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浪人生へ

本当はすぐにおすすめ参考書や勉強法を投稿しようと思っていたが、その前にどうしてもこれを書きたくなった。

春から浪人生になった、このnoteを読んでくれているすべての浪人生に言いたいことがある。

君たちはすごい

少子高齢化に伴って受験生の数は減少し続けているにもかかわらず、大学の数はしょうもない私大を中心に昔と比べて増加しており、どんどん大学に入学しやすくなってきている。今や大学全入時代と呼ばれて久しい。

大学入試も昔と比べて変わってきており、指定校推薦や総合型選抜の枠が増加し、一般入試枠は減少の一途をたどっている。私の母校も、一つの学力試験も受けることなく、学力が伴っていないにもかかわらず有名私大に合格した人が何人もいるのだから驚きである。また、受験に対する考え方も「行きたい大学ではなく、行ける大学を目指す」という風に変わってきている。

今浪人している君たちも、大学を選ばなければそこそこの大学には入れただろう。私もそうだった。高校3年時は新型コロナが大流行しており、感染防止の観点から東京に行きたくないという理由で早慶受験は断念したが、東京理科大学と筑波大学の後期は合格していた。しかしいずれも蹴って浪人した。

どの大学に入るかではなく、大学に入って何を学ぶかが大事だ、という意見がある。しかし、大学で学ぶ内容は高校までのそれよりもはるかに高級であり、必ずしも独学できるわけではない。そういったときに学習を支えてくれるのが大学教員や学友たちである。大学の質は、そういったところで残酷なまでに響いてくる。だから、浪人するという判断は間違っているとは私は思わない。

私がそうしたから、というわけではないが、安定志向が主流の昨今において、行きたい大学に挑戦し、桜散ってもなおもう1年頑張ることを決めたすべての浪人生を、私は心から尊敬している。同時に、浪人する際にかかる莫大な費用を出すことを決めた浪人生のご両親にも頭が上がらない。

私は駿台で1年浪人した。最初は駿台生向けに1年間の過ごし方を記そうかと思ったが、そちらは駿台wikiに任せるとして、私は予備校に通う浪人生全般のアドバイスを書いていきたいと思う。ところどころ駿台生向けの記述があるが、それらはすべて関西圏の情報である。


規則正しい生活を送ろう

浪人していてよくみられるのが、勉強時間を増やそうとするあまり深夜まで起きてしまうことだ。これは良くない。一般的に、起きてから脳が覚醒するまでには3~4時間程度かかる。入試は基本的に9~10時頃から行われるし、予備校の1限もそれくらいなので、大体6時頃には起床しておかねばならない。となると深夜0時頃には就寝しておかないと、十分な睡眠時間は確保できないのである。人間は睡眠不足が続くと、日中の眠気、体調の悪化、集中力の低下、ストレスの増加、免疫力の低下などが現れ、はっきり言って勉強どころではない。勉強量を増やすのは大事だが、それと同程度に適切な時間寝ることも大事なのだ。

きつい言葉を使うが、睡眠時間を削れなどという馬鹿げたアドバイスをしている人がいたら、その時点でその人の話は何も聞かなくてよい。そのような害でしかない根性論を当然のように振りかざしている時点で指導者失格である。


友達は無理して作らなくてもよい

地方から予備校に通うためにやってきた人は、身近に話せる友達は基本的ににいないだろう。しかしだからと言って、無理して友達を作る必要はない。浪人生の本分は受験勉強である。勉強するために友達が必要かといったら、必ずしもそうではない。かくいう私も駿台に入ってすぐ友達ができたが、喋るのがめんどくさすぎて私のほうから避けてしまい、途中から話さなくなってしまった。

一応言っておくが、別に友達を作るなと言っているわけではない。教えあったり、過去問を貸し借りしたり、休んだ時に板書を写させてもらったり気分転換に談笑したりなど、友達を作るメリットは沢山ある。だが、別に必須ではないので、いらないならそれでいいのだ。


