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トランプの「功績」―アメリカ大統領選挙と気候変動

環境やサステナビリティへの関心が高い人は、かなりの確率でトランプ氏に対してあまりポジティブな印象を抱いていないものと思われます。正直、感覚的なものも大きい気はしますが、ひとつの明確な根拠となるのがパリ協定離脱ではないでしょうか。ちょうど、11月4日に正式に発効し、UNFCCCがチリ、フランス、イギリスといった歴代のCOP議長国と、COP26に向け「世界中のすべての米国のステークホルダーおよびパートナーと引き続き協力して」気候変動対策を加速させるとの共同声明を出したばかりです。

Joint Statement on the US Withdrawal from the Paris Agreement
https://unfccc.int/news/joint-statement-on-the-us-withdrawal-from-the-paris-agreement

ここ数年、米国内では、政府がどうであろうと自分たちは積極的に気候変動の影響低減に向けたアクションを取ると、AppleやGoogleなど大企業が宣言し、実際に再エネへの移行などを行ってきました。それは、トランプ氏に対する牽制的な意味合いがあったことは否定できません。先日、バイデン氏が大統領に就任すれば即座にパリ協定復帰すると明言したのも、このあたりの事情があるのでしょう。

私個人としては、実はトランプ氏に対するネガティブな印象は弱めでした(別にポジティブでもないんですが)。最大の理由は、彼が海外派兵に積極的ではなかったこと。これに尽きます。もちろん、海外に国防費支出の増額を迫り、自国の兵器輸出拡大につなげたのも事実ではあるのですが、世界平和のためと銘打って派兵を行わなかったことはフラットに評価されてもいいように思います。「リベラル」だとされる歴代の大統領もやらなかったことですから。

それに関連して、ひとつの情報を。実は、米軍の活動はなんとスウェーデンやペルーなど140か国の合計よりも多くのCO2を排出しています。平和の観点に加えて、気候変動の観点でも軍縮は非常に重要なのです。

US military is a bigger polluter than as many as 140 countries – shrinking this war machine is a must
https://theconversation.com/us-military-is-a-bigger-polluter-than-as-many-as-140-countries-shrinking-this-war-machine-is-a-must-119269

バイデン氏のもと、米国がパリ協定に復帰するのは望ましいことですが、このまま海外派兵は行わず、願わくば軍縮に舵を切ることで、力強い言動一致を見せていただきたいと思います。

そしてこちらを読まれた方。お使いの金融機関の投融資先に軍事関連産業がないかを確認してみるのはいかがでしょうか?

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