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どこにでもいる人間の半生10

しばらくして、このままではいけないと市の相談窓口へ電話をした。

自らダイヤルをし、話をするにはとても勇気が必要で、しかし現状を打破しなければ、どうにかならないか、と藁にもすがる思いで電話をした。

窓口の方は優しくて、ゆっくりとしか話せない私の声に耳を傾けてくれた。

実は、過去、旦那と知り合って少しした頃だろうか。
幼馴染と仲違いをした。

私はその日、次男の1歳の誕生日を家族で祝う為に準備をしていた。

すると、今日友人A、友人B、幼馴染で宅飲みをするんだけれど、りんはやはり来れないか?と連絡があった。

事前に誘われてはいたが、やはり我が子の誕生日だからと断った。

友人A、友人Bとはそれぞれ仲が良く、幼馴染に至っては3歳からいつも一緒で、彼女は私にとって特に大きな存在である人物の一人であった。

後日、友人Aからの何気ない会話の中で、耳を疑うような内容を聞いた。

幼馴染が、私のようにはなりたくない、と言っていた。

それはどう言う意味合いかと深く聞いてみると、女として、私のようにはなりたくない、と言う内容であった。

私は幼馴染の事を同性として張り合って見たり、意識した事がなかった。

一人の人として見ていた。

それは私だけであったのか。

無性に悲しくなった、ショックだった。

子どもの頃には親に、子どもが色々言うな!などと言われ育ち、社会に出れば、女にはわからない!などと言われ、私はそう言った経験からか、子どもだから、大人だから、女だから、男だから、と言うのが大嫌いだった。

特に男性には攻撃的になりがちであった。
それは虚勢である。
私は男性の前で、男のお前には負けない、と言う態度をよく取ってしまう。

これには、養父が大きく関わっているのだと思う。

そういった私の過去の経験からくるネガティブな部分までも、幼馴染の彼女は理解してくれていた、と思っていたからこそ、ショックが大きかった。

彼女もまた、人を人としてではなく、見てくれで私のことを、ああだこうだと思っていたのか、と。

私はそこから静かに彼女たちからフェードアウトした。

それから1年後か、2年後か、私は周囲の目が気になって気になって仕方がなくなっていった。

見兼ねた旦那が精神科へ連れて行ってくれたのだが、そこの精神科では、ろくに話すら聞いて貰えず、まるで私は頭がおかしい、と言わんばかりに統合失調症ではないかと大量の薬を処方された。

私はショックを受けたと同時に頭に来た。

バカにされたと感じたのだ。

処方された薬を全てゴミ箱へ捨てて、なにくそ!と思い踏ん張った。

その経験がトラウマであり、精神科を受診すると言う選択は私の中にはなかったのである。

しかし、電話口の方は親身になって下さった。

精神科の先生がお話を聞いてくれる日があります、私も同席しますし、お一人が不安でしたら旦那様もご一緒で構いませんのでお見えになりませんか?

私は迷いながらも現状を打破するヒントが欲しく、相談させて頂く事にし、日取りを決めた。

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