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エンタメのてんこ盛り~「神と共に 第一章:罪と罰」

子供のころから、神話や民話が好きだった。

図書館に陳列された民話や神話・童話のシリーズを、端から読んだ覚えがある。
(ちなみに、好きな童話は「かえるの王様」。かえるを壁に投げつけると王子様になるというシュールな展開が最高)

私は「すべての人の心を動かすスイッチはエンターテイメントだ」という仮説を立てていて、なかでも神話はエンターテイメントに必要な要素がすべて詰まっていると言われているので、勉強のために神話学者ジョゼフ・キャンベルの神話論を読んだりした。
(難解な箇所は結局、動画で理解したのだが…)

神話的だったり宗教的な構造の物語は、つい惹かれてしまう。


映画「神と共に」は、「死者が、死後49日間のあいだに、3人の使者とともに7つの裁判を受ける」というストーリーに惹かれた。

宣伝文句に「新感染 ファイナル・エクスプレスを超える大ヒット!」とあったので、新感染を見ていた私としては「あれを超えるのか」という興味もあった。
↓ 新感染は徹底したゾンビ映画


「神と共に」第一章は、生前良いことをした人がもらえる「貴人」という栄誉あるレベルを獲得した主人公が、7度に及ぶ地獄での裁判のたびに生前の罪を暴かれる…という内容。

何がすごいって、エピソードの出し方。小出しにしていくやり方がニクい。

「あ、そんなことがあったんだ!」という引き出しが、7段ある。

先に先に…という展開のミルフィーユの層にハマったら、あとは家族の葛藤や愛という濃厚なクリームにどっぷり浸かってしまう。

韓国映画は、情に訴えかけるのがうまいなあという印象なのだが、この「神と共に」も間違いなく情のスイッチを押しまくる映画だ。

「それをやっちゃあ、ずるいだろ(泣く)」というスイッチがずらりと並んで、クライマックスに近づくにつれバチバチと押されていく。

その盛り上がりに伴って、死者たちの活躍や魅力やアクションが倍増していくので、

ミルフィーユどころかプリンアラモードもついてきた、くらいの感覚になる。


盛りだくさんとはいえ、ストーリーは綺麗にまとまっているので、生前と地獄の記憶が行き来する割には混乱せずに進むのが良い。

泣かせるけれど、モヤモヤ感や悲しさはさほどなく、すがすがしく昇華されていくので鑑賞後はスッキリ。
考えさせられるというよりは、どっぷり楽しめるあたりがエンタメっぽい。

母子の愛情が軸になっているので、観終わったら「お母さん、元気かな…」と、生きているうちに親孝行しよう、という気にはなる。

とはいえ私は、映画から人生の学びを得るというよりも
自分がもし制作者側だったら「7つの罪を暴く裁判にかけられる」という題材をどう使うかなあという想像でワクワクしてしまった。

そういう意味では、想像力を刺激する映画と言えるかもしれない。

ちなみに第二章は、第一章では明かされなかった三人の使者たちの秘密が明らかになるそうなので、それも観に行こうと思う。
(※第一章だけでも完結しているので物足りなさはないです)


<Spark Joy!>

★笑えるライトな部分と、深刻なエピソードのバランスが良い。
あまりヘビー過ぎるとたぶん見ているのが辛くなるが、お茶目さやイケメンが合間に挟まるので、テンションを落とさずに見れる。

★いい人なはずの主人公が実は嘘をついていたり暴力をふるった過去があって…という、善の裏には実は悪がある(逆もあり)という構成が好き。

★韓国の俳優さんって、みんなお肌綺麗だよね…といつも思う。さすが美容の国。

<Please!>

★(この映画に限らず、映画鑑賞時のこととして)エンドクレジットが流れている最中にスマホの電源入れたり、バッグに隠すようにしてスマホをチェックされると、暗闇で光ってめっちゃ気になる。
スマホに届いた新着情報を(電源入れずに)直接脳内に流すテクノロジーとか、発達してほしいなー。

<神と共に>

監督・脚本 キム・ヨンファ
出演 ハ・ジョンウ、チュ・ジフン、キム・ヒャンギ、チャ・テヒョン、イ・ジョンジェ


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