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久しぶりにワクワクする本に出会えた〜武器になる哲学〜

こんにちは。りんです。
今回はベストセラー、山口周さんの「武器になる哲学」を読了し、久しぶりにワクワクする本に出会えたので感想とこの本で読書会をやるのでご案内です!


きっかけ


私は学ぶのが大好きなので「学びの場作り」を学ぼうと最近、ワークショップデザインやファシリテーションを少し勉強し始めたのですが、ワークショップを効果的にするには「良い問い」が必要なことがわかり、それって哲学の世界そのものだなって気づいたのがきっかけです。

哲学が俄然面白くなった

哲学は高校生とか大学生の時に何回かチャレンジして挫折したままになっており・・・(岩波文庫あたりよく読んでいましたね...遠い目)それが今回、初めて哲学を「面白い!」って思いました。

それはやはり、この本独自の編集のコンセプトと山口周さんの歴代の大物哲学者にばっさり鋭く切り込みを入れているからでしょう。

特に現代の私たちにはあまりピンとこない点ははっきりそう指摘し当時の時代背景など鑑みると意味があった、と言った解説もわかりやすく、読み手としては「理解出来ない自分がいけないのではないか」といった不安を持たずに読み進められます。

そして文中「修羅場を切り開くのに非常に有効だったものを厳選した」とありますが、哲学が日常のどのシーンで生きるのか、具体的に使い方がイメージ出来るのが画期的だなと。

自分とは遠い世界にあると思っていた哲学の世界がこの本によって身近になり、接続しやすくなることで、哲学が持っている本来の面白さに気づき、新しい世界が目の前に広がる感覚。

それがこの本を読みながら「続きを早く読みたい!」と思えた原因なのかもしれません。

知的発見の連続

この本では50のキーコンセプトが紹介されています。思わずハッとする知的発見が本当に多かったのでいくつかご紹介します。(番号は書籍中で振られている番号)

14.エドワード・デシ「予告された報酬」
・「予告された報酬」は人間の創造的問題解決能力を毀損する
→予告された報酬により効率性を重視し、合理性を追求しがちになり、内発的動機を低下させる。

と、書くとなんだか難しいですが、山口さんの言葉を借りれば、人が創造性を発揮するのに必要なのはアメでもムチでもなく挑戦が許される風土であり、その中で人が挑戦する理由は「ただ自分がやりたいから」。
イノベーションと叫ばれ続けている昨今、日本の教育や企業の人事制度について深く考えさせられます。

43.フェルディナンド・ソシュール「シニフィアンとシニフィエ」
・言葉の豊かさは思考の豊かさに直結する
→つまり人間は自分が依拠している言語でしか世界を捉えられない。そして言葉の限界を知った上でシニフィエ(概念)を表現しなければならない。

ソシュールは大学時代に学んだはずなのにやっと今実感を持って理解できたのが感慨深い(笑)
私は韓国語をネイティブ並みになることを目標に勉強していた時期があり、約9年間で3500時間以上の時間を費やしました。外国語はみんなそうだと思うのですが、翻訳しても1:1でピッタリ当てはまる言葉がないことが多く、結局はその国の文化や風習を理解したうえでコンテクストと伝えたい意図を考慮し、言葉を選択することが重要になります。だから上級に行けば行くほど、思考や感情を母国語を介さず直接外国語で表現するようになります。日本語でピッタリした表現ができず遠回りになるだけからです。私もピークの時は韓国語用の思考回路が別に出来ていました。
こういう実体験があったので非常に自分にすっと入ってきたキーコンセプトでした。

34.セルジュ・モスコヴィッチ「格差」
・差別や格差は同質性が高いから生まれる
→本音では誰も公平性など望んでいない、という仮説、公平・公正の対極にある差別は異質性によって生まれるのではなく同質性によって生まれる。

一瞬頭の中が「?」となりましたが読み進めると納得の解答が得られます。この本では幾度となく「?」が「!」になる体験をしましたが、一見正反対のような気もする考えがそうかもしれないに変わる体験。そんな発見がこのキーコンセプトにもありました。詳細はぜひ本をご覧くださいませ(^^)

