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📖読書記録📖『上流階級 富久丸百貨店外商部 其の二』

読書紹介記事を書く青沼りんです📗

今回は、百貨店で富裕層を相手に神戸の街を走り回る女性外商部員の奮闘物語の続編をご紹介したいと思います。


●今回ご紹介する本『上流階級 富久丸百貨店外商部 其の二』

高殿 円
発行所 株式会社 小学館
2019年8月11日 初版第1刷発行



専門学校卒の叩き上げ、富久丸百貨店で女性初の外商員となった鮫島静緒は、個性豊かなセレブを相手に今日も神戸の街を駆け回る。

新顧客の開拓、さらに外商顧客向けの新企画を立てたりと多忙な毎日を送るが、バツイチでもある彼女に老後という不穏な足音が密かに忍び寄る。

一方で、静緒と高級マンションで期間限定の共同生活を送る外商部の後輩である桝家修平。

彼の実家は知る人ぞ知る由緒ある家柄なのだが、とあるお家騒動が勃発したことでなぜか静緒も巻き込まれてしまう。


本作は、自分とは程遠い優雅な生活を送る富裕層を営業対象とした外商部に配属された女性初の外商員鮫島静緒のお仕事小説第二弾です。

前作よりセレブとの営業に少しずつ慣れてきた静緒でしたが、今回は顧客との距離感の難しさを痛感するようになります。

それが講じて良いこともあればトラブルも勃発してしまうのですが、静緒の中で外商員として静緒にしかできない商品の売り方を編み出していきます。


一方で、期間限定の桝家との共同生活は男女関係もない快適な生活を送るふたりでしたが、それぞれに悩みを抱えていました。

バツイチの静緒。ゲイの桝家。

見えない社会の差別を感じ取る二人の前に、突如現れたのが桝家修平の母親である四季子でした。

桝家自身がゲイである事を知っている彼女はなんと静緒に息子の桝家との再婚を持ちかけます。

さらにトップシークレットだったのにも関わらず、共同生活の事が社内の噂になってしまいました。

焦る静緒の前に、静緒の同僚で桝家の元恋人の堂上が現れます。

彼の家も代々続く家柄で桝家のお家騒動の件も熟知していました。

バツイチである彼からも、たとえ愛のない結婚だとしてもそれもまたアリと桝家との再婚を勧められます。

お互いが割り切れるなら、身を固める事で社会的からの見えない差別からも解放される。

男女関係一切なく平穏に桝家との共同生活を過ごしていた静緒にとって悪い話ではありませんでした。

実際、これからの老後を考えるとひとりでいる事に社会的に不便をさらに感じるだろうと静緒は案じていました。

庶民でもセレブでも「寂しさ」に打ち勝つ事はできない。


悩む静緒の前に堂上は言います。

「花が部屋にある生活こそが豊かですばらしいという価値観はメジャーだけど、花粉症のせいで花が好きなのに飾れない人間もいる。そのどちらの価値観も認められればみんなもっと楽なんですけどね。まあ考えてみてください。孤独死かゲイか」(本文引用P303)

最後の言葉はかなりインパクトがありますね。


それを聞いた静緒も、桝家の立場になって考えるとこういう言葉になりました。

「孤独死か、ババアだ」(本文引用P303)

この言葉もかなり痛烈です。


期間限定の共同生活もあとわずか。

静緒と桝家はどのような結論を下すのでしょうか。

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