黙示の日、来たり。
経年劣化だと認識してしまえばいいのだろうか。ここ数年、情熱がくたびれていくような感覚がある。そして、それを受け入れている自分がいる。
変わっていくことを受け入れなければどうしようもないし、そもそも抗うことでもないようにすら思えてくる。単なる意気阻喪であることを、泰然自若の精神だと言い換えることで、今の自分にとって耳障りが良いものにしている。そんなこの頃。
そんな中、1年と10ヶ月ぶりに推しの単独ライブが行われるというので、すぐに参加することを決めた。大げさかもしれないが、行動に移せなければ、もう二度と自分からオタクだのファンだのと名乗れないような気がしているからだ。
彼女が歌う姿を見て、今の私にはどう響くのだろうか。そして今の私は、どのような立ち位置から推しというコンテンツを享受しているのだろうか。
――――オタクとは何か。
その謎を解明すべく、私と友人の計4名は大阪の湾岸へと向かった……。
↓↓↓ (特に見なくても問題ない)1年と10ヶ月くらい前のお話 ↓↓↓
↓↓↓ (さらに見なくても問題ない)前に大阪行った時のお話 ↓↓↓
新しくフォローして頂いたり、見てくれている友人も増えたりしているので、以前に書いたものを度々載せ直してみているのだが、その当時の自分のテンション感などがひどくイタいように感じられるときがある。
ぶっちゃけ読み返して消したい衝動に駆られるのをグッと我慢している。ここまでマジ余談。
さて、仰々しく書き出してみたが其の実は久々のライブ、そしてしれっと当選している翌日の特典お渡し会、単なる1泊2日の大阪旅行の話。旅日記というか、報告というか、記録というか、遠くに出掛ける話は毎度収まりが悪く、ダラダラと長文を書きます。どうにかしたいと思うのだけれど、とりあえず今回もそんな感じで。(直す気無し)
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既視感。今回も小谷SAからのスタート。そして前回の大阪行きで紹介したケバブサンド。今回はミックスケバブを注文し、朝のひと時を爽やかなお肉達と共に過ごした。朝ケバブは東へ向かう旅の味がする。(個人の感想です)
1日目の朝から幸先の良さが伺える。ケバブ食べただけなのにね。
ケバブから東へ3時間。お昼は龍野西SAで牛すき焼き定食を食べた。兵庫県産黒毛和牛という漢字の羅列に抗えなかった。仰々しく用意されたコンロと綺麗な模様の肉。たぶん映えです。知らんけど。
ちなみにここまで友人としょうもない話をしながらのドライブなので、特筆すべき話は無い。
本当に無い。そもそも何喋ったか覚えてない。
割下の匂いが鼻をくすぐる。いい感じに煮えた牛肉の香りと相まって、空気が幸せを纏っていく。言わずもがなすき焼きは美味いものだが、美味い割下にに美味い牛肉、掛け算で算出される味わいは思わず笑ってしまうほどだった。おかわり肉と〆のうどんまで付いているという、ホスピタリティに長けた素敵定食、是非ともご賞味いただきたい。
そしてこの後も特筆すべき話が無いまま、ぬるりと大阪に着いた。
§§§
車を走らせ、さらに数時間。USJに入場してしまいたい気持ちをグッと堪えて、大阪湾岸に着弾した。
鈴木愛奈ライブ2024 in OSAKA 〜Apocalypse Day〜
<大阪>Zepp Osaka Bayside
2024年3月30日(土)17:00開場/18:00開演
今回はこのためにここまで来たのだ。
久し振りの推しの生歌はちゃんと心に響くのか。いざ。
以下セトリ。いつ見ても曲のクオリティーに恵まれているなと感じる。
1曲目からもう最高って感じで。ここまでの憂いは何だったのかと言わんばかりに楽しんだ。杞憂とはまさにこのことだった。
昨年、彼女の喉の調子が悪くてライブができなかった期間に出た曲も、カバー曲も、久しぶりの曲も、新曲も、何もかも、圧倒的な生の音が耳に流れ込んでくる心地良さ。あぁ、オタクだ。今私はオタクなのだ。
曲の感想やら何やらは割愛する。お察しの通り感想を書いてしまうと文字数が倍増、下手すれば三倍増するのだ。ここまでで約1,900文字、未だ旅らしい旅の話はしていない。
