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ANNを題材にした舞台『あの夜であえたら』を観に行ってきた!【舞台鑑賞】

1967年にラジオ局ニッポン放送で始まった深夜ラジオ番組『オールナイトニッポン』その55周年特別企画として公演されたのが舞台『あの夜であえたら』

公演場所は東京国際フォーラムホールA,
公演日は10月14日&15日の2日間のうち1日目の公演を観賞してきました。

オールナイトニッポンが放送されてから55年、その歴史の中でタスキをつないできたパーソナリティーが抱くリスナーへの特別な感情と番組を担うプレッシャー、パーソナリティーの声や話が聴きたいと夜を越すリスナーの安堵と欲望、そしてその陰ながら支え時には表舞台にも立ち番組を盛り上げる製作陣の情熱が伝わってくる素晴らしい舞台でした。

私がオールナイトニッポンにハマったきっかけはSpotifyのポッドキャストを聞いてからとここ数年の話なんですけど、舞台の面白さとラジオの面白さが出ていてエンタメとして極上の仕上がりです。
あの空間にいれたことが一生ものの経験でこれからの思い出に残る事でしょう。

今回はその日の東京国際フォーラムがある有楽町についてからの思い出を語っていきます。
また舞台は2公演ですがアーカイブも配信があるためネタバレや内容もあらすじにのっている最低限に控えます、気になる方は購入して欲しいです。
配信は11/5まで見られるので余裕があります。

配信チケットの値段は4500円と映画だったら2本にドリンク1本くらい買える、なかなか迷ってしまう値段設定ですが後悔はしないと思います。

公演開始は17:00でその1時間前から会場のため16時前有楽町駅に到着、入場しても1時間は待機のため本屋でも行って時間わ潰そうとしていたら有楽町駅改札の前のベーカリーがすごい列が出来ていたため興味を持ち暇つぶしを兼ねて並びました。

ここの何が有名なのかそもそも店名は何かも分からなかったため並んでからようやく調べる、店名は『Truffle mini』で塩トリュフを使った塩パンが有名とのことでその塩パンと美味しそうなシナモンロールを購入、家に帰って食べましたがトリュフの香りがする塩パンめちゃくちゃうますぎでした。

駅構内にあるベーカリー

シナモンロールは鞄を抱えたまま舞台観賞したり、電車に乗ったりして形が崩れてしまい、私のせいで見栄え酷いですがクリームチーズとシナモン香るパンの相性が良くこれも旨。

買った時はクリームチーズが渦巻いてます

並び終わって購入すると時刻は16:20丁度いい暇つぶしになりました。

これから国際フォーラムに向かいます、このフォーラムはいくつもの会場があり舞台公演されるのはホールAという5000人収容できる大会場です。

入場待ちの列が出来ており、私が購入したチケットは通常席のグッズ付きという枠を買いましたがこの列が一番並んでいる、最後尾を探していたらまさかの外に案内されました。

ホールA会場外観

並びながらフラスタや舞台ポスターなど見えてきて写真を撮っているとようやく20分後に入場。

誰が出したフラスタなのか気になる

「そういえば、舞台の上映時間はどのくらいなんだ? まあ、2時間半くらいだろ」
そう思いながら舞台HPを覗いたところ衝撃が走りました。

〈※公演時間は休憩(20分)を含め、約3時間半を予定しています〉

「七人の侍かよ……!?」
3時間の映画を見る時はカフェインを抜くのが私の定石ですが、今日はそれを知らず家で飲んでしまった、慌ててトイレに急行します。

そんなこんなでトイレを済まし劇場に入場、5000席もあるということで会場は本当にでかい、私の席は2階席。

2階席の中でも前方で目の前が通路でラッキー、私の視力では役者の表情は目を凝らさないと見れなかったですが脇にモニターが設置されていてそこから舞台の様子がアップで見ることができます、とても快適でした。

舞台では公演直前でも打ち合わせや美術道具を置く場所やスポットライトの最終調整をしていたりとても忙しそうでいよいよって感じ。

ここであらすじを紹介しましょう、というか私もノリでチケット応募したのでどんな話かこの時知りました。

これで最後。だから話しておきたい。“ご存知の通り、
この番組はもう終了することが決まっていますーー”

ステージに立った彼女はそう語りだす。そのラジオ番組はこの日、終わりを迎える。ラジオの奇跡が起きた“あの夜“から1年。ニッポン放送の植村杏奈はラジオディレクターとして多くの番組を担当する多忙な日々を送っていた。

新たに立ち上げた『綾川千歳のオールナイトニッポンN(ニュー)』は放送開始から1年という早さでラジオイベントの開催決定。

順風満帆かと思いきや、なんと、開催前に番組終了が決定してしまったーー。
ディレクターの植村には分からなかった。

なぜ、番組は終わるのか。それは、誰の意思なのか。どうしたら続けていくことができたのか。刻々と迫るイベント本番。

会場に足を運ぶラジオリスナー。1つの番組が終わる。
それとどう向き合うべきか。ラジオを愛する者たちは、
はたして答えを見つけることはできるのか……!

