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福祉にマニュアルなんて必要ない?
今回はエピソード回になってしまいますが、福祉のよくない習慣を変えた取り組みをご紹介しますので、お付き合いいただけたら、幸いです。
▼伝統芸と職人芸と私
僕が入社した20年前は教育プログラムなどなく、「気合」「元気」「やる気」みたいなノリで指導を受け、見て学ぶことが推奨される時代でした。
「動け」「先輩の仕事の先回りをしろ」「先輩が何を考えているのかを考えろ」「仕事は奪え」そんな言葉たちに囲まれながら、仕事を覚えてきました。
福祉職は、伝統芸や職人芸が指導の型(先輩の見様見真似)とネガティブに表現されることがあります。そもそも福祉は、無形性、即時性、不可逆性の性質があるヒューマンサービス。
特に、困難事例や問題行動がある方の生き方を支えるためのゴリゴリの指南書があるわけではないため、「見様見真似の特別スキルでしか通用しない」とそう捉えられるのも無理はありません。
加えて障害をもつ人たちの支援は、教科書通りにいきません。肌感覚や経験値から導き出されるものも確かにあります。
しかし、この手法(スキル)だけを伝搬しようとすることが、「見様見真似」として捉えられ、中身のない伝統芸や職人芸と揶揄される背景なのかもしれません。
では、伝統芸や職人芸は、中身がないのでしょうか。
▼「業務の標準化」を立ち上げる
そもそも
伝統芸は、古く言い伝えがある様式に則って表現する芸であったり、職人芸は、専門的な修練を積んだ技法であったりと、つまりベースには、「ロジカルに整理されたスタンダード」が存在するのです。
となると、福祉業界でもできること、それは、
【業務の標準化】と僕は考えました。
ここでいう【業務の標準化】とは、「誰もが共通して取り組んでいる支援や介護について、この手順を揃える」としました。
うちの事業所では、「平日朝食」「平日夕食」「土日昼」など、「決まった勤務の人が決まった数いる場面」での支援、介護の手順が、バラバラでした。
例えば
食堂⇄居室の往復しながらの誘導、出勤のペアによって変わる食事介助の順番、経験年数によって変わるひとテーブルで食事介助をする利用者の数。
これを一斉に見直し、ムリ、ムダ、ムラを減らすことを行いました。
あくまでも、手順(順序)を揃えるのみなので、1人ひとりの利用者の食事介助のやり方までガチガチにマニュアル化することはしませんでした。
そして作成にあたり、徹底的に気にしたことは、「テキパキするスタッフのフットワークや介助方法に合わせないこと」でした。
繰り返しますが、ムリ、ムダ、ムラを減らすことであり、超効率化ではありません。
・食堂の開錠は7:25から
・配膳の準備は、早出2名と夜勤2名。
・あとの人はフロア。
・食堂対応スタッフ、フロア対応スタッフの間で情報、利用者の受け渡しをすること など
取り決めた手順は、時系列でフローで組み立てて、徹底に順守してもらいました。
加えて見直しは3ヶ月ごと。この間、意見の集約も行いました。ここでも心がけたこと。意見を聞く時には、解釈と事実を分けてまとめていきました。
「暑い」「しんどい」
→解釈(人によって違う)
「35度」「30分に5人対応」
→事実(誰が見ても変わらない)
3年程、このシステムを僕1人で運用していたのですが、軌道に乗ったところで、現場のチームに譲渡しました。
立ち上げた頃と随分、手順が様変わりしましたが、今では担当のチームが「話し合い」をしながら、運用にあたってくれています。
「こうやったら、オモロいこと、出来そうやなぁ」と感じもらえるような従事者を増やしていきたい。そんな理由でnoteを綴っています。
これをご覧になっている介護事業所、障害者施設の皆様のお役に立ていれば幸いです。
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