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ロマンあふれる旅へ(紀伊半島一周・前編)
真冬でも耐えられるマットと寝袋
夏真っ盛りのこの季節では寝れるはずもない
7月29日の深夜2時過ぎ
紀伊半島を爆走する
花の窟神社
「日本最古の神社」という看板を見たならば、懐古主義のロマンチストとしては立ち寄らざるを得まい。吸い込まれるように駐車場に入り、鳥居の前へ。思っていたより地味である。
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鳥居を抜けて、門を抜けると、そこには仰ぎ見るほど大きい岩が祭られていた。岩の上部は人の顔のような形をしており、まるで岩の巨人である。社殿はない。岩の巨人が自然そのままに祭られており、太古の自然崇拝の名残が見て取れる。
御祭神はイザナミノミコト。イザナミノミコトがカグツチノミコトという火の神を生むときに火傷を負い、それが原因で亡くなられた。そして、イザナミノミコトが葬られたのがこの神社である、と「日本書紀」に書かれている。知らず知らずの内に、すごい場所に足を踏み入れてしまったようだ。
ここからは私の妄想である。この岩の巨人は土着民族の自然崇拝の対象であり、神道が成立する以前から信仰されていたのでないだろうか。この御神体の下に立っていると、護られているようで不思議と安心するのである。大昔の人々もきっと同じことを感じていたのだろう。そして、神道が徐々に成立するとともに、この土着信仰の神様もイザナミノミコトとして崇められてきたのではないだろうか。こう考えると、とてもロマンティックである。
熊野速玉大社
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朱色が目に鮮やかなこの神社は、熊野三山の一つ熊野速玉大社。なんといっても色が鮮やかである。真夏の青い空に浮き出てくるような社殿の朱色は、まるで錯覚アートを見ているよう。
熊野は八咫烏が有名らしい。というのも、初代天皇である神武天皇の東征の伝説に由来する。和歌山県(熊野国)から奈良県(大和国)へ神武天皇を案内したのが八咫烏であり、神武天皇はそこで朝廷を作り、初代天皇として即位することとなる。この伝説にあやかり、八咫烏はサッカー日本代表のシンボルとして用いられている。
十割蕎麦 森本家
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和歌山に来たならば、マグロを食べないわけにはいかない。古風な店構えの店内は、やはり畳にちゃぶ台。掛け軸に書かれた文字は「七転び八起き」。お店の雰囲気だけでもう美味しい。
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注文したのは、ざるそばとマグロ丼のセット。ざるそばの美味しさは猛暑の中でこそ真価を発揮するもので、ずるずる、ずるずると一瞬で胃袋へ。そして本命のマグロ丼。これがもう美味しいのなんのって。タレは甘めでトロみがあり濃厚。これではマグロの味を殺してしまうではないかと思うだろうがしかし、不思議とマグロの美味しさを引き立たせている。そしてお米はふっくらしており、これだけで何合でも食べられそう。そしてふっくらお米と、うま味の詰まったマグロの刺身、そして濃厚なタレの三位一体が極上の味をだしているのです。
ああ、生きてきてよかった。
那智の滝・飛竜神社
日本三名瀑の一つである、那智の滝。
この滝も自然崇拝の対象で、飛竜神社の御神体である。轟く瀑声に天を突くほど高いその姿は、まさに飛竜と呼ぶに相応しい迫力がある。ここも土着民族の自然信仰の場所だったかも、と妄想がはかどる。
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この神社もまた神武天皇の東征に所縁のある地であるらしい。神武東征とは、九州にいた神武天皇が日本を収めるために東へ向かうお話である。最終的に奈良県に着いて、そこで朝廷を開き、初代天皇に即位する。その際の移動手段は船であり、各地の港を経由しながら、瀬戸内海を通って和歌山県へたどり着く。そして、深い緑の山を抜けて、この那智の滝を発見した。神武天皇はこの滝との出会いに運命を感じたに違いない。なにしろ、この滝に大国主神を見て、かの神様を祭るこの神社を立てたのだから。
だが、たしかに拝みたくなるような威容をした滝であった。
熊野那智大社
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那智の滝から歩くこと20分程の場所に、熊野三山の一つ熊野那智大社がある。神社へはひたすら上り坂、社殿が山の中腹にあるのだ。炎天下の中この上り坂はかなりキツい。途中の茶屋でかき氷を食べて、一休み。汗だくで食べるかき氷がいっちばんうまいのよ。
社殿からの景色はまさに絶景。
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橋杭岩
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紀伊半島南端に位置するこの場所が、今日の終着点。
このゴジラの背中みたいな岩は橋杭岩。波の浸食によって柔らかい部分が削れ、かたい部分のみが残った岩である。海水浴を楽しんでいる人もおり、海水浴の穴場かもしれない。岩の間から朝日が昇り、キレイだというのでここで車中泊。ここは道の駅になっており、貧乏な旅人にはありがたい。
旅の終わりに
温泉の帰り道、スポドリをがぶ飲みしようと上を見上げると、いい感じの雲が。
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夏の夜は熱く、車の窓は全開。
吹き抜ける風に、波の音。
夜空に漂う、お月様。
波間に映る、ざらめ月。
寝酒に地酒をぐびぐびと。
地酒の名前は憶えていない。
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