相関と私の転職経験

勅使川原真衣著「能力の生きづらさをほぐす」読了。

生きる力、コミュ力… ◯◯ 力が、私たちを苦しめる。組織の専門家が命をかけて探究した、他者と生きる知恵
現職では「優秀」、前職では「使えないやつ」現象はなぜ生まれるの? 移ろいがちな他人の評価が、生きづらさを生み出す能力社会。その実態を教育社会学と組織開発の視点でときほぐし、他者とより良く生きる方法を模索する。
「行きすぎた能力社会じゃ、幼い子どもを残して死にきれない!」
ガン闘病中の著者が贈る、まさかのストーリー。

名言がたくさんあってグサグサ印象に残った。
私も母として、同じような言葉をかけてあげられるだろうか。

読んですぐ思い浮かべたのは自分の前職からの転職経験だった。


異端児だった前職の自分

就職氷河期の最中、やっとの思いで入社した、とある日本の IT 企業。
複数の部署とプロジェクトを経験したが、新卒から 7 年経ち、私は閉塞感を抱えていた。

社内に尊敬できる人もいたし、管理職育成プロジェクトに選出され、昇進試験も一足早く合格していた。
ただ、その時所属していたチームと実務がどうにも合わなかったのだ。
「言われたことだけ(決まったことだけ)やればいい」というような仕事がつまらなかった。上司に改善提案しても良い顔をされなかった。

「逃げ癖がつくよ」と言った部長

終身雇用の価値観の日本企業で、定時で帰れる安定した仕事がある中、転職する人は当時は少数派で、もちろんロールモデルもいなかった。

それでも、どうにもこのぬるま湯から、茹でガエルになる前に、抜け出たいと思った。

退職を申し出た時に、上司と面談し、「逃げ癖がつくよ」というようなことを言われた。
当時はそれなりに傷付いた。(仮にも 7 年間勤め、真面目に仕事をし、キャリアに悩んで悩んで決めた若者になんでそんなこと言うんだろうね、と今となっては思うw)

新天地にて

転職先は外資系。
たまたまご縁があって、だと思っているが、前職で疎まれがちだった私のパッションとアイディアを何より歓迎してくれた。
「決まったことだけやればいい」という人はそこにはいなかった。

そして前職の部長が懸念した逃げ癖だが、私は新天地で前職以上に長く勤務している。
そして新しい価値観を知った。

転職前と転職後、私の持ち味も特性も変わっていない。環境が変わっただけだ。それでも評価が 180 度に近いほど変わった。
そして私自身、認められることが増え、とても生きやすく、仕事が楽しくなった。

書籍から特に印象の残った言葉

ここで書籍から特に印象に残った言葉を引用する。

最速最短で最善と言われるような解を探し回ることが「生きる」でも「成功」でもない。

揺らぎやまわり道も含めて生きた証であり、この世に2つとない生。

排他的な基準に振り回されないことは自分を尊重することであり他者を尊重すること。

「「能力」の生きづらさをほぐす」より

昨今の企業のメンタルヘルスや、各種診断とそれに伴う誘導、マインドフルネスなどにもメスを入れられており、グサグサくる。
※「葛藤の除去に盲進」したエピソードも自分と重なった。

冒頭の通り、これらの現代に通ずる難問に対し、私も母として自分の子に同様の声掛けをできるだろうか。一緒にオロオロしてしまいそうな気がする。

そして最後に。
前情報がない状態で読み始め、同年代であり同じく子を持つ母でもある著者さんが現在ご健在なのか本気で心配になっていた (ガン闘病中とのことだったので)。
ご健在だとわかって本当に安心した。

また折に触れて、読み返したい。

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