舞台は東京国際フォーラム。パーソナリティとリスナーが顔をあわせる
初めての、そして最後の場所。

これは、終わるラジオと、
終わらないあの夜の物語。

 あの夜であえたらHPより https://event.1242.com/events/anoyoru2/ticket/

この作品前作『あの夜を覚えてる』という生配信ドラマの続編です、このドラマは公演を記念してアーカイブ視聴や書籍化がされていますのでこちらもチェックしてみてください。この作品もすごい面白いです。

植村は前作も主人公で高橋ひかるさんが演じており、前作を見れば彼女の成長をより実感できます、それとパーソナリティーだった藤尾さんも。
ただ、前作を知らなくてもめちゃくちゃ楽しめます。

この舞台は舞台ですが設定がかなり特殊、オールナイトニッポンの公式イベントが国際フォーラムで行われるという舞台設定でそこで起こる事件と奇跡の物語であり、観客である私達は『あの夜であえたら』を鑑賞しにきているのだけれど『綾川千歳のオールナイトニッポンN』の公式イベントにきているリスナーという体験になっているメタ構造がある物語になっています。

舞台スタッフやラジオ制作陣のお仕事ドラマかつパーソナリティーのリスナーに対する想いや苦悩が語られるヒューマンドラマでもあり、同時にこの舞台に観にきた観客は『綾川千歳のオールナイトニッポンN』という架空のラジオのイベントに訪れた人という設定になっています。
そういう意味では訪れた人にもリスナーという配役が与えられており、劇場一体になっています。

『綾川千歳のオールナイトニッポンN』に訪れた人という設定のため国際フォーラムは綾川千歳さんのパネルやラジオ展示スペースだけでなくなんと公式グッズなども用意されていてかなり凝っています。

展示エリア

先程も述べましたが、この舞台の劇場の一体感が素晴らしいです、最初は「綾川千歳ってそもそも誰? そんなラジオ聞いた事もないし、どう舞台に臨めばいいのか分からない」という困惑した気持ちがありますが様々な演出工夫で観終わった後は私達はずっと前から綾川千歳のオールナイトニッポンNのリスナーであったと錯覚してこれからも綾川千歳を推したいと不思議な体験に陥ることが出来ます。

参加者にはペンライトが配られていたり、拍手する箇所がたくさんあったりと物語として非常に面白かったですがイベントとしても楽しめました。

物語で様々に巻き起こるトラブルにてんやわんやするスタッフ演じる役者達が臨機応変に対応していく様子はお仕事ドラマとして見事で映画『ハッピーフライト』『ラヂオの時間』アニメ作品『SHIROBAKO』などの作品が好きな人にとっては大好物な作品です。

また、綾川千歳さんの抱えているものが語られるシーンとても良かったです、あのシーンを見ながら私は好きなラジオ番組の思い出を回想していました、恐らく他の観客もノスタルジックな気分になっていたと思います。それくらい共感できるラジオの話をしてました。

内容に踏み込まず少し深く掘った感想をすると、深夜ラジオってパーソナリティーが日常の下らない話や好きなものの話、時にここでしか語られない赤裸々な想いを語ることで、リスナーと特別な時間を共有できるというのが特徴だと思います。

逆に言えば内輪的なノリすぎて苦手な方もいると思います、私も深夜ラジオのノリを知らない人にそのノリを持ってこようとする人はあまり好きではありません。

ラジオはあくまでパーソナリティーとリスナーの1対1世界観が大事だなと。

そんな深夜ラジオのクセと痛さも感じられるような舞台でもあり、よりオールナイトニッポンの世界観を知ることが出来る舞台になっています。

最初は3時間半と長いなと思い、実際には3時間後半くらいあったものの、舞台が終盤に差し掛かる頃には「まだこの空間にいたい」と思い物語が終わって出演した役者が揃って観客に挨拶をするカーテンコールが終わってもまだ帰りたくないという気持ちが出ていました。

私は舞台よりも映画が好きです、というか優れていると思ったりもしてました。
それは映画ならカメラがあり、何回でも撮り直しが出来ることでベストな画角とシーンで役者を映すことができ、それに編集でシーンに合った音楽や映像処理を施すことができ、何よりフィルムとして残ることでいつでも誰にでも物語を届けることが出来ると思っているからです。

しかし、舞台は映画とは全く別物でした、舞台にしか出来ない限られた舞台だけでなく観客席、モニターを活用した演出があり、始まったら止められないからこその緊張感と役者の感情のノリを感じることが出来ます。また観客は役者と同じ空間にいることで特別で1度きりの特別な体験が出来る。

あと、これは舞台観賞初心者の感想ですが、舞台上に沢山の演者がいてもごちゃごちゃ会話が交錯していても今は誰がこのシーンでの中心的人物なのか分かるような演出と役者の気迫が伝わったのがとてつもなく感激しました。

佐久間Pの架空ラジオポスターも

その時間の余韻に浸るため帰りは有楽町駅から東京駅まで歩き帰宅。

本当に良い舞台でした、帰りの電車でまたこの感覚に浸りたいと次に見たい舞台情報を検索していました。

最後に1つだけ、座長であり主役の高橋ひかるさんがカーテンコールで1日目を終えた感想を話していましたがその振る舞いがめちゃくちゃよかったです。

舞台終了直後でアドレナリンが出てるのか頭が回らず直感で話してるようで内容がまあまあ薄いのですがそれが逆に彼女が120%で舞台に望んでいて、ようやく役が解けて赤裸々に語ってくれていると感じることができます。

おわり

フラスタもしっかり役者の名前で揃えられていました

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