ブックレビュー第3弾:ドリルを売るには穴を売れ
こんにちは。ブックレビュー第3弾は「ドリルを売るには穴を売れ:佐藤 義典(著)」です。
マーケティングの入門書として多くの方がおすすめしているのを目にしますが、マーケティング初学者のわたしが読んでも分かりやすく、マーケティングの世界にグッと引き込まれる面白さでした。
マーケティングって何だろう?
マーケティングとは何か。マーケティングとは、お客様に商品・サービスを選んでもらうまでの過程全般を指します。
かの有名なドラッカーは「マーケティングの究極の目的はセールスを不要にすることである。」と述べています。
つまり「買ってください!」とプッシュするのではなく、お客様側から「買いたい!」「これが欲しかったんだよな〜」と”買いたくなる状態”を作るということです。そしてこのような理想の状態にするには、ニーズに合った商品・サービスを適切なターゲットに向けて発信していく必要があります。
マーケティングとは一言で言えば、「売ることに関する全てのこと」です。
そして、今回はマーケティングの本質である「お客様にとっての価値」という部分を念頭に置いた上で、マーケティングの基礎であり重要な部分をまとめていきます。
①ベネフィット- benefit -
マーケティングでのベネフィットとは「顧客にとっての利益・価値」を意味します。マーケティングの中心概念は”価値のやりとり”であり、「顧客にとっての利益・価値」を売り、その対価として顧客からお金をいただきます。
ベネフィットは大きく分けて2つに分類できます。
一つめは”機能的ベネフィット”です。機能的ベネフィットとは「はやい・便利・うまい・使いやすい」など、その商品・サービスの所有や利用によって得ることのできる物理的な価値のことです。
例)Mac Book - 機能的ベネフィット -
Mac Bookは直感的に使いやすく設計されており、キーボードも軽く押すだけで良いので打ちやすい。
そして、とにかく薄くて軽いため、持ち運びにも適しており、トラックパッドもiPhoneのように自在に指で動かせるのでとても便利。またiPhoneやiPadなどのApple製品との互換性も良い。
二つめは”情緒的ベネフィット”です。情緒的ベネフィットとは「優越感・特別扱い・名誉・思い出・記念」など、そのブランドや商品などによって得ることができる情緒的な価値のことを指します。情緒的ベネフィットは顧客の感情の分だけ無数に存在します。
例)Mac Book - 情緒的ベネフィット -
Apple製品はパソコンの内蔵機器から梱包パッケージまで細部に渡りデザインされていて、開けた瞬間から感動を与えてくれる。
Mac Book本体そのもののデザイン性が高くおしゃれなので、例えば”スターバックスでMac Bookを広げて作業している自分はイケてる”と思わせてくれる情緒的ベネフィットがある。
人の持つ3大欲求をERG理論(クレイトン・アルダファー提唱)といい、これら3つを同時に満たす商品やサービスは顧客から求められます。(=売れる)
人は欲求を満たすために、もの・ことを「買い」ます。ならば「売る」ためにはこのような欲求を満たしてあげれば良いということです。
- ERG理論 -
・自己欲求:もっと成長したい、充実感を得たい、思う通りにしたい…etc.
・社会欲求:名誉欲、良いものを自慢したい、異性にモテたい…etc.
・生存欲求:生きるためのお金が欲しい、美味しいものを食べたい…etc.
