恋愛がそもそもわからない、アセクシャルな私
(※この記事は2019年2月時点に書いたものです)
「恋愛がそもそもわからない。なんで、みんな恋愛がわかるの?」
皆さんは、そう悩んだことはあるだろうか。私は何度も悩んで、時には大きな壁にぶち当たったりもしてきた。
そう、アセクシャルという言葉に出会うまでは。
恋愛ってなんだろう?(アロマンティックの話)
私は生まれてから誰かに対して恋愛感情を持ったことがないと思う。「恋愛って何?おいしいの?」という感じの人間だ。世の中には、女性は男性に恋するのが当たり前と色々な媒体で刷り込まれている。そうやって、女性として今まで生きてきた私は、恋愛感情を人並みに持った異性愛者なんだと思い込んでずっと生きていた。
実際、何度か恋愛に挑戦してみたこともある。恋愛に挑戦すれば、他人が言う「好き」という恋愛感情がわかるのではないかと思ったからだ。だが、挑戦しても恋愛漫画に出てくるような典型的な恋する女の子の気持ちになれない。相手の「好き」に答えられない。相手の「好き」という感情に耐えられない。耐えきれなくてお湯が沸騰するかのように拒絶するのだ。
「彼氏に会いたくて会いたくて辛い。好きすぎて堪らない。」と、どうしても自分の気持ちでは思わない。「好き」という相手にキスしたいと思えない。抱きしめてもらいたいと思えない。手をつなぎたいと思えない。
だけど、女性が男性に恋愛するのが決まりだと刷り込まれて生きてきた私は、時には恋愛漫画の女の子になりきって行動を起こしてみたりとかもしてみた。手をつないだりもした。キスもしてみたりもした。けど、そこに何も感じなかった。無味無臭な感じだった。
時には「可愛い女の子(アイドルなど)が好きだから、女性が好きなのか?」と、疑ったりもした。しかし、それも「何か違うな…。」と何度も何度も悩んでいた。例え同性(私の場合は女性)に対しても、恋愛漫画的な「会いたくて会いたくて辛い。好きすぎて堪らない。」にならないからだ。
でも、表面上だけでなりきるのも辛くなって世間で言う普通の恋愛、異性愛を完全に諦めた。恋愛感情は持っていても恋愛に向いてない、独りで生きるタイプなんだなと思っていた。しかし、それもなんか違う気がするとモヤモヤを抱えていたら、Googleとかで「恋愛感情 ない」「恋愛 わからない」などと検索した。
「アセクシャル」という文字を見て飲み込んだ瞬間に、私はこれが一番合っているかもしれないと、嬉しくて涙が出て仕方がなかった。異性間とか性別関係なく、恋愛抜きの「好き」という感情があってもいいんだ。他者に恋愛感情を抱くというのがわからなくてもいいんだ。
そう、私はアロマンテックだ。
アセクシャルってどういう意味なの?
ここまで読んでいて、「アロマンティックってなに?えっ、恋愛感情を持たない・他者に性的惹かれを抱かない=アセクシャルじゃないの?」と思ったかもしれない。そこで、私なりのアセクシャルについての意味を書いてみた。
▷のしりこ的なアセクシャルの定義
本来なら、アセクシャルは他者に性的惹かれを抱かない(= Aセクシュアル、アセクシュアル、Aセク、アセク)という意味。しかし、日本だと恋愛感情を抱かないも含めて使われていることもある。それには理由があり、おそらく性愛と恋愛の区別が分かりにくいため、混ざってしまっているのだと私は考えている。
ちなみに他者に恋愛感情を抱かないを指す言葉は、アロマンティック(= Aロマンテック、Aロマ)である。よって、他者に性的惹かれを抱かない・恋愛感情を抱かない私のような場合は、アロマンティック・アセクシュアルになる。
性愛ってなんだろう?(アセクシャルの話)
元々、性的なコンテンツに惹かれず、興味がなくてそのまま大人になって大丈夫だった環境で過ごしてきた。中学から女子校へだったためなのか、性的なものに自ら積極的に興味を持たなければ、あまり触れないでいられた環境なのもあったからか、そのままでいた。
だが、誰にも言えなかった。それが世の中の当たり前で、人間が他者に性的に惹かれ合うことが普通だと思いこんでいたからだ。「私はしたくないのにいずれしなきゃいけない」と思うと、心が辛かった。どうしたらいいか悩んでいた。
SEXは、誰かと恋愛するときのために必要な手段で、誰かを愛するためにやらないといけない色々と面倒で邪魔な儀式としか捉えてなかった。恋愛感情を抱かなくてもセックスを楽しむ人達がいるのにも、未だに驚く自分がいるくらい、異世界の儀式と考えていた。だからなのか、どんなに嫌でも自分が嫌々乗り越えないといけない壁なのかと思い、誰にも恥ずかしくて言えずに悩んでいた。
性的に惹かれるのってどういうことか理解するために、人間の性行為を描いた恋愛作品を何度も観たりした。けど、そのシーンを観ても何も感じなかった。無だった。なぜ成り行きでそうなるのかがわからないし、その行為自体が異世界のおとぎ話にも思えてきて、何度もそういう作品を観ては「無」であることを突きつけられた。「無」を突きつけられても、恋愛しなきゃいけない世の中でSEXを避けて生きるためにどうしたらいいかわからず、独りでずっと悩んでいた。
他者に性的惹かれを求めるということが、わからなかった。
さいごに:アセクシャルな私として
他者に性的惹かれを抱く気持ちになれない。興味がない。人間だから好きなのであって、同性だろうが異性だろうが性別関係なく、その人に特別に恋愛感情を抱かない。世の中が言う恋愛的な「好き」になれない。恋愛的な「好き」が重くてつらい。恋愛がわからない。
私が思い描いている「好き」と恋愛や性愛が絡む「好き」の違いがあるんだな。他者に性的惹かれを感じないから、誰かとのセックスに何の意味を感じないし、面倒なものと考えるのだろうな。
そういうふうに物事を考えると、今までの恋愛や性愛がわからなくて悩んでいた自分が納得できるのだ。
アセクシャルという言葉に出逢ってからは、その言葉に安心して、同じ仲間がどこかにいることが嬉しかった。特に下記の記事は参考になったし、私にとって背中押してくれた記事でもあった。
今回、何故このことを書くことになったのかというと、真剣にアセクシャルなどの問題について私が向き合いたくなったからだ。こうして書くことで以前の私みたいに「恋愛がわからない」「SEX 避けたい」などで悩んでいる人が、アセクシャルという言葉に出逢って安心してくれたらなと思ったからだ。
世の中、異性愛者向けだけではなくて、さまざまな愛の形や生き方があることをまだまだ知られてない。すべての人間に恋愛や性愛を求めている訳ではないこともまだまだ知られていない。そのような話がもっと簡単に知られたら…という想いをこめて、今までは隠していた部分、アロマンティック・アセクシュアルな自分をオープンしてみようと思う。その想いが、誰かに届けば嬉しい限りだ。
もしかしたら、数年後にはアセクシャルではなくなっているかもしれないし、意味合いも変わったりもするかもだし、未来なんてわからないものだが、様々な愛があることを受け入れられる世の中になれるように今日も願う。
他者に恋愛感情を抱かない・他者に性的惹かれを感じない、アロマンテック・アセクシュアルな私より。
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