ただ一言だけ語るなら、さすが民謡出身だけあって演歌のカバーは迫力十分。恐らく映像化しないのだろうけど、あまりにも勿体無い。カバーライブ開催とか、LIVE音源のCDとか出ないだろうか。
運営様……何卒……。
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ライブ終わりの余韻に浸りつつ、しかし思ったよりは時間が早いということで、少し南の方に下りてお茶やお菓子を頂いた。さすが大阪、アメちゃん美味しい。
なんやかんやでこのあたりの写真が全然無い。運転手の宿命か。
ちょっとした休憩を取った後、一旦ホテルへチェックイン。今回はカプセルホテルで節約と洒落込んでみた。はずなのだが、インバウンド需要のせいか十分いいお値段だった。(体感コロナ禍の2~3倍)
稼げるときに稼がないとホテルも成り立たないし、文句ばっかり言ってられないよね。
我々はサッと着替えて梅田に出かけることにした。壮年が4人も揃う夜、必要な物は何か??そう、酒だ、酒が無ければ始まらない。
縁を大事にする我々は、広島でも世話になっている某バーの梅田支店に顔を出してみることにした。今回初来店だったのだが、接客してくれた副店長があまりにも大阪人だったもので、思わず笑ってしまった。
喋る喋る、マシンガントークとはまさにこのことだと言わんばかりで、対する我々はせいぜい火縄銃トーク。会話のリロードが追いつかず、言葉の銃弾をみっちり90分ほど浴びたのだった。ライブ終わって尚、ライブ並の疲労感を追加で頂いた。あ、悪口じゃないですよ。良い意味で、良い意味でだから。
彼が広島店に来てしまったらそこは一瞬で大阪になるな、と、永野さんのネタをぼんやり思い出しながらハイボールと言葉を飲み込んだ。
いい気分だがお腹が減っていた。ご飯でも食べてからホテルに戻ろうと店を決めるまで歩く間、男女問わず何人もの客引きに声を掛けられたことに少し驚かされた。一風変わったフレーズで気を引こうとしてくる。「私ならお兄さん達を幸せにできます!」の一言が今回のMVPだった。
さすがOSAKA、意味がわからん。思わず友人が立ち止まろうとしたし、本当に飲み屋か?と疑ってしまうような言葉選びのいかがわしさ、または宗教的とも受け取れる胡散臭さが今回の高評価ポイントでした。ありがとう、見知らぬ飲み屋のお姉さん。
折角来たのだから大阪っぽいものが食べたいとは思っていたが、恐らく有名であろう店などは深夜に営業していないみたいだ。25時が近い。人が明らかに少なくなってきたのもその所為だと推測できる。
少し歩くと近くに持ち帰りできるたこ焼き屋の看板が見えたので覗いてみた。丁度胃の辺りが大阪感に飢えていたのだ。渡りに船とはこのことかもしれない。
しかし、覗いてみたのはいいのだが、たこ焼きを焼いているのは明らかに日本人ではなかった。そしてその人に指示を出していたのも日本人ではない。おまけに買い求める客も日本人ではなかったので、私は今何を見せられているんだろうという気持ちでその場を後にした。
外国人労働者も旅行者も否定する気は無いのだが、たこ焼き食べよう!!よりも、これでいいのか??という気持ちが勝ってしまったのだ。
乗ろうとした船が明らかなパチモン感と異彩を放っていたので、乗り込むのに躊躇した。みたいな。大阪の魂どこ行ってん。
少々歩いて空腹感が強くなってきた我々は、もうなんでもいいやの精神で適当な居酒屋に飛び込んだ。ふわっとした大阪イメージを店舗ぎゅうぎゅうに詰め込んだような、夜中の商店街をギラギラに彩る酒処だ。私たちのこだわりもどこ行ってん。しかしハラヘリには勝てない。
その店の雑多さが、夜中の投げやりなテンションと合致した。翌日も運転があるので私は軽めに。しかし大阪感にはずっと捉われていたい私。
お好み串カツどて焼き全部頼んで酒盛り酒盛り~~、どうして紅ショウガの写真しか残ってないのか!!どうして!!旅先の夜、愚かになりがち。
満腹、満喫、ホテルに戻ろう。ヘイ、タクシー。
§§§