メンタルの不調を感じたら放置しない

浪人生活は過酷なもので、メンタルの不調に陥りやすい。かくいう私も、浪人中に一度病んだことがある。友人とのLINEグループで話していたりInstagramを見たりしていた時にふと「同級生は大学生活をエンジョイしているのに、俺は一体何をやっているんだ…」という劣等感に脳を支配され、ベッドに横になる以外何もできなくなったのをよく覚えている。病院で診察を受けたわけではないのであまり言うべきではないが、軽い鬱病になっていたのではないかと思う。

1分1秒が惜しい浪人生の諸君は、メンタルの不調は絶対に放置してはならない。病んでいる時期は勉強のパフォーマンスが落ちるので、早急に改善が必要だ。駿台では、無料で利用できるカウンセリングが用意されている。ほかの予備校のことはあまり知らないが、おそらく似たようなのがあるだろう。ない場合は外部のカウンセリングを利用しよう。


上位クラスに入ろう

ほかの予備校のことはあまり知らないが、駿台では学力順にクラス分けされる。そして上位のクラスほど、担当講師陣も豪華になる。人気講師の授業を通期で受けたいのであれば、最上位クラスに入ることを強くおすすめする。個人的に良いと思った講師を箇条書きで挙げておく(敬称略)。

  • 中野芳樹(現代文科)

  • 竹岡広信(英語科)

  • 米村明芳(数学科)

  • 杉山義明(数学科)

  • 吉岡高志(数学科)

  • 三森司(数学科)

  • 高井隼人(物理科)

  • 三幣剛史(物理科)

  • 石川正明(化学科)

  • 星本悦司(化学科)

  • 岡田了一郎(地理科)

見事に人気講師ばかりである。やはり人気と実力はある程度比例するのだ。中野先生は現役の時に招待された「京大現役合格のためのストラテジー」という、駿台実施の模試で好成績をとり、かつ案内が届いた高3生限定の招待生講座のときの担当講師で、三森先生は、冬期講習の「アドヴァンス数学」を受けた時の担当講師である。それ以外は全員、通期授業でお世話になった。全員、非常に素晴らしい先生だった。


授業を切るかどうかは慎重に決めよう

ほかの予備校は知らないが、駿台では授業を受けずに自習室に行ったり家に帰ったりする、いわゆる「授業を切る」ことができた。これに関しては賛否あるだろうが、私は別に合わない授業は切ってもよいと思う。ただし、すぐに自分には合わないと決めつけるのはよそう。初回の授業を受けて合わないなと思っても、2回目以降の授業では慣れて普通に受けられることも珍しくない。本当は自分に合っているにもかかわらず、合わないと勘違いして切ってしまうのは非常にもったいない。前期のうちに講師と授業をしっかり見極め、後期から合わない授業をバッサリ切って過去問演習に充てよう。

ただし、サボり癖のある生徒はすべての授業を受けるようにしよう。授業は、少なくともその時間は強制的に机に向かわせるという強制力を持つ。サボり癖を治すためには、勉強時間を増やす以前に、決まった時間、勉強机に居続ける訓練からしなければならないのだ。それが身につけば、勉強は自発的にできるようになってくる。勉強時間を増やすのはそのあとの話だ。


模試はサボるな

受験勉強において、進研模試以外の模試は自身の実力を測るために非常に重要だ。普段の学習では、自身と志望校の距離がなかなか分かりづらい。模試は志望校の判定を出してくれるし、総志望者の中で何位かまで教えてくれる。更に科目別だけでなく設問別に点数を教えてくれるので、自身の得意不得意科目だけでなく、どの分野のどのような問題が苦手なのか事細かにを分析できる。加えて入試本番の場慣れになるので、緊張しやすい人は特に沢山受けておくべきだろう。

