見出し画像

【001】ワーキングマザーを卒業して振り返る:これからの女性のキャリア

先日、LiBのコーポレートアイデンティティを、女性のキャリア支援の会社から、ワークシフト支援会社へと刷新するリリースを発表しました。

私たちが定義する「ワークシフト」とは、柔軟に働くことができる環境を企業が用意し、個人が柔軟な働き方を選択することによって、パフォーマンスを最大化する=企業成長を加速することです。私たちは、そんな企業と個人のポジティブループを実現したいと思っています。

一方で、7年間取り組んできた女性のキャリア支援をやめたわけではありません。ワークシフトの加速=「働き方の柔軟性の向上」が女性のキャリア支援に最も効果的だと確信したので、そこにフォーカスします

夢は、ニースのビーチで冷えたロゼワインを飲みながら仕事をすることなのですが、ワークシフトのおかげで前倒しできそうです。

そして昨年、息子が社会人になって、ワーキングマザーを卒業しました。支えてくれた上司や同僚への感謝をこめて、次世代の女性に向けたキャリアのアドバイスに代えて伝えたいと思っています。


まず、自己紹介から

私は、子育て中に専業主婦からビジネス復帰したワーキングマザーです。シングルマザーかつベンチャー畑ひとすじ…という、アウトローなキャリアです。

サイバーエージェント、VOYAGE GROUPでは新規事業・アプリの企画運営を担うプロデューサーと、時には人事責任者として通算12年勤務。楽天ではデジタルマーケティング部門の責任者。FiNCではマーケティングやアプリのPM、そして人事担当執行役員…雑食系の経歴です。

現在は、LiBの執行役員として経営チームの一旦を担いつつ、企業が新しい働き方を実現するのを支援する新規事業を立ち上げ中です。

子育てしながらのキャリアで20年以上が経ち、息子は昨年大学を卒業して就職…これでワーキングマザーは卒業です。

プライベートでは、NFTアートを作ったり売買することに夢中の弱冠(笑)51歳です。

自分らしいキャリアを作るための6つのポイント

ここからは、主に子育てをしながら仕事をする女性、そしてその予備軍であるすべての女性に向けて、キャリアの作り方について私の考えをお話します。

王道のキャリアを歩んでいるスーパーウーマンの体験談は、素晴らしいけど参考にならないですよね。なのでここでは私のような「非エリートの人間」でも人並みにキャリアを積み上げることができた事例をお伝えできればうれしいです。

(1)働く背中を子どもに見せる

実は、仕事復帰したばかりの頃は、「子どもを育てること」と「仕事に打ち込むこと」は、トレードオフの対立する要素だと考えていました。仕事に夢中になる自分を、後ろめたいと思い続けていました。

子供が病気をしたとき。小学校の先生から問題行動で呼び出されたとき。学校の成績が下がり続けていたとき…。「自分が仕事をしていて、子どもに目が行き届いていないせいだ」「ひとり親で寂しい思いをさせているせいだ」と。

働く女性の一番の敵は、「自分にかける呪い」だと思います。

でもそんな悲観は必要ないんだなと、仕事をしながら悟りました。子どもは、一番身近な社会人である母親が取り組む「仕事というもの」に自然に興味を持ちます。仕事をする親の背中を通して、仕事観を形成します。親が仕事を楽しんでいれば、仕事に対して夢や希望を持ち、大人になることを心待ちにします。逆に親にとって仕事が「食うために仕方なくやること」ならば、大人になるのが嫌だろうな…。

今は「仕事と子育てはトレードオフではない」と確信しています。子どもの未来のために、仕事に真摯に向き合って、その背中を子どもに見せてあげることができるからです。

リモートワークの導入が進み、背中を見せる機会も増えると思うのですが、これもワークシフトの恩恵の一つですね。

(2)自分の時間割ではたらく

最近は、フレックス制度の導入も進んできたので、自分の時間割で仕事をしている人も増えていると思います。これも、ワークシフトの恩恵ですね。

私が子育て真っ最中の頃は、10時~18時という出勤する時間が決まっていました。リモートも、フレックスもなし。

それでも、自分の時間割で動くことは意識していました。子どもと一緒に過ごす時間を最大化することがテーマだったので、定時で退勤→保育園にお迎えに行って→ご飯を一緒に食べる→10時ごろには布団の中で絵本読んだり話をしたりして→一緒に寝る。朝は5時に起きて→帰宅後に受信したメールの処理や仕事の準備。子どもが起きる頃には仕事も片付いているので、子どもと朝ごはんを食べる。

