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【読書メモ】山口周『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』

Tomoko Nakasaki(中崎 倫子)

概要

山口周『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』を簡単にまとめ、アートとサイエンスの関係について私見を書きました。

本の要旨

この本はビジネスの決定における「美意識」の重要性について説いた本です。従来、ビジネスの意思決定においては論理や分析(サイエンス)が重視されていましたが、不確定な要素が多い現代では美意識(アート)のにも目を向けるべきだと書かれています。私は

・なぜ経営において美意識を鍛える必要があるのか
・アートとサイエンスのバランスはどのような割合か

という観点からこの本について読みました。

なぜ経営において美意識を鍛える必要があるのか

なぜ経営において認識基準が「美意識」に置かれるべきなのでしょうか。山口さんは、論理や分析による意思決定では、現代においては以下のような欠点が生じてしまっている、と指摘しています。

・正解がコモディティ化した(= 論理や分析だけでは差別化できなくなった)
・ビジネス環境がますます複雑で動的になったため、単純化やパターン化をして問題解決する論理や分析では対応できなくなった

そのため、従来重んじられてきた論理や分析の代わりに美意識が必要となってきました。

また一方で、市場(顧客)のニーズも変わり、承認欲求を満たしたいという、自己実現欲求の市場が形成されるようになりました。ビジネスがファッション化しており、そのような文脈においては、顧客の感性を刺激しストーリーを作ることが、オリジナリティにつながってきます。

そのような文脈から、いままで論理や分析(サイエンス)偏重だったビジネスの意思決定に、もう少し美意識(アート)の要素を加えるべきだというのが、この本の主張です。

アートとサイエンスのバランスはどのような割合か

とはいえ、なんでも直感で判断すればいいとは山口さんは言っていません。論理的に不合理だと分かっているものをわざわざ直感で選ぶ必要がないと言っています。

では、アートとサイエンスはどのようにバランスを取ればいいのでしょうか。論理や理性では白黒がつかない問題があるときに、直感を頼りにするのだとこの本には書かれています。アートとサイエンスの割合というよりは、その状況に応じて使い分けることに主眼を置くべきなのだとということに気づきました。

山口さんは、問題解決の観点からアートとサイエンスのバランスの書きましたが、私はそれをうけて、歴史的な観点からアートとサイエンスのバランスについて考えました。

波頭亮『経営戦略論入門』で経営戦略の変遷をざっとしてみると、その理論やフレームワークがその時代のニーズニーズによって生み出されたことがわかります。

アートが重視されるかサイエンスが重視されるかは、時代の文脈に負うところも大きいのではないでしょうか。つまり、第二次世界大戦直後の世界のように、物資がないときは、全体に物資を行き渡らせるよう生産が重視されたため、サイエンスが力を持ち、物資が行き渡り豊かになった時代には、個人の個別的な感性が重視され、アートが力を持つのではないかと考えました。

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Tomoko Nakasaki(中崎 倫子)

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Tomoko Nakasaki(中崎 倫子)
【プロフィール】 大阪大学言語文化研究科博士前期課程修了(修士)/読書会ファシリテーター / 図書館司書(レファレンス担当)/flier 協力ライター(本の要約ライター)/Amazonアソシエイト参加中 / マインドマップ・インストラクター養成講座修了