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rina
2021年9月27日 20:36
光が降り、そして差す。木漏れ日は温もりを湛え、精いっぱいに降り注ぐ。そして垣間見る。姿が映し出される。空へと登る一筋の柱。その柱の内側に、2人。暗い森の中で、異質に光る男女の2人。女が男の頭を抱えながら、降り注ぐ光を遡ろうと、空に首を伸ばす。顔は照らされていて見えない。聞こえるのは、歌。慈しみに満ちたその声は、少しずつ光を淡くさせる。まるで、持って行くなと泣くように、そう聞こえ
2021年9月18日 02:11
少女は思い出していた。周りに散りばめられた割れたガラスの瓶は、少女を動かなくさせていた。頭に浮かぶのは故郷の花畑。黄色のスイートピーや橙色のチューリップ、水色のアジサイ、赤色の彼岸花。少女の母親は、花が好きな女だった。少女は、母親が花を好きだと信じていた。季節が変わると、母親は何処からか花を持ってきていた。買ってきたのか、摘んできたのか、少女は今でも知らない。ただ、母親の持つ花に生気が無か