台北鄉下生活日誌【3】 迷惑はかけるよ、でもお互い様
「互相照顧!(フーシャンジャオグー!/お互い助け合おうね)」
台北に越して来たばかりの頃、ルームメイト達から何度となく言われたこの言葉。
最初は単純に、良い言葉だな〜優しい人たちで良かった〜と思っていたけれど、しばらく生活していくうちに、「助け合おう」という言葉の持つ意味が、日本と違うことに少しずつ気付いてきた。
日本で言う「助け合おう」の言葉の裏には、迷惑はかけないようにするけれど、何かあったら助け合おう、という風に、「なるべく迷惑はかけない」ことが前提にあるように思う。
それが、ここ台湾では、どうやらまるっきり逆なようなのだ。
つまり、迷惑かけるけど、それはお互い様だから助け合おうね、という。「迷惑をかける」ことが前提にある。
ゆえに、初めのうちは、この文化の違いからイライラが止まらなかった。
「今日夜いないから、私のゴミ代わりに捨てといて〜」(いや、明日は家にいるなら、明日でもよくないか…)
「ゴミ玄関に置いとくけど、捨てられる時捨てるからよろしく〜」(まず虫たかるから玄関に置くな… しかもそのまま1週間放置)
「今日荷物来るから代わりに受けといて〜」(いや小物ならコンビニ受取にしてよ…これで何回目だ…)
…と、言った具合。
日本であれば、直接注意したり不満を漏らしたりする代わりに、態度で示したり、なんとなく気付いてくれるのを待ったりして、それでもダメならやんわり相手に伝える…といったところだけど、空気を読む文化が日本ほど強くはない台湾で、我慢を続けていたらまず身が持たない。
直接注意するか、きちんとお願いするかしないと、何も改善しないのだ。
それゆえなのか、人に注意したりされたり、ということに対して、台湾の人たちは、日本人ほどの抵抗感がない。それどころか、注意されるまで何も動かない人だって少なくない。
そんなこんなで、積もり積もった不満を口にするのは、最初こそ勇気がいるけれど、慣れてしまえばなんてことはなくなってくる。
というのも、注意したり、自分の考えを伝えたりしたときの反応が、予想以上に軽いのだ。
「あ〜ごめんごめん、今日中にやっとく!」
「ごめん〜次から気をつけるから!(スタンプ)」
「なるほど〜じゃあ今度どうしたらいいか皆いる時にでも話し合おう!」
などなど。
その後、関係がギクシャクする、なんてこともない。
これに慣れてしまうと、台湾に来る前に、人間関係でうじうじ悩んでたのはなんだったんだ…とすら思えてくる。
住み始める前は、まさか言葉1つにこれだけの文化の違いがあるとは思わなかったけど、今となっては台湾式の方が気楽でいいなあ…とも思う。とはいえ、迷惑をかけられないに越したことはないけれど(笑)。
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