子どもと一緒の時間を最大化したいので、夜ご飯は手の込んだものであることより、時短を優先しました。たまにはお惣菜も買うし、一緒にホットプレートで焼く焼きそばやBBQや餃子、鍋料理が多め。手抜き料理でも子供と一緒に楽しく食べる時間の方が大事だから。

通勤時間を最小化するために家とオフィスは極近にしていたのですが、今はリモートワークを活用すれば、それを考慮する必要すらないですね。リモートワークは最高です!

長い人生、育児だけでなく介護など、さまざまな事情で生活スタイルを中心にして、働き方の方を変化させる必要性が高まると思います。「自分の時間割で働く」意識が、より一層大事になると思います。

(3)時間でなく、成果で評価してもらう仕事を選ぶ

女性は子どもが生まれると、バックオフィス系の仕事を選択するケースが多いですね。私はあえて逆張りをしてきたので、こんな考え方もある、ということを共有したいと思います。

私が仕事を選ぶ際にこだわっていたのは、費やした「時間」ではなく「成果」で測れる職種を選び続けることでした。

バックオフィス系の職種は一般的に、投資時間に比例して結果が出る仕事が多いです。子育て中はそれを可能なかぎり避けて、定量的に結果が出る仕事…例えば、営業や、事業のPL責任者や、採用目標を持つ人事責任者などを好んで選択してきました。子育て中は投資する時間で勝負ができません(むしろ時間の勝負なんて、しなくていいと思う)。たとえ子どもが発熱で早退したとしても、目標を達成していれば文句を言われません。

子供が生まれたらバックオフィス系の仕事、という先入観は捨ててみてもいいんじゃないですかね、企業も社員も。

(4)年収よりも、市場価値を重視して会社を選ぶ

年収は多い方がいい!でも、投資フェーズにあるスタートアップ企業では、年収が一般的な相場よりも低くなる可能性もあります。

アーリーのスタートアップに転職した時は、震えるほど(涙)年収が下がりました。でも同時に、厳しい環境に鍛えられて、自分の市場価値は上がったと思います。

キャリアが浅いうちは、受け取る年収より、市場価値の方が大事です。仕事の選択で迷ったら、年収だけでなく市場価値を上げることを重視して選択することをおすすめしたいです。

ところで、自分の市場価値を客観的に認識したければ、人材エージェントに相談するのがおすすめです。LiBっていうエージェントがいいらしいです(笑)。

(5)管理職のオファーは断らない

ワーキングマザーになってから、初めて管理職のオファーを受けた時は即答で辞退しました。「子どもがいるので無理です」と答えたら、当時の上司だったVOYAGE GROUPの宇佐美社長に笑い飛ばされました。「子育てには関係ないし、時間の大切さがわかっているから逆に頼りにできる」と。

子育て中は、管理職は無理…と決めつけていたのですが、実際に体験してみてその考えを改めることになりました。管理職になると、コントロールされる側から、コントロールする側になれるからです。責任は重いですが、会議の時間や役割分担を、自分の都合を配慮しながら決められるメリットは大きいです。

他にも社内イベント、会食など、仕切る役割は買って出ていました。なぜなら管理職と同様で、自分が決める側に立てるからです。

管理職に就く自信がないという女性も多いと聞きます。でも、仕事と家庭を両立させるという課題も、仕事において複数タスクを優先順位付けして処理するという課題も、大切なものと大切なもののバランスを取るという点では同じであって、解決方法も一緒ですよね。仕事だってリソース不足、時間不足、予算不足…いろんな制約条件の中で目的を達成するわけで、まったく同じ課題です。