難関大を目指すのであれば共通テスト模試+駿台か河合塾主催の大学別模試は必須である。駿台全国模試とプライムステージも受けたほうが良い。逆に、それ以外を受ける必要性はあまり感じない。

注意点としては、模試で良い点を取るためだけの勉強はしないようにしよう。あくまで目標は第一志望校合格である。受験勉強を頑張るついでに模試の点が伸びていった、というのがベストだ。駿台生は後期のクラス分けが模試の成績で行われるが、真面目に勉強を続けていれば奇をてらったことをしなくても上位クラスに在籍できる。


講習はとりすぎない

予備校は慈善事業ではなく商売である。だから、担任は必要以上に多くの講習をとらせようとしてくる。しかし、予備校生にとって一番大事なことは講習を受けることではなく、通期の授業の復習をすることだ。一部例外を除いて、大学受験に必要な知識は通期授業で完結している。そして講習は、それを補足するものでしかない。つまり、内容の優先順位は講習より通期授業のが高いのである。とるのであれば、復習を完璧にしたうえでハイレベルな講座をとるか、復習していてどうしてもわからないところを補える講座をとろう。

一応、関西圏の駿台生向けにおすすめの講座を挙げておく。詳しくは各自で調べてほしい。

  • 英文精読特講  ←竹岡先生の映像講座

  • 自由英作文のエッセンス  ←上に同じ

  • アドヴァンス数学  ←冬期講習。くそ難。理Ⅲ志望でもいらない。

  • 化学特講Ⅰ(計算問題)  ←計算問題を体系的に網羅。化学得意でも


一番伝えたいこと(必読)

ここで私が言いたいのは、「第一志望校合格に向けて、一生懸命頑張ろう!」というありきたりなことではない。もっと現実的なアドバイスだ。

現役時の受験と浪人時の受験、どちらのが緊張したかと言われれば、私は間違いなく浪人時と答える。2回目の共通テスト初日、私にとって最初の科目であった地理の試験が始まる1分前のあの緊張、ペンを持つ右手の震えを、私は生涯忘れることはできないだろう。


その日、試験会場周辺では雪が降っていた。凍てつくような…とまではいかないが、とても寒かったのをおぼえている。しかし、あの手の震えは、決して寒さによるものではなかった。現役の時とは比べ物にならないくらい賢くなった、模試でもA判定以外とらなかった、数学と物理で全国一位もとった…にもかかわらず、私はあまりも強大な緊張を抑えることができず、ただ喉元を過ぎ去るのを待つほかなかったのである。

試験始めの合図とともに、急いで問題を解き始める。が、脳と手が思うように動かない。寝坊したわけでも朝食を抜いたわけでもないのにだ。私の焦りをよそに、時間だけが過ぎていく。もう二度と共通テストなんか受けたくない、そう思った。


現役の時にあって浪人してなくなるもの、それは勢いである。次は失敗できない…失敗したら人生終わる…浪人すると誰もが頭をよぎるものだ。これが足枷になり、必要以上の緊張を生み出してしまう。適度な緊張はパフォーマンスの向上に繋がるが、過度な緊張は「あがり」の原因になる。ならばそうならないためにはどうすべきか。自信をつけることだ。「自分は一年間死ぬ気でやってきたんだ」「何度やり直してもこれ以上努力できない」「自分なら絶対に大丈夫だ」「これだけやって失敗したらもうしょうがない」そう心の底から言えるように、浪人の一年はベストを尽くし続けてほしい。この経験は、受験に限らず、この先の長い人生の中で、幾度となくあなたを守る盾となってくれるだろう。


最後に

浪人生活は、辛く苦しい孤独な戦いである。しかし、ひとたび努力をやめれば、最も楽で、最も無意味な一年にもなりうる。ここまで読んでくれたあなたの努力が報われ、夢を追い求める豊かな心を育み続ける一助となれば幸いである。頑張ってください。心から応援しています。



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