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環境に負荷の少ない生活をアクセシブルに。英ブリストルで最初のゼロウェイスト・ショップ「Zero Green」

noteに引っ越す前のSHOCK TUCKのブログでもご紹介した、ごみ(=埋立地や焼却炉に送られるもの)を出さない買い物「ゼロウェイスト・ショッピング」。

イギリスを含むヨーロッパ各国で、食品を量り売りしたり、使い捨てやプラスチックの日用品の代替品を販売したりする「ゼロウェイスト・ショップ」が増えています。

そこで今回は、イングランド南西部の都市・ブリストルで第1号となるゼロウェイスト・ショップ「Zero Green」を2018年にオープンしたリディアさんとステイシーさんにお話を伺いました。

ブリストル初のゼロウェイスト・ショップができるまで

Zero Greenを一緒に開業することになった2人が出会ったのは、環境保護のチャリティ団体。環境意識の高い人々が集まる職場で、リディアさんとステイシーさんも身近な環境問題についてよく話していたそうです。

特に自分たちが日常生活で出すごみの量について話すことが減らそうとしていたものの、スーパーの野菜や調味料はプラスチック包装されていたり、使い捨て容器に入っていたりするのでゴミは避けられません。特にステイシーさんは大手スーパーに長年勤めていた経験もあり、従来のスーパーでの買い物によって出るゴミにはうんざりしていました。

パッケージフリーで買い物できるゼロウェイスト・ショップはロンドンなどの都市には増えてきていたものの、彼女たちの住む地域にはまだありませんでした。
自分たち以外にも、ゴミを出さずに買い物できる場所を求めている人はいるんじゃない?」それなら理想のお店を作ってしまおう!と、マーケットへの出店などを経て2018年3月にZero Greenの店舗をオープンしました。

お客さんも一緒になって作り上げるお店

Zero Greenが大切にしているのは、「誰もが利用できるお店であること」と「人とのつながり」。

オーガニックの食品を多く扱う量り売りのお店と聞くと「高そう」というイメージを抱く人も多いようですが、実は個包装に必要なコストがかからない分、同じ食材をスーパーで買うよりも安いことがほとんど。

Zero Greenでは5ポンド(約680円)以上の支払いにクレジットカードが利用できるのですが、欲しいものを必要な分だけ自分の容器に入れてレジに持っていってもなかなか5ポンドに達さずに驚く人も少なくないそうです。

最近は環境や健康、社会問題に配慮したオーガニックやフェアトレードの商品も増えてきていますが、そのような商品を選びたくても価格が高くてかんたんに手が届かない人もいるのではないでしょうか。Zero Greenはパッケージフリーにすることで無駄なゴミだけでなくコストも減らすことができるので、より多くの人が環境に負荷が少ないエシカルな消費を選ぶことができます。

また、Zero Greenは大人だけでなく子どもたちも楽しめるお店だといいます。
親に連れられてスーパーに行ったら買い物カートに乗せられて退屈だけど、Zero Greenだとリディアさんやステイシーさんとおしゃべりしたり、店内にずらりと並ぶ商品を興味津々に眺めたり。中にはお母さんとお店に来るたびに自分の瓶を持ってきて、おやつにドライフルーツを買ってもらう子もいて、その子はZero Greenのことを「ドライフルーツ屋さん」と呼んで親しんでくれているんだとか。

もうひとつ、従来のスーパーの買い物と違うポイントは「消費者がdecision maker(意思決定者)になれる」ということ。

大きなスーパーだと商品の品揃え・パッケージ・内容量に対する消費者の決定権は限られていますが、Zero Greenでは消費者の意見をできるだけ取り入れるようにしています。

事前にヒアリングを行って人々が求める商品や消費方法についてリサーチし、去年お店をオープンした時には「揃えるべき商品は全部揃えた!」と思っていたそうですが、お客さんと話すうちに他のニーズに気付き、自分たちでも吟味した上で商品の幅を増やしてきたんだとか。

今お店に並んでいる商品の40%は、去年のオープン当初には取り扱っていなかったものだそうで、お客さんと一緒にお店を作り上げているのを感じますね。

ゼロウェイスト・ショップを始めるには?

インタビューの最後に「これからゼロウェイスト・ショップを始めたいと思っている人に、何かアドバイスはある?」と聞いてみました。

するとステイシーさんから、まず一言「Do it!(始めちゃいな!)」と。

Zero Greenの2人はまず商品のリサーチやターゲット層にヒアリングをして、試験的にマーケットに出店したり、ポップアップ・ショップを開いたりと、段階的に準備を進めたそう。

量り売り店での客単価はあまり高くないのにもかかわらず、Zero Greenの経営状態は右肩上がり。「ブリストルで最初」だったことも大きなアドバンテージで、周りに他のゼロウェイスト・ショップが無かった頃はブリストル以外の地域からもお客さんが来ていたそう。それだけ大きな需要があったということですね。

日本国内にも量り売りやパッケージフリーで食品を買えるお店はありますが、価格や所在地の関係で「誰でも利用しやすい」消費の選択肢だとはまだ言えません。
また、環境問題に対する意識や、オルタナティブな消費がありうるという認識も、もっと高めていく必要があるように感じます。

文化や環境の違いを考慮したうえで、日本の社会ではどんなことができるでしょう?まずは、普段の生活についてRe-thinkしてみるところから始めてみるのもいいかもしれません。

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