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常に大人の目がある中で過ごす子どもたち。行き過ぎた見守りは監視となり、子どもの魅力を見えなくするかもしれない。

親のお膳立ての中で過ごす子どもたち

今日はこちらの @knockout_ さんのツイートを読んで、日頃思っていたことを思い出したので、書きました。


※そして、最後まで記事を書いてから、下書き一覧を眺めていたら、以前に三島菜央さんのnoteを読んで、同様のことを書こうとしていたことを思い出しました。そちらの記事も最後にリンクしています。

私が働いている園でも、父親のお迎えや行事参加率は年々増え続けていて、父親の家庭進出?が進んでいることを私も日々実感しています。このように今は、母親だけでなく父親も子どもの教育に熱心な家庭も多い一方で、子どもの数は減っているので、数少ない子どもの上に、父母のみならず、さらに両家の祖父母といった多くの大人の視線が注がれています

日本にも子どもだけの世界があった40年前


私が子どもの頃は、今とは社会が違っていて、子どもだけでかなり自由に遊びまわっていました。大人の目の届かないところで、日が暮れるまで毎日たくさん泥だらけになって遊んだものです。今思えば危険と隣り合わせだったかもしれませんが、「大人によるお膳立て」がないからこそ生まれるものがあって、毎日冒険しているような気分だったし、多少の失敗をしてそこから学んだことも多かったように思います。

今は時代も変わって社会環境も変わり、それが良いとか悪いではなく、子どもたちは、大人の目のある場所で過ごす時間が長くなったということだけは確かだと思います。

子どもは、この世に生まれて数か月の間に保育園に長時間行き、そのまま学童保育+習い事、塾、受験へ…というルートをたどる家庭の方が多数派になっています。両親・祖父母、保育園幼稚園の先生、小学校の先生、学童の先生、習い事の先生…常に子どもの傍らには大人がいる状態が続きます。


大人にお膳立てされた失敗できない窮屈な日常の中で

ずっと大人に見られていて窮屈じゃないかな
何かに夢中になっていると、すぐに大人が飛んできて、鬱陶しいんじゃないかな
失敗することが許されないような雰囲気での体験は、子どもが望んでいることなんだろうか

そんなことを考えながらも、私もやっぱり職業上「それは危ないからやめてほしいな」と保育園の子どもたちに言ってしまうことがたくさんあります。

大人がちょっと危ないんじゃない?と思うようなことこそ、子どもがやってみたいことであろうことは、子どもの目を見ていたら感じるし、そういう経験が子供を成長させることもわかっているので、本当はそれをやる前に禁止するような言葉がけはしたくないのです。
でも、今の世の中は、子どもが自由に怪我をすることも許されない息苦しさがあります。とにかく絶対に怪我だけはダメ!現実的に、今、多くの園が一番気にかけている部分だと思います。

もちろん私も、子どもが怪我してもいいなんて思っている訳はありません。ただ、子どもたちが園庭で遊ぶ時なども、それやめて!これは危ないから乗っちゃダメ!などと転ばぬ先の杖を差し出すことに躍起になり、あらゆる行動を禁止し、あまりにもピリピリとした空気になっているとしたら、それは、過ぎたるは猶及ばざるが如しなのでは?と思ってしまいます。


空気のようにひっそり存在する保育士になりたい

だから私は、保育士として働いているときに、いつもそこにいるんだけど、いてもいなくても気にならないくらいの存在感でいたい、空気になってひっそり見守りたいと思っています。透明人間でもいい。子どもが私に気を取られず過ごしてくれたらいいなと思っています。

どこの施設でも、私と頻繁に目が合う子がいます。
これをやったらいけないかな…とか、怒られるかな…と思っているのが伝わってくる視線です。
見てほしくて意識しているのと、何か気まずくて意識しているのとは、子どもの醸し出す雰囲気や表情が違っています。私の考えすぎなだけかもしれませんが、チラチラと大人の視線を意識する子、案外多いのです。


大人の存在が気にならないと子どもは魅力的になる

初めて私に会った時には、子どもたちは皆私のことを観察します。この人はどんな人だろうと。私はなるべくフラットな存在でいることを心がけます。しばらく一緒に過ごして、子どもたちが私のことを「そんなに邪魔じゃない」と判断してくれると、とても面白いことが起きるようになります。介入しないと子どもってどんな子でも面白いことをしだすのです。どんな子にも日々新しい発見があって、なんて魅力的なんだろうと毎日思わされます。

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