久しぶりのカプセルホテル。存外に寝やすい一人のスペース。ライブの余韻。ちょっとした疲れ。しかし微妙に寝付けないのは、翌日のことを思っていたからだった。
時は遡って2月中旬。今回のライブに先駆けて発売した新譜を1枚ずつ購入してみたら、なんと発売記念イベントの参加申し込みが出来るらしく。
ここは折角買ったんだし、応募してみようかなということで。
ええ、そりゃあね。さっき見ましたよ。久々のライブ、久々の推し。確かに見ました、そして聴きました。素晴らしかった。躍動する推し、最高でした。網膜と鼓膜がフル稼働でした。本当にありがとうございました。今回のライブの内容に関しては文句のつけようもない。でもね、でもですよ。今回は私、前から21列目。こればかりはどうしようもない。どうしようもないけれど友人の一人は2列目当たってるのよ。19列の差。これはあまりにも大きい。いやね、人と比べてどうのこうの言うのは間違っていると、そりゃわかっておりますとも。でも、でもね??比較したらやっぱりかなり遠く感じるよね。まぁ、ライブハウスだし??そりゃ近いよ??全員かなり近い。負け惜しみとかじゃなくて、本当に近い。ドームのスタンドとか言うわけじゃないし。ただね、ZEPPの規模感からしたらね、やっぱり遠いのかなって、そう思うわけよ、うんうんうん。で、で、でだ、明日は発売記念イベントで、ミニライブとトークショーと特典お渡し会全部乗せの欲張りセットなわけ。参加さえすれば仮にどんな席だろうがお渡し会はほぼゼロ距離になるわけよ。わかるよね??だってお渡し会なんだもの。推しから何かしら渡されるんだもの。ドームもライブハウスも勝てない距離感。ハンドオーバー、そう、手渡し。冷静に考えても近い。近すぎる。こんな時どんな顔したらいいのかわからない。歓喜超えてちょっとした恐怖で寝られないわよ私。んもー!!(オタク特有の早口)
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翌朝。起きてしまえばいとも簡単に始まる今日。決戦Day.2。当たり前のようにちゃんと睡眠は短いが、持ち前のスタミナでなんとかなりそうな気がした、そんな朝。
兎にも角にもチェックアウトして日本橋へ。結局性根がオタク寄りだからか、街並みに安心感を覚えてしまう。
まずは腹ごしらえだ。腹が減っては戦が出来ない。そう、推しと向き合う瞬間は戦。コンディションを整えてこそ礼も尽くせるのだ。まだ時間の余裕もあったことから、よく行列が出来ている店の牛カツを食べることにした。
前回来た時より値上がりしてた。原価高騰に困っているのは全国どこも一緒だな。でも前回は牛カツ2枚食べて今回は1枚だから使ったお金は前よりも安くて。節約??違うよ、衰えだよ。
美味しいものを食べると元気になるのは人間の基本中の基本。これで勝てる。ごちそうさまでした。
余談けど、開店までの待ち時間にとある芸人さんとすれ違った。声掛けるほどの不躾さは持ち合わせていないのでちょっと見ただけだが。昨日に続いてさすがOSAKAだなって思った。
そんなことより推しとの時間が着々と近づいている。臨戦態勢。
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閑話休題。
アイナという名前は往々にして17という数字に関連させられることがある。アルファベットの“I”(アイ)を“1”に見立て、“7”(ナナ)の1音を取ることでの語呂合わせで、”アイ・ナ”となる。これに寄せたムーブが公式などでも散見される。17日にサイト更新するとか、そんな感じで。ファンの共通認識として、ある種のラッキーナンバーのようなものなので有難がることが多い。座席番号とか時刻とか会員番号とか。
で、こんな話をするとなると……。
一念、推しに通ず。
ついにゲットと相成りました座席番号17番。3列目ではあったが、1番より価値のある17番なのだ、きっとそうだ。そして始まる105人の限定イベント。果報な男だな、私は。