なので子育てをしている人は、すでにマネジメント能力を駆使しているのかも。難易度が高くても、チャレンジを諦めないで欲しいです。

(6)「やりたいこと」は見つからなくても焦らない

「自分がやりたいことが見つからない」という声もよく聞きます。でも、焦らなくてもいいと思います。キャリアの一貫性やビジョンも大事ですが、「セレンディピティ(※)」に乗っかって開けるキャリアもあります。
※素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。

私の場合、新規事業企画がコアのキャリアだったのに、38歳の時に「人事の責任者が退任するので後任を任せたい」と言われました。人事は全くの未経験のまま、150人規模の組織の人事責任者になりました。

その後スマホの黎明期がやってきて、アプリのプロデューサーという未知の職種にアサインされたのが、40歳。アーリーステージのFiNCへはアプリのPMとして入社し、採用加速のためにまたも人事責任者になったのが、45歳…。

そしてLiBで最初に着手した仕事は、エージェント事業のピボットと黒字化です。その後Forbes JAPAN WOMEN AWARDの企画責任者をやる一方で、プロダクト人材採用のための緊急プロジェクトも立ち上げました。こぼれ球にうっかり手を出してしまうのが私の特徴ですが(笑)、それもすべて「セレンディピティ」です。

もし「自分が何屋なのか?」とキャリアの一貫性にこだわっていたら、こぼれ球は拾わないし、こんな風に幅広い役割を経験して、俯瞰視点を身につけることはできませんでした。結果として、自分ができることのタグを増やすことができたので、オンリーワンのキャリアになったと思っています。

個人のパフォーマンスの最大化は、企業成長につながります

さて、ここまで、女性のキャリアの作り方についてお話しました。最後に、企業の経営者の方へ伝えたいことがあります。子育て中のワーキングマザーを卒業して、当事者でなくなったから言えることです。

ワーキングマザーを支援する施策を、いまだに「個人に対する福利厚生」と認識している企業も多いと思います。一人の社員に払う費用だから、その社員個人から得られるであろうリターンの範囲内でコストを最小化しようとする…。お気持ちはわかります。

でも、子どもを育て、社会人として輩出することは、親という個人のミッションであると同時に、少子化の日本においては社会的ミッションのひとつでもあります。企業はその大義を理解して、ルール改善や環境整備に取り組んでくれるといいなと思います。

そして何より、働き方の柔軟性を高めること、つまり時代に即したワークシフトを推進することによって、個人のパフォーマンスが最大化するので、企業成長につながります。単なるコストではなくて、リターンを期待した投資です。

私にとって「女性活躍」は、女性解放運動とか、人権問題とかいう道徳方面のissueではなくて、企業の成長戦略です。女性が働きやすい「ワークシフト」を実現していた方が生産性も上がるし、優秀な人材を引き寄せ、採用力は確実に高まります。

企業が変われば、女性だけでなくすべての人が、ベストパフォーマンスを発揮してポジティブな人生を送れる社会になると期待しています。

これからのこと

これまでの人生、女性であり、シングルマザーであり、専業主婦から仕事に戻ったマイノリティでありというアウトサイダーでしたが、楽しくキャリアを運転することができたので、この経験がすこしでも参考になれば幸いです。ちなみに、サイバーエージェントやVOYAGE GROUPなどの経歴から、キラキラしたキャリアと思われがちですが、私が入社したのは今から20年近く前で、IT業界は怪しいとみられていた頃。ぜんぜんキラキラしていません。たまたま入った業界と会社が成長して社会に認められただけで、私にとってはラッキー過ぎました。

そして今、ワーキングマザーを卒業したら、50代になっていて、今度は女性シニア人材というキャリア市場のマイノリティ(涙)。

LiBのミッションである「1人の可能性を どこまでも活かせる仕事のカタチをつくっていく」これは、どんなマイノリティの人でも活躍できる未来を作るということなので、労働市場の弱者としては、自分のためにも(笑)早くこれを実現しなければと思うこの頃です。

ニースのビーチでロゼワイン飲みながら働くことを夢みながら。

写真=南仏ニースのビーチにステイしていた時の写真です。南仏ではロゼワインがデフォルトで、昼からみなさんたしなんでいます(2019年6月撮影byじぶん)

続編の記事を書いたのでこちらどうぞ。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?