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毒リンゴ

望んでもいないのに
お婆さんのふりした誰かは
毒リンゴを持って あなたを訪ねてくるだろう

そして
あなたは その訪問も そのリンゴも
拒否することはできない

なぜなら
その人は お婆さんのふりをしているから
あなたがその嘘も 毒リンゴも 見抜くことは
ほぼ不可能なのだ

だから
あなたは それを口にしてしまう

口にしてはじめて それが毒リンゴであることと
自分が受けた仕打ちを知る

身体の中に 廻った毒によって
じわじわ痺れていく感覚の中で
あなたは 何が起きたかを思い知る

しかし
それがあったからこそ
運命の人と出会えるということだってあるのだから
その毒を味わったっていいのだ

生きるというのは
多かれ少なかれ
そういうものなのだから


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