推しの新曲を2曲聴き、トークイベントを堪能し、手渡しで特典まで。これでいて無銭イベント。おかしい。宇宙の法則が乱れている。スパチャさせてくれ、最低でも一万、いや二万。近かった、近すぎた。人間はこんなにも簡単に心臓が跳ねるのか。心臓どころか臓器全部無くなるかと思った。
当初の憂いは何だったのか~Day.2~。チョロすぎて手首ねじ切れた。
お渡し会は2~30秒の余裕があったので、推しと喋ることが出来たのだが、何を言ったか、当然ここも割愛する。5,000文字を超えたことだけが理由じゃない。マジLOVE1000%の顔した壮年の秘密の会話を晒け出す勇気は持ち合わせていないのだ。
恐ろしいほど社会人の角度でスタッフに挨拶をしながら部屋を出た。感情のやり場が無いので、友人に連絡をする前にどうにか落ち着きたかった。なので昨日食べそびれたたこ焼きを探すことにした。
落ち着くためにたこ焼きを探すとか思い返したら意味がわからないが、この時点では一旦たこ焼きでリセットだと本気で考えていた。しかしながら足が微妙に震えていたため、足取りは重かった。これが愛なのかもしれない。お察しの通りやられているのは足だけではない。頭もだ。思考回路はショート完了。今しがた会ったもの。
震える手足、そして視界。少しウロウロしたらたこ焼き屋に当たる。OSAKAをひしひし感じながら、何もかも定まっていない体に喝を入れる。食い倒れろ!!私のボディ!!
焼いたまま味付けなし!!青海苔ソース!!ソースマヨ!!欲張り三種盛一丁!!
勢いとは裏腹に、そっと車まで持ち帰って、たこ焼きと余韻を噛みしめた。あまりにもラブだった。そして、待ち焦がれた時間は終わりを告げたのだ。嗚呼、そろそろ帰ろう。ようやく自由が戻った体に、一抹の寂しさと充足感を覚えながら友人達を待った。
§§§
帰宅だ。帰宅をしなければいけない。帰るまでが遠足、夢で会うまでが推し活だ。時間は15時前、5時間コースのドライブ開始。
カラダもってくれよ!!3倍のカフェインだっ!!!!
疲労感を感じる時こそ安全運転が大事だ。しかし早く帰りたい。ジレンマ。合流した友人達は呑気に飴を舐めている。さぞ優雅に休憩でもしてきたのだろう。一方私は明らかに体力が足りていない気がするので、なるべくSAで休憩を取りながら広島へと向かうことを心に決めた。急に疲労感マシマシ。
諸事情で中国自動車道をひたすら西へ。兵庫を通り抜ける半分辺り。加西SAで最後の抵抗を行った。まだだ……まだ私の旅は終わらんよ!!たこ焼きください!!
粉もんと近畿に別れを告げる。まだまだ西へ、ひたすら西へ。帰りも特別な話題など無く、しかしそれが良かったりする。(寝ないように)軽快に歌ったりとかしながら、段々と日が落ちる山間を駆け抜けた。
お次は岡山の半分辺り。吉備SAだ。察しの良いあなたはわかったかもしれない。そう、ケバブだ。夕方ケバブで旅のエンディングへと弾みを付けたい。あっさりチキンケバブで一本勝負といきます。押忍!!
岡山を抜けて。広島に入ると嫌でも旅の終わりが見えてくる。まだ遠いけど。正直一刻も早く帰りたいのに、終わりが近いと寂しくなるのは不思議なものだと毎回思う。
推しの曲をライブ順に並べ、総括するような時間を過ごす。今回も楽しかったが、帰るまでが旅なのだ。
さらに1時間ほど。ようやく見慣れた土地まで戻る。今回もお疲れ様だったね。
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と言いつつ延長戦。
結局解散前に晩ご飯食べたいよね。って具合で。天下一品へ。この食事の飾らなさが、非日常から日常の境目に居ることを感じさせる。最後の体力と旅の余韻を振り絞り、他愛もない時間を以て普段の自分へと帰っていくのだ。
そして友人を送り、コンビニに寄り、車を停め、荷物を置いたら横になるだけ。疲労が抜けないのわかっていたから、次の日も休みを取っておいたことは内緒だ。SAで買い物した自分用のお土産を早速開けながら、更けていく夜と視界の歪みが混ざる頃、この旅が終わりを告げたのだった。
2024春の大阪旅行、完。
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