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昔、書いていた作品を少しずつ再掲します。気が向けば、新作もUPするかもしれません。
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路地裏のネコ

路地裏のネコ

君は 自分のことを 自由だと思っている
自由で 
そして 何でも自分で選んでいるのだ と思っている

でもさ それなら どうして そんなに苦しんでいるの?
自由にともなう 苦しみだ とでも思っているの?

本当はさ 君は 不自由なのかもしれない
不自由で
何かから逃れようとしながら 縛られつづけているのかもしれない

探して 見つけて 手に入れて 
縛られて 苦しんで 失って

君が 手にしている

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わかれびと

わかれびと

あなたの世界が
私なしでも成立するのだという
残酷な事実

あなたの世界に
私は二度と触れることができないのだという
絶望

それこそが
あなたが私に与えることのできる
致死的な痛み

あなたが幸せそうに笑っていても
あなたが孤独に泣いていても
私はその痛みから逃れることができない

残酷なことに
私の世界もまた
あなたなしで成立してしまっている
あなたに二度と触れられなくとも

いっそ
あなたが

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空を見上げる

空を見上げる

途中で止めたことを 恥じることはない
続けることが 美徳とされていたとしても
あなたには 退く勇気があるのだから

途中で休んだことを 後ろめたく感じることはない
休まずに働くことが 評価されていたとしても
あなたは 誰よりも自分を愛する術を知っているのだから

変わらないことを 思い悩むことはない
変わり続ける人が 時代をリードするのだと言われていても
あなたは 変わらないことで時代を守っている

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長い長い手紙

長い長い手紙

旅立つ君に 長い長い手紙を書こう
汗だくで疲れた午後に 君の渇きを潤す手紙を
夕暮れさみしい時に 一人じゃないって思える手紙を
心細い夜 こころに灯をともす手紙を
降りやまない雨にうんざりしても 退屈しないような手紙を
寒さに震える明け方の 温かな紅茶のようにくつろげる手紙を

そして いつか
君がそろそろ帰ろうかと思えた時に
まっさきに僕の顔を思い浮かべるような
あぶり出しのような手紙を

僕は

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毒リンゴ

毒リンゴ

望んでもいないのに
お婆さんのふりした誰かは
毒リンゴを持って あなたを訪ねてくるだろう

そして
あなたは その訪問も そのリンゴも
拒否することはできない

なぜなら
その人は お婆さんのふりをしているから
あなたがその嘘も 毒リンゴも 見抜くことは
ほぼ不可能なのだ

だから
あなたは それを口にしてしまう

口にしてはじめて それが毒リンゴであることと
自分が受けた仕打ちを知る

身体の中

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君の繊細さ

君の繊細さ

君の繊細さは 君の弱さ
けれど
君の繊細さは 君の武器でもある

それを君は時々ふりまわして
「お前らは鈍感だから分かんないんだよ」となじる

君の剣は両刃だから
ふりまわすと君まで怪我をしてしまう

そうしておいて
君はその怪我まで僕らの責任にするんだ
「お前らのせいでこのザマだ」と言い捨てて

違うよ それは
君は君の剣で 自分を切ってるんだ

そして君は血をダラダラ流しながら
「見て。かわい

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I am proud of you.

I am proud of you.

私はあなたのすべてを知らない
けれど あなたを丸ごと信じることができる

あなたは悪くない
細かい事情を知らなくても きっぱりとそう言い切れる

あなたの善きところだけじゃなく 弱くて情けないところも知っている
けれど あなたを丸ごと信じることができる

あなたは悪くない
誰がなんと言おうと きっぱりとそう言い切れる

あなたを丸ごと信じること

それが私にできる 唯一の“あなたを守る”やり方

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大丈夫だよ

大丈夫だよ

大丈夫だよって 言ってほしい
それが甘えだと 分かっていても

他の誰でもない あなたに
大丈夫だよって 言ってもらえるだけで

向かい風にも顔をあげて まっすぐ歩いていけるような
かじかんだ手でも 凍てついたドアを開けられるような
そんな気持ちになれるはず

いまから
あなたにすべてを話すから
大丈夫だよって 言ってくれる?

新しい朝に

まどろみの中で 僕は傷付く
昨日と同じ場所で 目を覚ましたことに

夢を見る前の僕は もうここにはいないのに
僕のカラダは 昨日の僕と同じ形のくぼみを作っていた

僕は夢を見ていた とても長い夢を 
あまりにも甘くて 心地よい夢を

それがいつかは醒める夢だと知りながら

気が付けば ずいぶん長い時間が経ってしまった
これが夢だと忘れてしまうくらいに

けれど いつしか朝が来て 夢は突然終わった

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終わりが切ないのは

終わりが切ないのは

一日の終わりが切ないのは
夏の終わりが切ないのは
恋の終わりが切ないのは

まだ何かすることがあったような気がするから
まだできることがあったような気がするから

どんなことでも 始まりがあれば 終わりはやって来る

終わりが切ないのは 楽しかった証拠
苦しくつらいだけなら 終わりはホッとするはず

始まりは終わり 終わりは始まり 
終わりが切ないのは きっと 生きている証拠

奪取

奪取

考えるスピードを
現実が追い越してく

今さら成長痛でもないけれど
こころはミシミシと軋む音を立ててる

こんな時は
どうすればいい

手札を切る順番とタイミング
間違えれば溺死してしまいそう

うまく泳ぎ切るには
どうすればいい

正解が分からないまま
解答ボタン押すみたいに
自分の頭のてっぺん
何度も押してみる

時間はまだある
予想していたよりも短いけれど

タイムリミットのゴングが鳴るまで

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忘れないでいよう。

忘れないでいよう。

“忘れられない”のではなく 忘れないでいよう

あなたというひとのことを
あなたというひとが くれたことを
やさしいことばも まなざしも しぐさも
しりたくなかった過去や あやまちや うそも
わたしに与えた傷も

“忘れられない”のではなく 忘れないでいよう

あなたのことを ゆるすために
あなたをえらんだ わたしをゆるすために

“忘れられない”は 未練や憎しみと隣りあわせ
ならば わたしはゆる

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胸に灯すキャンドル

胸に灯すキャンドル

気持ちが届いて 何かが通じた瞬間というのは
何にもまして うれしい

こころが あったかくなる

気持ちが届かず 何も通じないというのは
何にもまして かなしい

こころが しわしわになる

世の中 いいことばかりじゃないし
世の中 わるいことばかりじゃない

生きているのは 楽しいことばかりじゃないし
生きているのは つらいことばかりじゃない

わかってはいるけど
きょうも あなたの胸に 何かを

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最後ん砦

最後ん砦

僕のこころは ヤワなんです
君が思っているよりも ずっと

僕のこころは ヤワなんです
僕が思っているよりも ずっと

だから どうかお願いします

土足で踏み込むのはよしてください
僕の最後ん砦に

僕だって間違いはする
君のことを知らないうちに傷つけたりもしているだろう

でも 最後ん砦だけは
そこだけは 触れないようにと心がけているんです

だから 君にもお願いします

なるべく そっとしと

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