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文学をめぐって

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#言葉

俵万智「サラダ記念日」と現代口語短歌の可能性について

俵万智「サラダ記念日」と現代口語短歌の可能性について

取り上げるのは、俵万智の第一歌集「サラダ記念日」で1987年5月8日河出書房新社より初出発行。翌年に現代歌人協会賞受賞。作者はこの時二十四歳。

85年「野球ゲーム」で角川短歌賞二席、翌86年「八月の朝」で角川短歌賞を受賞、「サラダ記念日」にその作品が収録されている。マスコミは20代の女性が受賞したことを取り上げ、マイクを持ち、壇上にワンピース姿で初々しい笑顔を見せる作者がフラッシュを浴びる表彰式

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きつねの窓

 小学校で国語の時間に読んだ安房直子「きつねの窓」の児童文学としてのプロットと描写の魅力を、あらためて考えてみたい。

 主人公「僕」は猟師で、狩りをするために山へ入り、道に迷ってしまう。そこで子狐を見つけ、追っていくと、突然、いちめんのききょう畑が開け、一見の染め屋が現れる。程なく店からは子どもの店員が出てきて話しかけ、主人公に指を染めることを勧める。そして自分の染めた指で窓を作って見せる。する

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