私が印象的だったキーコンセプト

特に私が印象に残っているキーコンセプトは「自由からの逃走」と「悪の陳腐さ」です。どちらも人間にとっての「自由」について考えさせられるキーコンセプトです。

これを選んだ理由は私の人生の重要なテーマの一つが「自由」だから。そしてコロナウィルスの影響で「移動の自由」に事実上制限がかかるようになり、今まで当たり前に思って存在すら意識していなかった「自由」について改めて見つめ直すことが多くなったという面もあります。

フロムや山口さんも指摘しているように自由には責任が伴い、責任を担うということは孤独を伴います。よく「リーダーの孤独」と言われますが、最終責任を持って判断するというのは孤独で重い作業です。

それがわかった上でも私は自由が尊いと思うし、何ものにもかえがたいと考えます。

何も考えず他者に従い流されるのは楽です。失敗してもその人のせいに出来ますし、そもそも自分で考え判断し選択することは脳にとって負担ですし疲れます。選択肢が多ければ多いほど迷いますしね。

それでも私はフロムのいう「自分自身で考え、感じ、話すこと」そして「自分自身であることに勇気と強さを持ち自我を肯定すること」を実践し、自由を選びたい。

なぜ私が「自由」にこだわるのか

多分漫画「ベルサイユのばら」の主人公オスカルの生き方に憧れ、気がついたらロールモデルにしていたことに起因してます。(外見じゃないですよ(笑)そしてリアルタイム世代ではないですよ(笑))

オスカルはフランス革命当時の貴族の女性の典型的な生き方を捨て、男装の麗人と呼ばれながら軍人として生きた女性です。敷かれたレールの上を生きれば危険な戦場に赴くこともなかったのに、むしろ普通だったら知り得なかった人間の業の中で生きて行く人生を与えてくれた両親に感謝し(このシーンは本当に感動的)、自分の生き方に誇りを持っていました。

10代半ばで嫁がされ、人形のように夜な夜な着飾ってパーティーを開く生活ではなく、軍人として生きることで自分で考え判断する必要に迫られ、自分の意思で生き、当然その過程で悩み苦しみもがくわけですが、そういう人類が延々と繰り返してきた人の営みを尊び、自分もその一員になれたことに感謝し誇りを持って生きた、その凛とした強さが本当に好きでした。

漫画にハマってフランス革命には特別な思いがあったりするのも「自由」に思い入れがある理由かもしれません。現実のフランス革命はまた色々な側面があったとは思いますので、中二病かもしれませんが(笑)

大分話がそれた気もしますが、自己との対話を促すのも哲学の役割かと思いますので、これもこの本の効果かもしれません。

そしてこれから

私はこの本を足がかりに他の哲学や心理学の本をどんどん読んでみようと思います。フロムの「自由への逃走」はすでに買ってあるのであとは読むだけです!(それを積読という...)

「武器になる哲学」は哲学の世界を広げるとともにコンサルの現場や勉強会なんかを実施する時のコンテンツの参考になりそうです。私も読書会や勉強会を実施する際に意識してみようと思います。

ちなみにビジネスの現場で生かすのに、もう一冊この本もオススメです。

「武器になる哲学」は哲学への苦手意識を払拭し、示唆を多く与えてくれます。
実際に自分のアタマをトレーニングするにはこちらの本がこれ以上ない!というくらい親切に哲学的アプローチを身につけらます。

読書会ご案内

この本を読んで久々に知的好奇心をとても刺激され、また哲学にも興味を再度持てるようになったので、読書会を開く予定です。哲学ってなんだか難しいイメージを持っている方が多いと思うのですが(私もそうでした)本当はとても実践的で人生のいろんなシーンで役に立つことをお伝えできたらと思っています。

そのためにこの本を読むきっかけをくれた私の尊敬する先生にファシリテーションを依頼しています。ご興味ある方はぜひご一緒にどうぞ(^^) 

最後に新しい扉を開く鍵を与えてくれた先生に感謝の気持ちを送りたいと思います。「ありがとう」

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