②セグメンテーション - segmentation -
マーケティングでは顧客を分けることを「セグメンテーション」、
分けられた顧客のグループを「セグメント」、
このセグメントの人たちに売ろうと決めた顧客を「ターゲット」と言います。
なぜこのように細かく分けていくかと言うと、求める価値や欲求は、人や場面によって異なります。そのためセグメントしなければいけません。
セグメンテーションには、性別・年齢・居住地域などを基準に分ける「人口統計的セグメンテーション」と、心理・行動・ライフスタイルの違いなどを基準に分ける「心理的セグメンテーション」があります。
ターゲットを”絞る”際、基準として覚えておきたいポイントが3つあります。
1)市場が大きい
顧客が少ない市場をセグメントとして選んでもビジネスとして成立しないので、ターゲットとなるセグメントが市場として十分に大きいことはとても重要です。
2)競合の激しさと自社の強み
ターゲット(セグメント)を巡る競争が激しいかどうかも重要なポイントとなります。また、「自社の強みが生きるかどうか」という基準も重要です。
3)価値の必要度の高さ
商品やサービスは、それらが提供する「顧客にとっての価値」を切実に求めている人の方が売りやすい。なので、セグメントをするときは、そのターゲットが本当に求めている価値と商品・サービスが提供している価値がマッチしているかどうかをしっかり見極める必要があります。
③差別化
今日の日本ではモノやサービスは溢れ、一通りの必需品はみんなが持っています。つまりモノやサービスは飽和状態であると言えます。
顧客にとっての選択肢が無数にある現代において「差別化」はとても大事なポイントであり、競合よりも安い・質がいい・競合が持っていないノウハウがあるなど「顧客にとってより高い価値」を提供すれば、顧客に選んでもらえます。
差別化をするときは、”手軽軸”・”商品軸”・”密着軸”の3つの軸を考え、競合との差別化をしていく必要があります。
1)手軽軸
「手軽に早く済ませたい」というベネフィットを求めている顧客を狙った戦略。マクドナルドや吉野家などのファーストフード店なんかが提供しているベネフィットです。
2)商品軸
「とにかく良いもの」や「価格が高くても自分が満足できる商品やサービス」を求めている顧客を狙った戦略。ザ・リッツカールトンやルイ・ヴィトンなどの所謂”高級”という文字がつくブランドなどがこの戦略を使っています。
3)密着軸
顧客に「密着(寄り添う)」することで差別化する戦略。「いつもの店」や「私の定番のアレ」など、早くもないし安くもないけれど、自分のことや自分の好みを知ってくれてる・提供してくれるモノや店を求めている顧客を狙っていて、リピーターが多い。
④4P(フォーピー)
例えば、仕事の息抜きのお供に何か買おうと思ったとき、当たり前ですが”何を買うか”決めます。飴かガムか…ここではチョコレートを買うと決めたとします。
では次に”どこで買うか”を決めます。同じメーカーのチョコレートでもコンビニやスーパー、薬局など様々なところで売られています。
気になっていた新商品のチョコレートを買うことにしたとします。その商品を”どうやって知った”のでしょうか?TVコマーシャルか雑誌?もしくはSNSや店頭のPOPでしょうか?
最後にその新商品のチョコレートを”いくらで買った”でしょうか?顧客である私たちは何かを購入する際、必ず「対価となるお金」を支払いますよね。
このように私たちが普段「買い手」として何かを買うときに当たり前にしていることが4Pです。私たちが「買い手」として何かを買うとき、「売り手」のマーケティングが行われているのです。
・Product(製品・サービス)ー これを通じて顧客に価値がもたらされる
・Promotion(広告・販促)ー 製品・サービスの価値を顧客に伝える
・Place(流通・チャネル)ー 実際に顧客に価値を届ける経路
・Price(価格)ー 集金することで会社に価値の対価がもたらされる
4Pに限らないことですが、マーケティングで重要なのは「一貫性」です。
吉野家の牛丼は、あの価格で駅前であのスピードで提供されるからこそ顧客に求められます。離島にあるホテルの価格が1泊3万円と想像以上に安ければ人々はなかなか泊まりに行こうとせず、逆に30万円と少し高値の値段設定だと泊まりに行きます。
一貫性があれば、4Pは相互に絡み合って、大きな力となるのです。
実際に読んでみて感じたこと
休業期間はまだ続いており、今まで興味があったけど時間や忙しさを理由に勉強できていなかったことや読んでいなかった本を、せっかくなので時間をかけて堪能しよう!そして未来の自分のためにも知識を蓄えよう!と毎日少しずつですが勉強を進めています。
その中でも「マーケティング」にはずっと興味があり、デザイナーとしてやっていく上でも学ぶべき分野だろう!と意気込んで、今回「ドリルを売るには穴を売れ:佐藤 義典(著)」を第1冊目として選びました。
マーケティング初学者の私にとって難しそうなイメージはやはり強く私に理解できるのかな…?とドキドキしながら表紙をめくりましたが、「マーケティングってこんなに奥が深くて、おもしろいの!?」と正直びっくりしてしまいました。
マーケティングの本質がわかりやすく書かれており、尚且つ赤字のイタリアンレストランを立て直すという内容のサブストーリーがあるので脳内でイメージしながらマーケティングへの理解を進めることができました。
想像以上に面白く、すっかりマーケティングの世界に引き込まれてしまい、続けてマーケティング関連の本を購入しちゃいました。(笑)
初学者でも興味がなくてもマーケティングの世界にグッと引き込まれる、そんな一冊です。マーケティング入門書として「ドリルを売るには穴を売れ:佐藤 義典(著)」を第1冊目に選んだ自分を褒め称えたい気持ちでいっぱいです。
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